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グリーン・コンピューティング

グリーン・コンピューティングに未来はあるか!?

積み上げられた“電子ゴミ”の山が消え去る日はいつ?

(2007年11月08日)

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“完璧なグリーン化”への遠い道程

 いずれにしろ、グリーン化の取り組みには時間がかかる。簡単に言えば、“トウモロコシ・プリンタ”が完成するまでの間、“電子ゴミをどう処理するか”という問題は解決されないままなのだ。コンバージ・グローバル・トレーディング・エクスチェンジの資産管理サービス部門、ネクストフェーズ・サービスでディレクターを務めるクリス・アダム氏は言う。

 「メーカーのグリーン化への取り組みは始まったばかりだ。理想とするところへ到達するまでには、まだかなり時間がかかるだろう。その間、どういった廃棄方法をとるのがベストなのかを真剣に考える必要のある電子/電気製品が、店舗やユーザーの手もとに存在し続けることになるのだ」

 実は、そこにこそ、ネクストフェーズのような資産管理会社の存在意義があるわけだ。

 ネクストフェーズは、そうした“ニーズ”にこたえるべく、プランニングからデータ・セキュリティ、リマーケティング、リサイクリングに至るまで、“資産廃棄”全般に関するサービスを提供しているのである。また、同社は、WEEEなどの規制を順守する一方、米国内(各州)の動向にも注意を怠らないようにしている。

 米国の場合、連邦レベルではまだ法律が存在しないため、電子ゴミや環境問題はそれぞれの州によって独自に規制されているからだ。現実に、メーン、カリフォルニア、メリーランド、ワシントン、ミネソタ、テキサス、オレゴン、コネチカットの各州では、すでに電子ゴミ規正法が議会を通過し、施行段階に入っている。

 だがそこには、WEEEとは違って、「(電子ゴミを規制する)法律は州ごとに大きく異なるため、個別のアプローチを取らざるをえず、一貫したプラットフォームが役に立たない」(アダム氏)という問題がある。

 しかし、たとえそうであっても、メーカーやユーザーは(そして資産会社も)、そういった規制に従う義務がある。それに、すでにユーザー(企業や家庭など)の間では電子ゴミ問題に対する認識が高まっており、メーカー側も環境に優しい製品の開発や旧製品の回収に力を入れている。事実、「多くの企業がこの1年から1年半の間に、電子製品の廃棄に伴うゴミ問題や環境問題に注意を払うようになってきている」(アダム氏)のである。

 もっとも、電子ゴミは「生分解性プラスチックや生分解性PCボードが実用化されるまで、地球規模の問題として議論され続ける」(アダム氏)だろう。それも当然で、アダム氏の予測によると、今後5年間で、なんと10億個の電子機器──モニタ、PC、プリンタ、携帯電話、PDAなど──が廃棄されることになるというのである。

 確かに、企業は廃棄物や温室効果ガスの排出削減、あるいはオフィスや工場の省エネ化などといった目標を掲げてはいる。だが、ITアナリストのケイ氏が指摘するように、そうした取り組みは、あくまでも“営利活動の文脈の中”でしか行われない。

 当然のことながら、企業が“製品販売を抑制するような方向”に動くことはないのだ。言いかえれば、たとえ崇高な排出削減目標を達成し、グリーン化に向けて前進したとしても、企業が環境に与える負荷の大きさは、2010年になっても変わりはしないということだ。

 「何もしないよりはましだが、製品の販売を抑制することに比べたら効果は小さい」(ケイ氏)

 そんなケイ氏は、「環境破壊の根本的な原因は人口過剰だ」と、だれも口にしようとはしない“問題の核心”を指摘する。そしてこの事実は、環境問題を真剣に考えるIT企業が増えたとしても、その成果には限界があることを暗示している。真摯さを込めてケイ氏は言う。

 「人間が環境に及ぼすインパクトを考えることが重要だ。われわれはすべてを思いのままにできると考え、真実を見ようとはしない。しかし、われわれにできることは限られている。人類はそれほど賢い種族ではないのだ」

さまざまなアイデアで“グリーン化”に貢献する米国企業

 米国の産業界では今、環境負荷を最小限に抑えた製品やプロトタイプなどの、いわゆる“グリーン・イノベーション”に関する発表がない日はほとんどないと言ってよいほど“グリーン化”がブームになっている。規模や業種を問わず、あらゆる企業がこのトレンドに乗り、よりグリーンな製品の開発に力を注いでいるのである。それと同時に、内部的には、省エネ化を推進してエネルギー・コストを抑える一方、温室効果ガスの排出を極力抑制するようにもなっている。

 ここでは、大企業のゼロックスと中小企業のユーザーフルを例に取り、規模の違う両社が、グリーン化にそれぞれどのように取り組んでいるのかを紹介したい。ちなみに、ゼロックスは先ごろ、より環境に優しい、新しいタイプの紙を発表した。また、ユーザーフルは自社のソフトウェア製品に環境コンポーネントを組み込み、CO2の削減にどれほど役立っているかを具体的な数値で示すことに成功した。

