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ユーザーの声から考える“情報共有/活用基盤2.0”
エンタープライズ検索/イントラ・ブログ/ソーシャル・ブックマークの企業での活用
(2007年10月29日)
3. ソーシャル・ブックマーク
ブログ/SNSの欠点を補う新たなEnterprise 2.0系ツール
最後に、最近登場した、新しいEnterprise 2.0系ツールについて紹介する。ブログやSNSを使って暗黙知を表出化させる試みについては前述したが、先行事例を見ると、ブログやSNSのようにあまりにも自由度が高いツールを与えられると面食らうユーザーもいるようだ。何でも書いてよいとなると何を書けばよいのかわからなくなり、結局、何も書けないというわけだ。
こうしたブログやSNSの欠点を補う新ツールとして、みずほ情報総研が注目したのがイントラネット向けソーシャル・ブックマークである。昨年末から、コンサルティング部隊を中心とする社内の一部で試用を開始し、その評価を行ってきた。ブログやSNSのような「何を書けばよいのかわからない」というツールではなく、「必要なニュースを探す」という明確な目的の下に業務に役立つシステムを目指して導入したのだ。
ソーシャル・ブックマークとは、ブックマークを自分だけではなく、ほかのユーザーと共有する仕組みである。ブックマークを共有することで、自分が見逃した情報を、ほかのユーザーのブックマークから知ることができる。また、自分と興味が重なる人の存在に気づくという効果もある。旧来から企業には、新聞や雑誌の切り抜き記事を職場で回覧するという風習があったが、ソーシャル・ブックマークは同じ役目を手軽かつ迅速に果たすと言える。最新の技術や経営手法に対するアンテナを常に張っていなければならないコンサルタントやアナリストにとっては、お互いの関心事も共有できる便利な仕組みだ。
イントラネット向けソーシャル・ブックマークでは「ブックマークを公開する」という特徴を応用した活用法も考えられる。収集した情報を評価するのだ。ソーシャル・ブックマークでは、ポイント順のランキング表示が行われる。あるユーザーが公開しているソーシャル・ブックマーク内のリンクに対して、別のユーザーがブックマークしたりコメントをつけたりすると、そのリンクにポイントが付与され、ランキングが上がる。
従来の情報共有の仕組みでは情報の評価の概念が乏しく、多くの情報がフラットに配信/流通されていたが、イントラネット向けソーシャル・ブックマークでは、こうしたランキングの仕組みによって情報の評価が数値化され可視化されることになる。
企業利用でフォークソノミーを生かすには一工夫が必要
このソーシャル・ブックマークの試行に関して、4月に利用者へのアンケートを実施したところ、ブックマークレットなどの簡易に情報登録できる機能や、自由にコメントやタグの設定ができる点など、既存のナレッジ・ツールにはない操作性の高さもあってか、おおむね良好な評価を得られた(図6)。
| 図6:ソーシャル・ブックマークの試行に参加したユーザーが得られたと感じたメリット |
特に注目すべき点は、ブックマークした情報に対するコメントやそれを起点とした複数社員によるディスカッションの場がオープンになっているため、同僚の考え方を理解できるという声が多かったことだ。ニュースを共有したり、コメントを通じて同僚の意見を取り入れることで、新たな「気づき」につながったのだ。
一方で、ソーシャル・ブックマークの社内利用のための運用上のポイントも見えた。ソーシャル・ブックマークでは、リンクをクリップする際に、それらを分類/整理するタグという識別子を付与する。タグは、ユーザー個々人が自由に登録できる。
インターネット上のソーシャル・ブックマークでは、情報を体系化するプロセスはそれぞれのユーザーの判断にゆだねられ、タグの表記ゆれなどによる多少の誤差が生じても、おおまかな傾向を把握できればよしとされる。つまり、フォークソノミーによって運営されているのだ。
しかし、社内での利用にあたっては、タグの表記ゆれが多くなると、情報の体系的な整理や収集効率が妨げられてしまう。例えば、「ナレッジ・マネジメント」「KM」「ナレッジ」などが別々のタグとして登録されてしまうと、タグをキーワードとして関連情報を探し出すことが困難になる。複数のタグを集合表示して個々のタグの注目度をフォント・サイズの違いや色分けで示すタグ・クラウドでも、情報の注目度合いの濃淡が見えにくくなる。
| 画面1:みずほ情報総研のソーシャル・ブックマーク「イントラnewsing」の利用画面 |
こうした点から、企業利用でフォークソノミーを生かすには、管理者が標準的なタグの設計と表記ゆれを修正して誤差を極小にするといった、トップダウン的なアプローチ、つまりタクソノミー(Taxonomy:トップダウン的で体系だった分類方法)との併用がある程度は必要になると考えられる。
みずほ情報総研では、導入したイントラネット向けソーシャル・ブックマーク・ツール「イントラnewsing」(画面1)の開発元であるマイネット・ジャパンと検討を重ね、こうしたタグの管理機能をはじめとした企業内利用向けの各種管理機能の追加開発を行い、ツールの完成度を日々向上させてきた。そのかいもあって現在では、多忙なコンサルタントが業界に関する新しい情報や動向を把握し、同僚とコミュニケーションを取るために不可欠なツールとして活躍している。
ドッグ・イヤーと言われるIT業界の中でも、Web関連の技術領域における動きは特に早い。ここで取り上げたものにとどまらず、今後もこの分野から次々と新たなテクノロジーやツールが登場し、従来の企業情報システムが苦手としていた分野の課題解決のために導入されていくことだろう。情報システム担当者は、きちんとアンテナを張り巡らせてこうした動向を早めにつかむとともに、それぞれのテクノロジーやツールの性格を正確に把握し、活用できるように努めてほしい。


