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リッチ・クライアント/RIA
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目指すは「脱ブラウザ」――スタンドアロン型リッチ・クライアント最新事情
次世代デスクトップ・プラットフォームの“本命”となるか
(2007年04月04日)
ここにきて、Windows VistaのガジェットやYahoo!ウィジェット、Mac OS XのDashboardといった、いわゆる「スタンドアロン型リッチ・クライアント・アプリケーション」に向けた関心が高まりつつある。2007年後半には、アドビのマルチプラットフォーム対応アプリケーション実行環境「Apollo」の正式リリースが控えており、RIA(Rich Internet Applications)市場は正に群雄割拠時代を迎えたと言えよう。もっとも、それらツールの可能性は未知数であるが、ベンダー各社はいずれもプラットフォーム上にリッチ・コンテンツを実現するツールの開発に力を注いでいる。本稿では、RIA市場で注目されるスタンドアロン型リッチ・クライアント・アプリケーションの方向性について考察したい。
田中達雄
野村総合研究所
RIA市場に旋風を巻き起こすデスクトップ・ミニアプリケーション
2006年後半からガジェット/ウィジェットと呼ばれるデスクトップ・ミニアプリケーションがにわかに話題に上るようになってきた。これらはWebブラウザの制約から解放された独自の実行エンジン上で動作するリッチ・クライアントの一種である。
今やインターネットにアクセスできる環境は、PCだけでなく携帯電話、ゲーム機、ケーブルTVのセットボックスなど広がりを見せている。このような環境下では、老若男女問わず容易に操作できる、今まで以上にリッチなユーザー・インタフェースが不可欠となる。場合によっては、Webブラウザの枠を脱する必要も出てくる。
例えば、任天堂の新型ゲーム機「Wii」のユーザー・インタフェースや、2006年10月にマイクロソフト主催で開催されたWeb開発者向けイベント「REMIX Tokyo」の基調講演においてNHKが明らかにした、表現力の高いグラフィックス技術「Windows Presentation Foundation(WPF)」を活用した動画配信アプリケーションのインタフェース、同じく10月にアドビ システムズが「Adobe Max 2006」で公開した、開発中のアプリケーション実行環境「Apollo」上で動作する米国イーベイのオークション・アプリケーションなどがそれに当たる。
そもそもWebブラウザは、HTMLで記述された静的なドキュメントをダウンロードし、レンダリング、表示するために開発されたアプリケーションである。したがって、ユーザーとインタラクティブに情報をやり取りするのに向いているとは言い難い。
確かに過去の時点では、クライアント/サーバ型システムと比較して、ブラウザさえクライアント側にあれば情報を伝達できるという点でメリットはあった。また、当時はネットワークの回線速度も遅かったことから、軽量なHTMLファイルの情報伝達手段としてブラウザは重宝された。そのため、これまではブラウザの制約を理解したうえで、アプリケーションのクライアントとして役立つよう創意工夫されてきた。
しかし、回線速度の飛躍的向上により、バイナリ形式の数メガ・バイトのアプリケーションも即座にダウンロードして実行できるようになった現在、必ずしもHTMLファイルのレンダリング・エンジンであるWebブラウザをユーザー・インタフェースの配信先として指定する必要はなくなってきている。むしろ、ブラウザにはキーボード操作など制約が多いため、リッチなユーザー・インタフェースを実現するRIA(Rich Internet Application)を活用する場合には、ブラウザを介さないほうが都合がよい場合もある。
以下では、“脱ブラウザ”を実現する「スタンドアロン型リッチ・クライアント・アプリケーション」(「デスクトップRIA」と呼ぶ場合もある)にスポットを当て、RIA市場およびベンダー各社の動向などについて考察したい。
拡大し続けるリッチ・クライアント市場
リッチ・クライアント市場はこのところ、これまでにない盛り上がりを見せており、現在は第2次成長期にあると考えられる(図1)。
| 図1:リッチ・クライアント市場の動向 |
2004年ごろはリッチ・クライアント自体を啓蒙する混沌とした時期、2005年には先行導入したユーザー企業から事例や課題が公表されたことで、リッチ・クライアントのあるべき姿が浮き彫りとなった。2006年に入ると、過去の課題を解消し、リッチ・クライアントとして改善もしくは新たに開発された製品や技術が市場に出回り始めた。
ガジェット/ウィジェットといったスタンドアロン型リッチ・クライアントが台頭し始めたのはこの時期からである。それらのほとんどは、同じスタンドアロン型リッチ・クライアントであるOfficeアプリケーションやJavaアプリケーションなどが従来から提供していた業務アプリケーション用のユーザー・インタフェースとしてではなく、コンシューマー向けのミニ・アプリケーションとして提供された。
それらの中には、アマゾンやイーベイなどのサイトのAPIを呼び出すユーザー・インタフェース部分だけを提供するものもあり、Web技術が将来コモディティ化した際、ユーザー・インタフェースが差別化の重要な要素となることを予感させた。
ガジェット/ウィジェットの多くはプロシューマー(注1)によって作成されており、そのほとんどが無料で提供されている。その動機は、自身の作品を世界に発信したいという欲求を満たすためと言われており、いわゆるWeb 2.0的な現象(注2)により普及が拡大している。
注1:生産者であるプロデューサーと消費者であるコンシューマーを組み合わせた造語
注2:野村総合研究所では、この現象を「CGUI(Consumer Generated User Interface)」と呼んでいる





