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リッチ・クライアント/RIA

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[国内] 【ITアーキテクト特別セミナー】
「リッチ・クライアントに求められているのは、すぐれたユーザー・エクスペリエンス」

企業IT分野でリッチ・クライアントが真に普及するための条件とは

(2008年03月19日)

 アプリケーションやシステムを利用するユーザーの作業効率を高めるためには、すぐれたユーザー・インタフェース(UI)が欠かせない。3月18日に都内で開催された「ITアーキテクト特別セミナー『エンタープライズ・リッチ・クライアント』」(主催:ITアーキテクト編集部)は、企業IT分野におけるリッチ・クライアント技術に焦点を当て、その最新動向や活用のポイントを探った。その基調講演では、野村総合研究所(NRI)情報技術本部技術調査部 上級研究員の田中達雄氏が登壇し、業務アプリケーションのUIとしてのリッチ・クライアントの可能性や課題などについて解説した。

目指すゴールは「ユーザー・エクスペリエンスの統一」

野村総合研究所 情報技術本部 技術調査部 上級研究員の田中達雄氏

 田中氏はまず、リッチ・クライアントという概念が登場した2004年ごろから現在に至るまでの変遷についておさらいしたうえで、「現在は、リッチ・クライアントが大多数のユーザーに利用される、第2普及期にある」と語った。リッチ・クライアントという用語が認知され、さまざまな課題が整理された2006年ごろまでが第1普及期にあたり、以降、それらの課題を踏まえたさまざまな技術や製品が出そろった今が第2普及期というわけだ。

 田中氏は、その第2普及期のゴールとなるのが「ユーザー・エクスペリエンスの統一」であるとした。ユーザー・エクスペリエンスの統一とは、すなわち社内向けのアプリケーションのUIも社外向けのそれと同じ技術で開発し、また、PC向けのUIも、携帯向けのそれも同じ技術で開発するといったことである。そのために超えなくてはならない課題は多数存在するが、その中でも特に、コンシューマーの世界におけるトレンドの重要性を田中氏は強調した。

リッチ・クライアント技術の変遷

 従来型のクライアント/サーバ・ベースの業務システムの大半は、その操作に習熟した一部のオペレーターだけが利用することを前提に設計されていた。しかし、大多数の社員や顧客が業務システムに触れる今日の環境では、多くのユーザーが容易に使いこなせるUIであることが重要となる。それは、まさしくコンシューマーの世界で育ってきた技術である。田中氏は次のように語った。

 「使っていれば慣れるという考え方はもはや捨てなくてはならないと思う。どのUIを採用するかという選択の権利はユーザーみずからが持つべきであって、それは企業で使うITでも同じことだ」

 また、田中氏は、コンシューマーの世界のトレンドが重要である別の理由として、「コモンセンス(常識)の形成」も挙げている。多くのユーザーが使うことによって生まれたコモンセンスには、使いやすい、すぐれたUIのためのヒントが含まれているからである。

 「コモンセンスはユーザー・エクスペリエンス統一のために非常に重要な要素となる。ただ、コモンセンスは人間の本質的な認知心理によって生まれるものなので、それだけにとらわれる必要はない」(田中氏)

ユーザー・エクスペリエンス向上の効果

 それでは、ユーザー・エクスペリエンスを向上させることによって具体的にどのような効果が得られるのだろうか。田中氏は、第一に業務の生産性の向上を挙げた。「高いユーザー・エクスペリエンスはポジティブな情動を生み、その結果として細部への注意や創造的な思考を促進するから」というのがその根拠だ。

 また、オペレーターの作業が自動化できる点も大きな効果である。「従来のIT化は、単純労働を自動化することを主な目的として進められてきた。ユーザー・エクスペリエンスの向上はそれをさらに促進するだろう」と同氏は指摘した。

カギを握るのは「エクスペリエンス・テクノロジー」

 講演の後半では、将来的なリッチ・クライアントの形について言及された。田中氏は、「今後、リッチ・クライアントの分野でメジャーな地位を確立するために重要なポイントは、その技術が何より多くの利用者に支持されることだ」と述べた。前述のように、技術の選択権は利用者にあり、利用者が増えなければ開発者も獲得できないからである。そこで利用者をより多く獲得するためのポイントとして、同氏は以下のような要素を挙げた。

・クロスプラットフォーム(マルチOS、マルチブラウザなど)
・マルチデバイス(軽量化、オフライン機能など)
・高画質
・3D対応

 また、田中氏は、上記に加えて、オープンソース化も大きく影響するだろうとした。例えば、「Flash」や「Adobe AIR」で知られるAdobe Systemsなどは、オープンソースによって新たな価値を作り出す戦略をとっている。

 さらに将来的な話として、リッチ・クライアントは、「エクスペリエンス・テクノロジー(経験創出技術)」と融合していくことになる、と田中氏。エクスペリエンス・テクノロジーとは、ユーザー・エクスペリエンスを高める技術全般を指す、NRIによる造語である。エクスペリエンス・テクノロジーでは、アプリケーションのデザインをプロセスや機能を中心に考えるのではなく、ユーザーが触る、使うという経験を中心に考えるという。

エクスペリエンス・テクノロジー(経験創出技術)

 そもそもユーザー・エクスペリエンスとは、エンドユーザーと、企業およびそのサービス、製品との相互作用に関する、あらゆる面を含んだ用語であり、リッチ・クライアントはそのうちの「目に見える部分」を担当するものだと田中氏は説明した。しかし、目に見える部分だけでは本当の意味でのユーザー・エクスペリエンスは実現できない。NRIが提唱するエクスペリエンス・テクノロジーは、目に見える部分に加えて、「命令を出す部分」「目に見えない頭脳となる部分」「開発手法」の4つの分野からなるという。

 命令を出す部分とは、ユーザーからアプリケーションへ何かを指示する部分であり、ナチュラル・インタフェースなどがその関連技術となる。また、目に見えない部分では、ユーザーに対する適切なアドバイスの提示、フローやコンテンツ、見た目の最適化などが重視される。

 「ユーザーが期待する以上のUIを実現するためには、これらの4つの分野に対する技術を総合的に向上させることが重要だ。今後、UIの価値がさらに高まっていく中で、リッチ・クライアントは、ユーザー・エクスペリエンスの見える部分をつかさどるものというその立場がより明確になっていくだろう」(田中氏)

(杉山貴章)




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