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【解説】
マイクロソフトによるヤフーの“部分買収”、アイカーン氏らは決して納得せず
利益を得たい投資家にとっては、あくまで完全買収が最終ゴール
(2008年05月20日)
MicrosoftによるYahoo!買収の旗振り役を務めている“物言う大株主”カール・アイカーン(Carl Icahn)氏や、この買収から巨利を得ようと考えている投資家たちは、完全買収を伴わない両社の交渉には決して満足していない――。こうした見方がIT業界や金融の専門家の間で広がっている。
Eric Lai/Linda Rosencrance
Computerworld米国版
「ここまで来たら、とにかくだれかに買ってもらわねば」
Microsoftは5月18日、完全買収という選択肢を除外した提案をYahoo!に行ったことを明らかにした(関連記事)。一部報道によると、Microsoftは部分的な買収を提案しており、買収対象はYahoo!の検索事業だと見られている。
しかし、こうした“部分買収”に納得できないYahoo!の投資家たちは、業績が停滞していたYahoo!を450億ドル以上で完全買収するとしたMicrosoftの申し出を実現に導こうとしている。彼らは、Yahoo!への示威行動をとり委任状争奪戦(プロキシ・ファイト)を仕掛けたIcahn氏に倣い、先に見込んでいた架空利益を現実のものにしようと声を上げ始めたのだ。
| MicrosoftとYahoo!によるオンライン広告ベンチャー立ち上げの可能性を報じたBloomberg.com |
例えば、投資データ・プロバイダーのFactSet Research Systemsが発行している、合併および買収関連ニュースレターの編集者マイケル・エンジェル(Michael Angell)氏はこう述べている。「ここまで来たら、とにかくだれかに(Yahoo!を)買ってもらわねば(株主は)納得しないだろう」
Yahoo!への投資家の1人で、フロリダ州ネープルズの投資活動企業Ironfire Capitalで社長を務めるエリック・ジャクソン(Eric Jackson)氏も、「企業の部分的な取得は好ましいものではない」と部分買収に批判的だ。
「Yahoo!は独立を保つ道へ、Microsoftはゲームを終わらせる方向へ、それぞれ半歩踏み出したことになる。だが、ゲームの終わり方は変わらない。MicrosoftがYahoo!を完全買収するというのが最終的なゴールだ」(Jackson氏)
サンノゼに拠点を置くEnderle Groupのアナリスト、ロブ・エンデール(Rob Enderle)氏は、Yahoo!の対応のまずさがIcahn氏を怒らせ、同氏を“本気”にさせる可能性を指摘する。
「Icahn氏の提案を蹴ったことで、Yahoo!は乗っ取り屋の異名を持つ同氏を不本意かつ不適切に侮辱してしまった。(Yahoo!の)対応には個人攻撃的な色合いが含まれていたからだ。こうなった以上、Icahn氏は汚名をそそぐため、さらなる力を尽くす決意をするかもしれない」(Enderle氏)
一部の専門家は、MicrosoftとYahoo!がオンライン広告分野でジョイント・ベンチャーを立ち上げる交渉を進め、Googleに対抗していくのではないかと予想している。
だが、たとえそうした形で両社が手を結んだとしても、4カ月にわたり繰り広げられてきた茶番劇に幕を引きたい投資家たちを満足させることはできないだろう。「ビジネスを育てようと努力するよりも、資産を売却して現金を手にするほうを選ぶ株主の心境は理解できる」と、ニューハンプシャー州ハンプトンにあるTechnology Business Researchのアナリスト、アラン・クランス(Allan Krans)氏は述べている。
乗っ取り屋と呼ばれた男の野望
Icahn氏が委任状争奪戦の開始を示唆しなければ、Microsoftが部分買収を提案することもなかったはずだ。Icahn氏が動いたからこそ、Microsoft経営陣は再び交渉のテーブルについたのである。
「Microsoftが交渉を再開したのは、ひとえにIcahn氏のおかげだ。同氏と比べると、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏はひどく優柔不断に見えてしまう」と、1993年にIcahn氏の非公式伝記『King Icahn』を執筆したマーク・スティーブンス(Mark Stevens)氏は語る。
さらにStevens氏は、貧しい生まれのIcahn氏が、今の状況を楽しんでいないはずがないと言い切る。「Icahn氏はかつてわたしに、『いつかCEOを集めてゴルフ・コンペを開き、彼らのマティーニに酢を注いでやりたい』と言ったことがある。彼はCEO連中に恥をかかせて勝利を奪うのが好きなのだ」
一方、Yahoo!の完全買収を断念したことは、Microsoftにとって不名誉などではなく、意図的な策略だという見方もある。Yahoo!の前CEOであるテリー・セメル(Terry Semel)氏を辞任に追い込んだ、草の根的な投資家運動を率いていたIronfireのJackson氏はこう言う。「Microsoftの(最初の)撤退表明も、はったりだったのさ」
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