“グリーン印刷用紙”の開発で
森林資源の濫用を防ぐ

 木材パルプや水、薬品の使用を極力抑えた新しい紙「High Yield Business Paper」を開発するのに、ゼロックスは何年かかったのだろうか。新しい紙の設計や品質に責任を持つプロジェクト・マネジャー、ブルース・カッツ氏は、この問いに笑ってこう答える。

 「およそ30年!」

 “ペーパー・テクノロジスト”を自認するカッツ氏は、ゼロックスに入社して27年になる。その間、会社は新聞印刷用紙メーカーと定期的に会合を持ち、新聞用紙の改良に努めてきたが、2006年10月になるまでは、だれもその先のステップに踏み込もうとはしなかった。

 だが、カッツ氏のチームがその未知の領域へと足を踏み入れ、新しい紙のアイデアを打ち出すと、事態は急スピードで展開することになった。1年もたたないうちに製品化に漕ぎ着け、早、顧客からのオーダーを受け付けるまでになったのである。

 新しい新聞用紙は、メカニカルなパルプ生成プロセスによって製造されるが、この手法は新聞用紙のほか、辞書やカタログ、チラシなどのようなオフセット印刷用紙の製造にも用いられる。もっとも、永久保存が可能なほどの耐久性はなく、インクジェット印刷にも不向きであるため、長期保存が必要な文書や契約書など公式の書類には利用できないが、請求書など、一般的なオフィス用モノクロ印刷のための用紙としては最適だ。

 ゼロックスによると、新開発の紙は丸まらないため、デジタル・プリンタやコピー機などでも信頼性の高い印刷が可能だという。

 この紙は、既存の設備より温室効果ガスの排出量が75パーセントも少ない水力発電によるミル(圧搾機)で生産されている。また、従来の化学製法で作られた紙より軽量であるため、出荷や配送などのコストを抑えることができるほか、価格そのものも低めに設定することが可能だという(マーケティング・マネジャーのマギー・オクス氏によると、最終的に同社の「4200ビジネス・ペーパー」よりも5パーセントほど低価格に設定したという)。

 ちなみに、ウッドチップの繊維を機械的にほぐしてパルプにすると、繊維が残る化学的な処理に比べて、木材1本あたりの紙の生産量は倍になる。

 一般紙よりも軽量な新聞用紙の物理的特性から、カッツ氏や他のエンジニアたちは、化学的に処理した繊維よりも機械的に処理したパルプのほうがベターだと考えたのだ。もちろん、そのほうが生産コストを抑えられ、上述したように、使用する木材も少なくてすむからである。

 「環境的側面から見れば、そのほうがはるかに有益であることは間違いなかった。そして、当社にとって、もはや環境問題を避けて通ることは不可能だったのだ」(カッツ氏)

 ニューヨーク州ロチェスターのゼロックス創業の地で働くオクス氏は、「あらゆる製品について、当社は環境への影響を重視している」と語り、環境問題への取り組みが常にゼロックスの最重要課題になっていることを強調する。

PCの共同利用を可能にするOSで
電力消費、ひいてはCO2排出量を抑制

 グリーン・コンピューティングへの取り組みでは、ほとんどの場合、ハードウェアの省エネ化や製造過程における環境負荷の軽減が中心となるが、ユーザーフルの場合は、ソフトウェアでグリーン・コンピューティングを実現した。同社が開発したオペレーティング・システム「DiscoverStation」を利用すれば、1台のPCを10人のユーザーで共同利用することができるのである(一般的には、1台のコンピュータに6台のワークステーションを接続して利用することになる)。

 同OSはWebポータルを利用し、ロックダウン・デスクトップ構成で中央からユーザーを管理・制御する。このアイデアの背景にあるのは、オフィス・ワーカーの多くが、ほとんどの時間、ドキュメントやメールの読み書き、あるいはWebの閲覧しか行っていないという事実だ。つまり、PCは、ほとんどアイドリングの状態、もしくは最小限のパワーしか使っていない状態にあるわけである。ユーザーフルのアプローチは、そうしたデスクトップPCにより多くのユーザーを割り当て、PCのリソースやパワーをフルに使い切ろうというものだ。主なターゲットは、図書館や学校、軍事施設などになる。

 1999年にカナダ・アルバータ州カルガリーで創業されたユーザーフルで、マーケティングおよび広報担当を務めるシーン・ロウソー氏は、自社製品を利用した場合の環境上のメリットを、次のような方法で計算した。

 ──まず、ユーザーがDiscoverStationを導入したことによって使われなくなったPCの総数を推計し、それに典型的なPCの電力消費量を掛けることで1年間に消費されていたであろう電力を算出する。次に、それを二酸化炭素排出量に換算する──

 その結果、同社のソフトウェアが、年間1万3,250トンもの二酸化炭素排出を抑制していることが判明した。「驚くべきことに、その値は2,300台の自動車が1年間に排出するCO2の量に匹敵する。これこそまさにグリーン・テクノロジーだ」と、同氏は胸を張る。

 従業員30人のユーザーフルでは、今後もOSによるグリーン化を追求していく計画だ。

 「今度は、コンピュータが電力をどれくらい消費しているかを検出し、それをCO2の排出量に換算することのできる機能をOSに組み込もうと考えている。それによって、グリーン・コンピューティングをさらに進展させたい」(ロウソー氏)

(Computerworld.jp)


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