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[世界]
大胆予測:2007年に勃発するIT業界の重大事件

(2006年12月28日)

 野球の世界では、打者がバットでスタジアムの一角を指し示し、その方向にホームランを放つことを“予告ホームラン”と呼ぶ。1932年のワールド・シリーズでベイブ・ルースは実際に予告ホームランを打ったとされるが、いくらベイブ・ルースでも本当かどうかは疑わしい。野球という運も左右するゲームで、回転しながら飛んでくるボールを円柱状のバットで正確にコントロールするなど、まず不可能だと考えるのが自然だろう。

 この際、予告のことなど考えず、とりあえずバットをぐるぐる回しながら外野のあちこちを指してバッター・ボックスに向かい、あとは思い切りバットを振って見事にボールに命中すればどこかに飛んでいくに違いない。

 もうすぐ新年を迎えようとする今、2006年を通してITベンダーとユーザーの取材に駆け回ったInfoWorld米国版のスタッフが、来年中にIT業界で起こりそうな5つの可能性を大胆予測した。ベイブ・ルースのような特大のホームランになればお慰みだ。

サンが主役の座に復帰

 サン・マイクロシステムズがかつて栄華をきわめていたのはだれもが知るところだ。ドットコムの申し子とまで言われたサンだが、今の株価は2000年9月に付けた最高値の10分の1にも満たない。同社の製品ポートフォリオは数々の素晴らしいテクノロジーにあふれているが、アナリストやメディアからはせっかくの資産を生かし切れていないとの批判を浴び続けてきた。

 だが、サンを見限るのはまだ早い。カードの切り方さえ間違えなければ、2007年は運勢が逆転し、企業コンピューティングの世界でオープンソース・ソフトウェアの新たな雄として脚光を浴びる可能性は十分にある。

 サンは、数年に及ぶ沈黙を破り、ようやく同社のフラッグシップであるJavaプラットフォームをGNU GPL(General Public License)の下でオープンソース化することを決断し、頂点への道を再び駆け上ろうとしているように見える。

 オープンソース化は11月に発表されたが、レッドハットによるジェイボスの買収やマイクロソフトとノベルの提携といった大きな出来事にかき消され、目立ったニュースにはならなかった。

 だが、サンが今後の開発をJavaコミュニティに託すことはまず間違いないだろう。同社は2007年も主要な標準化団体やオープンソース・コミュニティへの参加を表明し、積極的なキャンペーンを展開してそのメッセージを伝え続けていくはずだ。

 パートナーシップにも変化がありそうだ。IBMとの間で新たな関係が構築されることにより、サンに対するIT業界やユーザー、コミュニティの評価が高まり、2007年にIT界の主役として再び桧舞台に立つことになるかもしれない。(ニール・マカリスター)

8CPUのコンピュータが5,000ドル未満で

 今年の半導体業界は激動の1年だった。インテルによるコア・マイクロアーキテクチャのCPUとその関連ロジックの発表は、Pentium 4を支えるNetburstを弔う鐘のように聞こえた。インテルはロードマップの計画実現を阻んでいた壁をついに打ち破った。

 コア・マイクロアーキテクチャは、Netburstとは異なり、コアの個数を増やすことで性能を飛躍的に高めることができる。実際、その数は着実に増加しつつある。インテルは今年11月に、クアッドコア・プロセッサとハイエンド・プラットフォーム「Kentsfield」を発表し、AMDに先制攻撃を加えた。

 インテルは、今回の発表で、同社の技術力を誇示できたばかりか、同社が高性能デスクトップ市場に真剣に取り組んでいる証拠を示すことにも成功した。

 AMDとインテルは1ワット当たりの処理性能を競い合っているが、環境に配慮したグリーン・コンピューティングをあえて犠牲にしても、より高い処理能力を熱望しているユーザーがいることも理解している。

 AMDのデュアルソケット・プラットフォーム「Quad FX(開発コード名:4x4)」はこの市場にねらいを定めているが、ベースは「Athlon 64 FX」プロセッサである。

 2007年中旬までには、64ビットのクワッドコア・プロセッサがx86搭載のデスクトップおよびサーバ・コンピュータの事実上の標準になっていることだろう。2ソケットのワークステーションやサーバは、5,000ドル未満で8個という驚異的な数のプロセッサ・コアを搭載するはずだ。

 インテルは、ソケット当たり2コアの「Woodcrest」サーバ/ワークステーション・プロセッサを、チップの交換だけでソケット当たり4コアにアップグレードできるように設計した。

 AMDもRevision F以降の「Opteron」およびAthlon 64 FXシステムを同様に設計している。Opteronシステムを8ソケットに拡張できることから、2007年のIT部門は以前の4ウェイ・サーバと同じ予算で32ウェイ・サーバを買えることになる。そろそろサーバ統合の時期かもしれない。(トム・イェイガー)

