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ファストサーチのCEOがエンタープライズ検索のビジョンを語る

「企業に不可欠なITインフラへと進化する」

(2006年04月25日)

 エンタープライズに特化した検索エンジンの開発元として、各国で実績を持つノルウェーのファストサーチ&トランスファ。日本でも、楽天、ソフトバンク、リクルートといった大手企業が同社の検索エンジンを採用している。同社の共同設立者でCEOのジョン M.レルヴィック氏は、「Search is more than search(検索の可能性は検索だけにとどまらない)」と語り、検索エンジンを起点に広がりを見せるビジネスの可能性について言及した。

聞き手:林 信行

ファストサーチ&トランスファ CEO ジョン M.レルヴィック氏(写真:片岡 純)
──エンタープライズ検索への注目度が高まっているが、競合他社のサービス、例えばグーグルなどと比べたとき、ファストの強みはどこにあるのか。

 グーグルの「PageRank」が、Web検索の世界において非常に有用な技術であることはだれもが認めるところだろう。だが、例えば、銀行との取り引き情報を検索したいとなったときはどうか。PageRankは、まず何の役にも立たないだろう。

 企業内に蓄積されたあらゆるタイプのデータを扱うことができること、そして、いかに大規模な環境であってもスケーラブルに対応できること。この2つが、ファストの検索エンジンが持つ、他社にはない強みだ。当社は創業以来、これらを備えたエンタープライズ検索プラットフォームの提供に専念してきた。

──あらゆるタイプのデータを1つの検索プラットフォームで扱えるということか。

 そのとおり。従来、テキスト・マイニングの対象となる電子メールや書類ファイルなどと、データ・マイニングの対象となるRDBMS上のデータなどは別々のシステムで取り扱うのが一般的だった。

 だが、ファストの「Enterprise Search Platform(ESP)」(下図)は、データ・タイプを選ばない。OracleやDB2、SQL Serverといった主要RDBMSの構造化データはもちろん、音声ファイル、動画ファイルなどの非構造化データ、それにレガシー・システムのデータも検索対象としてカバーしている。

 そうしたことを可能にするのが、複数のデータ・ソースからESPに情報を取り込む「コネクタ」だ。現在、35種類ほどのデータ・タイプに対応しており、さらに、ユーザー企業のカスタム・アプリケーションをサポートするためのコネクタ開発キットも用意している。

 こうして収集し、セマンティクス解析されたデータからインデックスが生成され、これが高品質な検索サービスを提供する源となっている。


ESPを核としたファストの統合エンタープライズ検索プラットフォーム
──ESPは、デスクトップ検索にも対応しているのか。

 最近注目されている分野だが、当社では、ESPと統合可能な「Personal Search Platform(PSP)」というデスクトップ検索プラットフォームを用意することで対応している。これにより、クライアント・ユーザーのPC内に格納された情報の検索が可能になる。

──ファストは、エンタープライズ検索専業ベンダーとして、どのように成長を遂げてきたのか。

 開発の初期段階からこだわっていたのが、ハイパフォーマンスとハイスケーラビリティの確保だ。Web検索の世界はまずユーザー・エクスペリエンスありきで、その後性能や機能が強化され、サービスが拡充されていくという形をとる。

 これに対し、われわれはまず完璧なエンジンを作って提供し、その後、エンジンの周りにパーツを置き、車を作るというアプローチをとったのだ。その結果、われわれの検索エンジンは早々に評価され、GEやゴールドマン・サックスといった大企業が採用してくれた。

──顧客企業において、エンタープライズ検索はどのような使われ方をしているのか。

 例えば、ゼネラル・エレクトリック(GE)やメリルリンチなどは、イントラネットと公開しているWebサイトの両方でファストの検索エンジンを採用している。こういったグローバル企業が検索エンジンに求める要件は非常にハイレベルで、そうした要求にこたえていくことでわれわれも力をつけてきたと言える。

 また、楽天市場やヨドバシカメラの「yodobashi.com」のように、eコマース・サイトでの採用事例も増えている。これらは毎日膨大なクエリが発生するB2Cサイトだが、ファストの検索エンジンに乗り換えることでサーバ台数を減らすことができ、両社ともにコスト削減と検索品質の向上を達成している。

──ファストが考える、エンタープライズ検索の要件とは?

 高品質な検索サービスを安定した形で提供するには、膨大なクエリにも耐えうるスケーラビリティが欠かせない。ESPのセマンティクス・インデックスは、ストレージに格納された物理的なデータを直接参照せずに処理を行うため、大規模な環境での膨大なクエリにも容易にこたえることができる。

 セマンティクスという名称が示すように、単語だけでなく、意味や情報のレレバンシーも分析されている。これにより、例えば「特定の商品に関係する企業名」や「特定の症例に関する薬の製品名」といったクエリから、的確な情報を瞬時に引き出すことができるのだ。

 それから、当然、セキュリティの確保も重要な要件である。ESPは、ドキュメント単位ではなく、ドキュメントの構成要素単位でセキュリティを管理可能な機能を備えている。

──あなたは講演などで、「Search is more than search」というフレーズをよく口にするが、単なる検索にとどまらない検索とはどのようなものなのか。

 検索は、今や企業にとって重要なITインフラであると同時に、新規ビジネスのイネーブラーでもあるとも考えている。例えばeコマース・サイトの検索入力ボックスは、顧客との対話がスタートする場所だし、イントラネットで活用すれば、そこから新しいビジネス・モデルが創出されることもある。

 これまでの顧客との関係を踏まえて最近力を入れるようになった施策の1つに、「Adaptive Information Warehouse(AIW)」という業務・用途別の情報管理アダプタの提供がある。これはESPをプラットフォームとし、その上で機能するもので、例えば商業出版用、市場分析用、銀行業務用、リスク管理用、コンプライアンスなど、すでに約40種類のAIWを用意している。

 ESPを導入した顧客には、後からその会社のニーズに合ったAIWアダプタをアドオンすることで、それぞれのビジネスをより発展させるのに役立ててもらうことができる。これもまた、われわれが考えるスケーラビリティの一環なのだ。




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