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[米国]
監視カメラ・システムのプライバシー問題に取り組むIBM

自動的にぼかしを入れる技術を開発中

(2007年03月19日)

 監視カメラ・システムのプライバシー問題に米国IBMの研究者が取り組んでいる。監視フレーム内の人々の顔に自動的にぼかしを入れる技術を開発することで、成長著しい監視システム市場で技術力の高さをアピールしたい考えだ。

 近年、都市や空港などの公共スペースでセキュリティ上の不安が高まっており、監視カメラ・システムを導入する動きが自治体などで急速に広がっている。しかし、監視カメラの数が増加するにつれて、プライバシー侵害を懸念する声も挙がり始めている。

IBMグローバル・サービセズ・グループのデジタル監視カメラ担当ディレクター、ジョアキム・スターク氏

 IBMグローバル・サービセズ・グループのデジタル監視カメラ担当ディレクター、ジョアキム・スターク氏によると、同社では、ビデオフレームに映っている人の顔を識別し、自動的にぼかしをかけることで、人々の映像(およびその動き)が記録されないようにする技術を開発中だ。「プライバシー上の懸念を和らげることが目的だ」と同氏は説明する。

 しかし、ぼかしを入れると、多数の人物の中から容疑者を特定できなくなる可能性が出てくる。捜査機関では、監視カメラで記録されたビデオ映像を基に犯罪者を割り出すという捜査手法を多用しているからだ。ぼかしが入ってしまうと、監視カメラを設置する意味はほとんどなくなってしまう。

 解決策の1つは、容疑者と思われる人物を自動的に特定し、その顔だけにぼかしを入れないようにすることだ。すでに、挙動不審な人物が特定エリアにいた場合に警報を出す映像分析ソフトが実用化されている。

 こうした人物が検知されると、Tivo(テレビ番組を録画し、コマーシャルをとばして見ることができる機器)のようなやり方で映像を巻き戻ししたり、容疑者がフレームに入った瞬間からぼかしを外したりできると、スターク氏は説明する。

 もう1つの解決策は、映像の録画開始時点ですべての顔にぼかしを入れ、正当なアクセス許可を得た捜査員が後からぼかしを外した映像を見られるようにすることだ。

 ただ、どちらのソリューションも完璧ではない。スターク氏も、IBMのワトソン研究センターで開発中のぼかし技術が実用に耐えられるようになるのは早くて数年先だと認めている。

 IBMはすでに、監視カメラ・システム用の各種ソフトやサービスをそろえており、昨年末以降、小売業界や銀行、公共機関向けに出荷している。「Smart Surveillance System」と呼ばれるIBMの製品は、ビディエントやオブジェクトビデオなど、この市場ですでに地歩を築いているベンダーと競争を展開することになる。

 スターク氏によると、監視カメラ・システム市場は、およそ15%の年率で成長しているという。IBMとしては、開発中のぼかし技術と、映像データの保存・分析を支援するデータベースやミドルウェアにより、他社との差別化を図りたい考えだ。

 監視技術は、かなり以前から実用化されている。例えば、IBMの分析ソフトはメタデータ(フレーム内にある物体の色やサイズなど、映像に含まれるデータに関する情報)を記録することができる。そのため、挙動不審の人物が赤いセーターを着ていたという目撃証言があった場合は、監視ソフト上で「赤」を検索し、該当する映像を抽出できると、スターク氏は述べた。

 しかし、この種のシステムから生み出されるデータ量は膨大なため、データ圧縮技術の導入が不可欠だとスターク氏は語っている。

(ジェームズ・ニコライ/IDG News Service パリ支局)




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