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[米国] 【今週のウォール街】
低迷が続く米国IT業界――大手ベンダーはM&Aをさらに加速か

M&A総件数は減少する見通し

(2008年03月14日)

 米国の金融不安の広がりを受けて、消費者と企業の支出が鈍化する中、依然として多くのITベンダーが苦戦を強いられている状況に、今週も変わりはない。だが、MicrosoftやGoogle、Yahoo、Electronic Arts、AOLといった大手ベンダーが果敢に繰り広げるIT分野のM&A(合併・買収)は、これまでと同様、業界の勢力図に変化をもたらし、投資家にチャンスを提供しているようだ。

 AOLが3月13日に、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトの英国Beboを8億5,000万ドルで買収すると発表したことは(関連記事)、IT企業が市場の低迷をよそに、戦略的買収を進めていることを示す最新の例だ。

 今週のマクロ経済概況、そしてIT企業の最新の収益データは相変わらず明るいものではない。13日に、米国の市場調査会社ChangeWaveが発表したリポートは、米国の景気がすでに後退局面に入っていることを示している。2月27日から3月5までに米国企業の専門職者3,345人を対象に行われたこの調査では、回答者の30%が、第1四半期の販売が計画を下回ると予想している。これは同社の前回調査より5ポイント悪化している。

 「ChangeWaveの企業調査でこれほど悲観的な数字が出たのは2002年以来のことだ。景気後退期に入っているのは間違いない」とChangeWaveの創業者トービン・スミス(Tobin Smith)氏は述べた。

 景気の低迷は多くのITベンダーに顕著な影響を与えている。例えば、市場調査会社のCiti Investment Researchは、13日に発表したソフトウェア市場に関する調査リポートで、この市場のプレーヤーの収益の大幅な悪化を指摘した。「5年間にわたって通年で利益を伸ばしていたソフトウェア業界が、2008年に入って以降は減益となっている」

 2008年のソフトウェア・ベンダー各社の利益は、中央値で見て14%減少しており、IT企業の比重の高いNASDAQ総合指数も年初から15%下落している。昨年10月以降では20%の減益となっており、同時期のNASDAQ指数の下落率と一致している。
 Citi Investment ResearchはIT投資家へのアドバイスとして、「こうした不透明な環境では、株価が上がる可能性が最も高いのは、M&Aの標的になりそうな企業かもしれない」と述べている。

 今年、M&Aの件数は全体的には減少する見通しだ。金融市場の混乱を受け、2007年に買収実績が過去最高となったプライベート・エクイティ企業による買収が不活発になるからだ。だからといって、豊富な現金を持つ大手ITベンダーが買収をためらうことはおそらくないだろう。買収は、インターネットのような動きの速い分野で新技術を獲得したり、企業向けソフトウェアなどの成熟分野で市場を広げるための手っ取り早い方法だ。

 そうした買収を進める動きの典型例は、2月1日に発表されたMicrosoftのYahoo!に対する買収提案だ。当初の買収提示額は446億米国ドルだったが、買収の支払いの一部にMicrosoftの株式が使われることになっていたため、総額は、買収提案の発表後にMicrosoft株が下落したことで減少している。多くの業界筋は、Microsoftが重複する製品やサービスを持つ買収相手の統合に苦労すると指摘したが、その一方で、この買収提案はYahoo!の株価を押し上げた。1月末に19ドルだった同社の株価は、現在は28ドルとなっている。ただし、結局、この買収が不成立に終われば、同社の株価は再び下落すると見られる(関連記事)。

 Googleの株価はこの数週間、市場とともに下落してきたが、11日には26.22ドル高の439.84ドルに上昇した。欧州の規制当局が同社のDoubleClick買収を承認したからだ。GoogleはDoubleClickを傘下に入れることで、よりユーザーの関心に合った広告を提供できるようになりそうだ。

 一般に買収のニュースが報じられたとき、買収する側の企業の株価は上がらないケースが多い。特に大型買収は、利益がしばらくの間、希薄化することにつながるからだ。Electronic Artsの株価はここ数週間、市場の動きと共に変動しており、Take-Two株のTOBが発表された2月21日は48.95ドル、3月13日は47.26ドルで引けた。

 このほか、13日には、ゲーム開発会社のTake-Two Interactiveの株価が0.73ドル上げて25.64ドルとなった。2月から同社株式の公開買い付け(TOB)を行っていたElectronic Artsが、買い付け価格を26ドルに引き上げたからだ。

 一方、Citigroupは、買収の標的になりそうな企業として、データ統合ソフトウェア・ベンダーの米国Informatica、SOA/BPMミドルウェア・ベンダーの米国TIBCO Software、運用管理ソフトウェア・ベンダーの米国BladeLogicに注目するよう投資家に勧めている。

(Mark Ferranti/IDG News Service ニューヨーク支局)




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