SaaS需要が爆発──IT部門の影響力は低下

 2007年には、SaaS(Software as a Service)の大手ベンダー間でコスト削減競争が激化し、オフショア・アウトソーシングも本格化しそうだ。

 特にSaaSの最大手であるセールスフォース・ドットコムは、同社のオンデマンド・プラットフォーム「AppExchange」よりも安くて良質のサービスを提供するオフショア・アウトソーサーによって、年明け早々から手痛い打撃を被ることになるだろう。

 セールスフォースもこれに対抗し、インドやロシア、ボツワナなどに大規模なホスティング・サイトを設立することを発表して迎え撃つことになるかもしれない。

 SaaSの重要性が高まるにつれて、オフショア化はますます決断しやすくなる。そもそも、サービスをホスティングするのであれば場所はどこでもかまわないからだ。

 SaaSソリューションを普及させる要因は何か。それは、コンプライアンス(法令順守)である。

 フォレスターの最近の調査によると、コンプライアンスに伴う「e-Discovery(電子開示)」だけを見ても、米国連邦民事訴訟規則(Federal Rules of Civil Procedure:FRCP)の改定によって2011年には48億ドル産業になるという。

 その大半はSaaSプロバイダーの手に渡ることになりそうだ。会社のフロアが配水管の破裂で水浸しになればすぐに配管業者を探すのと同様、法規制に頭を抱えるIT部門はSaaSなどのホステッド・ソリューションに頼ることになるだろう。

 2007年のSaaS成長の起爆剤になりそうなトレンドはほかにもある。アリー・ヤング氏がまとめたガートナーの調査によれば、2008年までにユーティリティ・ソフトウェアの70%以上がIT部門ではなくビジネス・ユニットやライン・マネジャーをターゲットとするようになり、新規購入ソフトウェアの30%以上はユーティリティ・モデルでの提供になるという。

 ガートナーの予測が正しければ、近い将来エンタープライズにおけるIT部門の影響力は著しく低下することになるはずだ。(エフライム・シュワルツ)

シスコがウイルス対策ベンダーを買収

 シスコシステムズがセキュリティ・ベンダーを買収するのは容易に想像できる。カリフォルニア州サンノゼに本社を置くこの大手ネットワーク・ベンダーは、2004年と2005年の両年、平均して月に1社のペースで企業を買収しており、そのほとんどはセキュリティ・ベンダーであった。2007年にはさらに多くのセキュリティ・ベンダーを買収すると思われる。その中にはウイルス対策ソフトウェアの会社も含まれるだろう。

 なぜウイルス対策なのか? それは、シスコにとって、ウイルス対策ベンダーが提供するサービスが不可欠であるからにほかならない。シスコの主力製品であるスイッチやルータにセキュリティ・インテリジェンスを統合する「自己防衛ネットワーク」構想は、同社の将来を担う重要なかぎとなっている。

 従来、自己防衛ネットワークを最も体現していたのは、LANやWANへの接続を試みるコンピュータやデバイスのセキュリティ状況を詳細に調べることができるシスコのNAC(Network Admission Control)プログラムであった。

 しかし、今年の8月にラスベガスで開催されたセキュリティ・コンファレンス「Black Hat」では、セキュリティ専門家らが、悪意のあるハッカーがいかにしてMACアドレスとIPアドレスを偽装してネットワーク上の既知のシステムになりすますかを実証して見せた。

 また、他の専門家からも、ルートキットを使えばサードパーティのセキュリティ製品から発行されたリポートを改竄できるとの指摘がなされた。もはやクライアント・スクリーニングだけでは完全な防衛策にはなりえないのだ。

 シスコとしても、こうした脅威がある以上、研究者やマルウェア・シグネチャ・データベース、そして脅威を識別するための次世代セキュリティIPを、他社から借用するのではなく所有する必要性が出ている。同社のネットワーク・アーキテクチャはますますサービス指向の度合いを深めており、ソフトウェア・ベースのウイルス対策と不正侵入の検出をサービスの一環にしたいというわけだ。(ポール・ロバーツ)

されど、オープンソースJavaにはインパクトなし

 1年後、オープンソースJavaはIT業界やオープンソース・コミュニティにどのような影響を与えているだろうか? 2007年のクリスマスになっても、違いに気づく人はほとんどいないと断言したい。

 実際、Javaのオープンソース化は、西暦2000年問題の再現にしかならないだろう。あのときも、世界中が大騒動となり一部では社会不安まで起こったが、結局は杞憂に終わり、いつもと変わらぬ生活が続いた。

 クローズド・インプリメンテーション時代のJavaも、すでに「Spring Framework」や「Apache Jakarta」、「Eclipse」プロジェクトなど、さまざまなオープンソース・プロジェクトを誕生させている。オープンソースJavaのアプリケーション・サーバ・ベンダーであるジェイボスに至っては、オープンソースJavaなしで、かなり立派なビジネス・モデルを構築して見せた。

 サンの思い切ったオープンソースJava作戦が2007年中にさしたる効果を上げるようには思えない。アプリケーション開発の分野で大きな動きを見つけるには、マイクロソフト陣営に注目したほうがよさそうだ。(ポール・クリル)

(InfoWorld 米国版 スタッフ)




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