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ソフトウェア開発

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[国内] 【デブサミ2008】
「新しい価値観を創出するアーキテクチャを!」

4人の技術者が語るソフトウェア・アーキテクチャのあり方

(2008年02月17日)

 ソフトウェア・アーキテクチャの歴史を振り返りつつ、その本質と意義を考えるという趣旨のパネル・ディスカッションが、2月13〜14日に東京・目黒で開催された「Developers Summit 2008」(デブサミ2008/主催:翔泳社)の中で行われた。パネラーとして登壇したのは、1980年、1990年、2000年の各年代にIT業界に足を踏み入れた4人の技術者。4人はそれぞれ入社当時のことを振り返りつつ、これからのアーキテクチャのあり方について語った。

 1980年代の代表として登壇したのは日本IBMの榊原彰氏である。「よもや20年もこの業界にいるとは思わなかった」と氏は語り、会場を沸かせた。

 同氏のエンジニア人生が始まった1986年は、銀行における第3次オンライン・システムの開発が活発化していたころと重なる。レイヤ・アプローチが大々的に取り込まれた時期であり、そのころのパラダイムは集中型だったと同氏は語る。「バズワードはいつの時代でもあるが、当時のバズワードはCASE。このころから、集中→分散→集中というようにアーキテクチャは変化していった」

日本IBMの榊原彰氏(左)と日本ユニシスの牧野友紀氏

 一方、第3次オンライン・システムの開発が落ち着き、メインフレームがまだ主流だった1990年代前半を、当時の代表として振り返るのは日本ユニシスの牧野友紀氏だ。同氏はそのころを、「1980年代の苦労をベースに、ソフトウェア・エンジニアリングへとつなげていった時期」と顧みつつ、当時のハードウェアとソフトウェアの状況をこう語る。

 「コンピュータ・ベンダーの収益はハードウェアに依存し、ディスカウントのしわ寄せはソフトウェアにきていた。(ハードウェアを何台も購入できるユーザーはほんのわずかなため)スケールアウトではなくスケールアップですべて詰め込んで処理しようとしていた」

 それからさらに月日が経ち、1990年代の後半になると、インターネットが企業でも普及し始める。arciamp.jpを主催する鈴木雄介氏は、そのころの自身の状況をこう回顧する。

 「僕が入社した1990年代後半は、ソフトウェアを作ればハードウェアに載るという感じだった。入社したとき、インターネット環境はすでにそろっており、メールも使える状況だった。仕事内容は、C/S(クライアント/サーバ)システムの保守やデータ・ウェアハウス系のシステム開発。(両者のシステムの)アーキテクチャが異なるため、どうのこうのというやり取りを行っていたのが印象に残っている」

arciamp.jpの鈴木雄介氏(左)とウルシステムズの河村嘉之氏

 1990年代の後半と言えば、新しいプログラミング言語としてJavaが登場し話題になった時期でもある。Javaしか知らない状況で入社したと語るのは、もう1人の2000年代の代表、ウルシステムズの河村嘉之氏だ。「Javaはメモリの部分が抽象化されているため、(ハードウェア的に)深い感覚を持つことはなかった」と、同氏はそのころを振り返る。

マッシュアップに見る新しい価値観

 自己紹介を兼ねた4人の入社当時の話が終わると、ソフトウェア・アーキテクチャのあり方に話題が移った。まずはハードウェアとソフトウェアの分離について榊原氏が語った。

 同氏によると、ハードウェアとソフトウェアが分離し始めたのは、反トラスト法違反で訴えられそうになったIBMが、ソフトウェアをハードウェアと分けて提供するようになったことが背景にあるという。

 それからしばらくすると、ベンダーの「悩みの種」となったC/Sモデルが登場する。「ソフトウェア・ベンダーが増えていくと、今度はC/Sモデルで苦労するようになった。以前はスーパーエンジニアがいて何でもこなしていたが、C/Sモデルの導入が進んでからは、そういったことがなくなった。こうした流れが、ITアーキテクトと呼ばれる職種が生まれた理由でもある」(榊原氏)

 さらに同氏はアーキテクチャのあり方について。「今のアーキテクチャ論がソフトウェアに偏りすぎているのも問題だと思う。インフラであるハードウェアのスケールアウトも考慮したアーキテクチャを設計すべきではないだろうか」と述べた。

 一方、河村氏はWeb 2.0時代のソフトウェア再利用性についてこう語る。「ロジックよりもコンテンツのほうが、(われわれが)欲しいものに近いのかなと。ロジックを使い回そうとすれば、結局は入出力部分を調整する必要が出てくるが、コンテンツであれば欲しいものに近く、より扱いやすくなりそうだ」

 Web 2.0に関しては、他のパネラーからもさまざまな意見が出された。鈴木氏は、マッシュアップのような考え方がソフトウェアの新しい価値観を創出すると強調する。

 「旅館のデータをGoogle Mapsにマッシュアップしてみると、宿泊料金の高い旅館ほど温泉街にあることが見えてくるし、さらにはフォッサマグナの位置と重なっていることもわかる。マッシュアップすることで、今まで検討すらしなかったことが明らかになるわけだ。こうしたマッシュアップが新しい価値観を創出するというのがとても大切なことで、今後は新しい価値を構築できるソフトウェア・アーキテクチャを採用するべきというのが重要ではないだろうか」

 マッシュアップに関しては、牧野氏が「データとインフォメーションは違う」という点を理解しておくべきと主張する。「もともとあったインフォーメーションからセマンティックスを外し、そこに自分のセマンティックスを追加するというのが大切」(牧野氏)

 さらに牧野氏はこう続ける。「(マッシュアップのような)今起きている潮流は、要するに開発者に依存していたシステム開発が限界にきていることに起因すると思う。今までは標準化や汎用化で対応してきたわけだが、このアプローチはもう限界だと。それに代わるのが、例えばソフトウェア開発の8割をベンダー側が行い、残る2割は利用者に委ねてしまうというやり方だ」

 利用者に委ねるというアプローチをIBMでは「シチュエーショナル・アプリケーション」と呼んでいると榊原氏。「必要とするユーザーの側で必要なものを作る。そうした意味で、マッシュアップというのは有効なテクニックとなるだろう」(同氏)

(後藤大地)




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