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【解説】
ビジネス革新に貢献してくれる“社外の人々”――「クラウドソーシング」の可能性

事例から“開かれたアウトソーシング”のメリットとデメリットを探る

(2008年07月28日)

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参加者に主導権を握られる危険や、偏った意見に影響されるおそれも

 当然のことながら、クラウドソーシングにも課題はある。例えば、店の経営を顧客に任すことができないのと同様、外部の人間にコミュニティの主導権を渡すのはまずいと、Yankee GroupのEdwards氏は指摘する。「門戸を開くということは、だれでも好き勝手に発言できることを意味する。なかにはその会社を嫌っている人や、株価に不満を抱いている人がいるかもしれない」(Edwards氏)

 Edwards氏は、外部の人間に主導権を渡さないためには、議論の焦点を絞り、コミュニティが目指すゴールを明確にすることが必要だと説明する。これにより余計な意見が極力排除されるとともに、参加者が議論に集中できる環境が生み出されることになる。同氏は、参加者の知性を最大限に発揮させる環境こそが議論の質を高めると指摘する。

 もう1つの方法は、米国Think Passengerや米国Leverage Softwareといったコミュニティ・ソリューション・ベンダーのプラットフォームを利用してプライベート・コミュニティを作ることだと、Edwards氏は話す。同氏によると、米国Hewlett-Packard(HP)と米国Salesforce.comの両社は、顧客、パートナー、ディベロッパーとの関係構築に向けた専用のソーシャル・ネットワークを作るためにLeverage Softwareを採用しているそうだ。

 クラウドソーシングの中には、必然的に参加者が制限されていくタイプもある。例えば、米国InnoCentiveの「オープン・イノベーション・マーケットプレース」に参加できるのは、同社が設定した非常に難解な設問に回答できた人──多くの場合、科学者やエンジニア、発明家、ビジネスの専門家など──に限られる。

 InnoCentiveの参加者は、アイデアが採用されると、賞金として最高10万ドルを受け取ることができるという。「そういう参加者は、いわゆる一般大衆とは違う。つまり同社は、研究施設(コミュニティ)を一般人に開放しているわけではないのだ」と、Edwards氏。

 InnoCentiveのケースでは、コミュニティが荒らされる可能性は皆無と言っていいだろう。しかし、明らかに技術に詳しい人たちだけでコミュニティが構成されているため、多様性に欠けると言わざるをえない。企業は意思決定の際に、一部の層だけの影響を受けすぎないよう注意すべきである。

 Dellは以前、IdeaStormにオープンソースOSを求める声が多数寄せられたことを受け、同社のPCにLinuxを採用する決断を下した(写真3)。「この案には数千人の賛成票が投じられたが、もし参加者がすべてLinuxファンだったとしたら市場全体の声を反映しているとは言えず、Dellは慎重になる必要があった。製品やサービスの方向性をクラウドソーシングだけで判断するのは危険だ」と同氏は警告する。


写真3:Ubuntu Linux 7.04がOSに採用されたDellのデスクトップPC「XPS 410n」は、Dell IdeaStormから生まれた製品だ

不透明な部分はあるが、最適な手法となる可能性も

 TopCoderのシステムを絶賛するCEGのAllred氏でさえ、クラウドソーシングにはデメリットがあると指摘する。例えば、同社の場合、各コンポーネントを1つにまとめ上げる部門を新設し、社内スタッフに新たなスキルを持たせる必要が生じたという。

 Forrester ResearchのSchwaber氏も、TopCoderのシステムには疑問があると語る。「TopCoderはシステム構築のプロセスをうまく可視化したという点では評価できるが、ただ奇をてらっているだけという感じも否めない」(同氏)

 Allred氏は、機密情報をどう取り扱うかという点も課題だと指摘する。CEGでは、システム設計を複数のコンポーネントに分けて進めることに決めたが、そのうちの一部のコンポーネントについては同社の独自情報(ビジネス・ロジックやルール)を使う必要があったため、社内で設計せざるをえなかった。

 一方、知的財産権をどう守るかという参加者にとっては切実な問題もある。クラウドソーシング・プラットフォームを通して、参加者がすばらしいアイデアを公開したにもかかわらず、まったく評価されないばかりか、企業や他の参加者がそのアイデアを持ち逃げすることもありえない話ではないからだ。

 この点についてInnoCentiveでは、すべての参加者に守秘義務の契約に署名することを義務づけているほか、問題提起した企業だけがソリューションのアイデアを見られるようにすることで、第三者が他人のアイデアを見たり盗んだりするのを防いでいるという。

 こうしたマイナス面も確かにあるが、Yankee GroupのEdwards氏は、さまざまなクラウドソーシング手法を試すよう企業に勧めている。「まだ不透明な部分はあるが、企業によっては最適な手法となる可能性もある。ますます競争が激化するなか、まずは試してみるべきだと考えている」(同氏)


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