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グリーン・コンピューティング

“グリーン・データセンター”を構築せよ

省エネを実現するために踏むべき7つのステップ

(2007年05月30日)

【ステップ4】
効率の良い電源装置を使う

 サーバ分野で所有総コスト(TCO)を最も膨らませている元凶はと言えば、それは間違いなく電源装置であろう。スタンフォード大学の顧問教授でローレンス・バークレー国立研究所のスタッフ・サイエンティストでもあるジョン・クーミー氏は、「今日多くのサーバで採用されている非効率な電源装置は、データセンター内のいかなるコンポーネントよりも多くのエネルギーを消費している」と断言する。

 しかも、製品の改良は遅々として進まない。インテルのウィグル氏は、「電源装置の効率は年に0.5%ほどしか改善されていない」と嘆く。

 最近はかなり状況が改善されてきたが、それでも、製品価格自体がまだ高価なこともあって、特に低価格サーバ市場では(効率の良い)電源装置が広く普及しているとは言い難い。

 多くの低価格サーバに採用されている低効率の電源装置の場合、利用率100%のときに変換効率はピークの70〜75%に達するが、利用率20%では65%以下にまで落ち、平均サーバ負荷は10〜15%の範囲である。

 つまり、非効率な電源装置では、IT機器に電力が届く前にその半分近くが無駄になるわけだ。そのうえ、電源装置によって無駄になるエネルギーの分まで熱に変換される(電源の動作温度が上昇する)ため、データセンターの冷却システムの電力需要が高まるなど、問題はさらに悪化することになる。

 一方、20%の負荷でも80%以上の変換効率を達成する電源装置もすでに出荷されているが、こちらはかなり値が張る。電源装置ベンダー、コールドワットでマーケティング担当ディレクターを務めるラクシュミ・マンデャム氏にると、高効率の電源装置は一般のそれと比べて15〜20%も高価だという。

 とはいえ、よりエネルギー効率の高い電源装置に移行すれば、運用コストと資本コストの削減が図れることは確かだ。RMIのロビンス氏は、「エネルギー効率の高い電源装置に20ドル支出すると、冷却およびインフラ機器の資本コストが100ドル節約される計算になる。この効果を考えても、低負荷時に80%の効率を達成できないような電源装置は使うべきではない」とアドバイスする。

 さらに悪いことに、サンのヘザリントン氏によれば、サーバ・メーカーは所要電力を高く設定しすぎる傾向にあり、実際には300Wで済むサーバに倍の容量の電源装置を採用したりすることも珍しくないらしい。

 「サーバを設計するときは、システムに障害を招くおそれのあるピーク電圧になるべく近づけたくないものだ。そのため、電源装置の仕様をピーク時よりずっと高い値に設定したがる。それで、実際には300Wしか消費しなくても、650Wの電源装置をその半分の出力で酷使するといったことになる。これはきわめて非効率なやり方であり、膨大な電力の損失につながる。“エネルギーの無駄”という観点からすれば、まさに大罪と言っていい」(同氏)

 ここまで述べてきたような事態を改善するため、大手サーバ・ベンダーでは、すでにサーバ製品に効率の高い電源装置を採用している(あるいは段階的にそうすることを決めている)。

 例えば、HPは、サーバに搭載する電源装置の設計を標準化し、1種類に絞り込んでいるところだ。同社でストレージ/ネットワーク/インフラストラクチャ担当副社長を務めるポール・ペレス氏は、最近開かれたアップタイム・インスティチュートのコンファレンスで、「今年夏に出荷する電源装置では、効率が以前より大幅に高まっている」としたうえで、効率改善の比率を「1990年代中旬」のレベルにまで高めるつもりだと語った。また、同じHPのベラディ氏によると、同社のサーバはすべて、最低でも85%の効率が保証された電源装置を使っているという。

 電源管理を上手に行えば、電源装置の利用率を高めることもできる。例えば、HPの「PowerSaver」テクノロジーは、総負荷が下がるとCクラス・ブレード・サーバのエンクロージャに内蔵されている6個の電源装置のうちの一部をオフにし、省エネと効率アップを実現する。

 なお、読者が電源装置の効率を判断したい場合には、「80Plus.org」を参考にするとよいだろう。この認定プログラムは電力各社によって作られたもので、20%、50%、100%の負荷で一貫して80%の効率を達成することのできる電源装置が紹介されている。

 このステップを締めくくるに際して、効率的な電源装置に至る革新的な発想を1つ紹介しておこう。

 スタンフォード大学のクーミー氏によれば、グーグルは同社のサーバ・ファームにおける電源装置の効率を改善するために、革新的なアプローチを採用したという。電源装置の設計にコストがかかるのは、異なる直流(DC)電圧での複数の出力が必要なためだが、同社はここに目をつけたのである。

 「グーグルはカスタム・マザーボードを開発する過程で、電源装置の担当者に『こんなにたくさんのDC出力はいらない。12ボルトの出力があればそれで十分だ』と言ったという。同社は12ボルトの出力1本に絞ったことで、設計コストを節約し、より効率的な電源装置を手にすることができたのだ。いま必要とされているのは、まさにそうした発想なのだ」と、クーミー氏は訴える。


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