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【連載】
サイバー・セキュリティ[罪と罰]
第1回 トロイの木馬を仕込んで児童ポルノを摘発
(2008年05月13日)
正義の自警活動に立ちはだかる法の“壁”
現在、多くの州法/連邦法は、コンピュータへの無許可アクセスを違法と定めている。ニューヨークに本拠を構える国際法律事務所のThelen Reid Brown Raysman&Steinerで弁護士を務めるジェフ・ニューバーガー(Jeff Neuburger)氏は、Willman氏の一件について以下のように指摘する。
「Willman氏と同様、違法な手段を使ってもインターネット上で犯罪者を追跡する人の数は、増加の一途をたどっている。もしWillman氏が警察に情報を提供しなければ、起訴されていた可能性が高い。ただし、その場合でも、Willman氏は米国内で活動を行っていたわけではないため、米国当局による起訴は難しかったかもしれない」
Neuburger氏によると、米国の警察官はWillman氏のような人々に対し、「たとえ正義感に駆られてやったとしても、君たちの行為はまちがっている」と警告し、野放しにしないよう努力しているという。ただし彼らに対して積極的に重い刑罰や処罰を科すことはほとんどないようだ。
しかし、だからといって違法な自警活動は許されるものではない。Neuburger氏は、「Willman氏のような自警活動者の問題点は、誤って無実の人々を犯罪者扱いしてしまうことだ。もしWillman氏がそうした過ちを犯していれば、実刑判決は免れなかっただろう。正義の目的であっても違法な自警活動は、非常に危険な行為であること忘れてはならない」と指摘し、注意を呼びかけている。
助けたくても助けられないジレンマ
現在27歳のWillman氏は、ブリティッシュ・コロンビア州レングレイの小さなケーブル会社で働きながら両親と暮らしている。副業でコンピュータの修理も行っており、将来はコンピュータのセキュリティ研究者になるのが夢だという。
ちなみにKline元判事には、27カ月の禁固刑の判決が下された。Willman氏はこの量刑を「妥当」と評している。
Willman氏の下には、いまだに児童ポルノの追跡に手を貸してほしいとの依頼が舞い込んでくる。しかし彼にできることは、知っている監視グループを相談者に紹介するだけだという。
「自分たちの子供を守ろうとしている人々の力になりたい。しかし、それは禁止されている行為なんだ」(Willman氏)
Willman氏は自身の自警活動が違法であることは当初から認識していたが、それがどのような結果を招くかについては深く考えなかったという。
「Kline判事の事件までは、うまいこと活動できていると思っていた。自分が逮捕されるなんて、真剣に考えたこともなかったよ」(Willman氏)
- サイバー・セキュリティ[罪と罰]
- 第1回 トロイの木馬を仕込んで児童ポルノを摘発
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