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【連載】
未来的テクノロジー・ベスト10
第3回 SaaS形式でPC環境を提供するWebベースの次世代OS「G.ho.st」
(2008年01月18日)
「Computerworld Horizon Awards」は、米国の研究機関やITベンダーのR&D部門などが、近い将来の実用化・製品化を目指して開発した最先端テクノロジーを読者に紹介すべく、2005年に創設されたものだ。本連載では、2007年度の“受賞作品”を一挙に紹介する。開発者たちのコメントから、イノベーション創出の最前線、そして企業コンピューティングの明日を感じ取っていただきたい。今回紹介するのは、SaaS形式でPC環境を提供するWebベースの次世代OS、G.ho.st(イスラエル)の「G.ho.st」だ。
Gary Anthes
Computerworld米国版
SaaS形式でPC環境を提供するWebベースの次世代OS
G.ho.st
G.ho.st(イスラエル) http://g.ho.st/
「G.ho.st(Global Hosted Operating System」(画面2)は、イスラエル・エルサレムの新興企業G.ho.stが開発した、任意のクライアント・デバイスからWebブラウザ経由でのアクセスを可能にするホステッド型OSである。
| 画面2:G.ho.stのデスクトップ画面。Webブラウザやメール・クライアント、ウィジェットなどの各種アプリケーションがあらかじめインストールされており、3GBのストレージを無料で利用できる。日本語も対応しており、ルック・アンド・フィールはWindowsなどのOSとほとんど変わらない |
同社CEOのズビ・シュライバー(Zvi Schreiber)氏は、「G.ho.stは、昨今注目されているSaaS(Software as a Service)の考え方を取り入れた次世代の仮想コンピュータ(VC)サービスだ。Webブラウザ経由で提供される同サービスは、貴重なアプリケーションやデータを1台の物理コンピュータに閉じこめる従来型のOSモデルは時代遅れというわれわれの強い信念に基づいて開発されている」と語る。
G.ho.stの仮想OS環境では、アップグレードやパッチ適用といった作業が不要で、データは常にバックアップされる。「G.ho.stの最大の売りは、デバイスを自由に選べることにある。学校で複数のPCを使用している若者も、機密情報を記録したノートPCをなるべく外に持ち出したくないと考えているビジネス・パーソンも、G.ho.stを活用することで、任意の場所から好きなデバイスを使って自分専用のコンピューティング環境にアクセスすることが可能になる」と、Schreiber氏は力説する。
G.ho.stは、同社が運営する仮想コンピュータ内で動作するアプリケーション・サービスとして無料で提供される。Schreiber氏によると、サードパーティのサービス・プロバイダーがユーザーに製品やサービスを販売した際に発生する手数料が主な収益になるという。
G.ho.stは現在、アルファ版が一般公開されており、Webサイトで会員登録を済ませればだれでも利用できる。「まもなくベータ版をリリースできる見込みだ。まだ完璧と言えないが、OSとしてより本格的に使えるようになっている」とSchreiber氏は胸を張る。
G.ho.stユーザーは「Word」や「Excel」といったローカルへのインストールが必要なアプリケーションは使えないが、「Google Docs&Spreadsheets」とのようなWebベースのアプリケーションを代替として利用することができる。Schreiber氏は、来年中にもパートナーを探してさまざまな人気デスクトップ・アプリケーションのWebホステッド版を開発し、ユーザーのデータをG.ho.stの環境に移行させたい考えだ。
ミネソタ州パークラピッズ在住のカトリック司祭で、自称「コンピュータ・ナード(オタク)」のリック・ボイド(Rick Boyd)氏は、G.ho.stを使って毎日のようにWebブラウザのブックマークを管理したり、ホスティングされたファイルやドキュメントにアクセスしているという。同氏は、「場所を選ばず、どのコンピュータからでも自分のブックマークにアクセスできる点が気に入っている」と述べたうえで、「何よりも、仮想デスクトップであることが実に革新的だ」と語っている。
G.ho.stは、従来のデスクトップ・アプリケーションの外観と機能を持つWebアプリケーションを開発/配信するためのオープンソース・プラットフォーム「OpenLaszlo」を用いて構築されている。なお、G.ho.stは米国Amazon.comが提供する「Amazon Web Services(AWS)」によってホスティングされている。
「OpenLaszloとAWSを使用しているとはいえ、G.ho.stの開発者は、堅牢でセキュアなアーキテクチャの構築に向けて、相当な量のプログラムを書き、複雑なシステム統合作業を行う必要があった」とSchreiber氏は強調する。
なお、G.ho.stでは、一部の処理とメモリ使用をサーバからクライアントに移すことでスケーラビリティの改善を図っているという。
- 未来的テクノロジー・ベスト10
- 第1回 バッグや衣服に装着可能な液晶ディスプレイ「Wearable Display Module」
- 第2回 目の動きでコンピュータを操作する「EyePoint」
- 第3回 SaaS形式でPC環境を提供するWebベースの次世代OS「G.ho.st」
- 第4回 言葉をコンピュータ言語に変換できる自然言語処理技術「Streaming Logic」
- 第5回 “スライス”したデータを分散保存して安全・安価なストレージ利用を可能にする「Dispersed Storage」
- 第6回 さまざまなシーンでの活用が期待される、インクを使わない印刷技術「ZINK Paper」
- 第7回 あらゆる物にはり付けられ無線でデータ発信できる超小型メモリ「Memory Spot」
- 第8回 グリッド対応サイト間での医用画像の準リアルタイム転送を可能にする「Globus Medicus」
- 第9回 組み込みシステムで使用可能なメモリ容量を倍増するメモリ圧縮技術「CRAMES」
- 第10回 オンライン取引の安全性を保証する「Norton Identity Client」






