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【解説】
ヴイエムウェアがはまる、仮想化最大手ゆえの「落とし穴」

仮想化ハイパーバイザの優劣に固執する姿勢に疑問あり

(2008年06月02日)

仮想化最大手のVMwareが過去の失敗企業と同じ轍を踏もうとしている。かつて業界で勢力を振るったBanyan Systems、WordPerfect、DEC、Novellなどと同様、競合他社に対抗するうえで既存の強みにこだわりすぎているのだ。コンピュータ業界ではありがちなことだとはいえ、これは疑問だと言わざるをえない。

Kevin Fogarty
CIO.com

BanyanやNovellが犯した失敗

 BanyanやNovell、DECなどに共通するのは、かつてはそれぞれの市場で圧倒的な優位を誇っていたことだ。しかし、時が経つにつれて、各社ともしだいにその地位を失っていった。その一因は、主力製品の技術力をアピールすることにいつまでも固執し、顧客がそうした機能を当然視するようになっても、その変化にうまく対応できなかったことにある。

 顧客がそれらの機能を当然視するようになったら、洗練された基本機能を顧客に提供するだけでなく、それ以外に顧客のために何ができるのかを、積極的に訴えなければならない。しかしNovellらは、そうした努力を怠ったのである。

 1990年代半ば、Novellの屋台骨を支えていたのは、「NetWare」という名のネットワークOSだった。同社のエンジニアは、NetWareのファイル・サーバやプリント・サーバ機能がWindows NT Serverと比べていかにすぐれているかを、事あるごとにアピールしていた。

 だが、すでに顧客はこれらの機能を当たり前と思うようになり、これら以外の機能も提供するサーバを求めていた。彼らが求めていたのは、一部の作業の処理速度がNetWareより遅くても、アプリケーションの実行やインターネット接続に対応でき、日々管理しなければならないOSの数を減らしてくれるサーバだったのだ。

 にもかかわらずNovellは、Windows NTに対するNetWareの優位点を、相も変わらず重点的に宣伝した。ネットワークOSにバンドルされたネットワーク管理やグループウェア、そのほかの製品で何ができるかを顧客に訴えるようなことはしなかったのである。その結果、NetWareの顧客はWindows NTへと流れていった。

同じ轍を踏むVMware

 こうしたNovellなどの二の舞を演じる兆候がVMwareにはある。それは、仮想化ハイパーバイザでライバルとなるMicrosoftが公開したROI/TCOツールへの対応からも見てとれる。

 以前、Microsoftは最新のベータ・リリースの一環として、仮想化のROI/TCO計算ツールを公開した。このツールは、VMwareの仮想化ハイパーバイザの代わりに、MicrosoftのWindows Server OSにビルトインされたハイパーバイザを使うほうが、安上がりであるということを示すために設計されたものだった。

 これに対してVMwareの幹部は詳細な反論を行った。その中には、確かに説得力のある指摘が含まれている。それは、Microsoft側は自社ソフトウェアのライセンスと必要なアドオンのコストを過小にしつつ、VMwareのライセンス・コストを過大に計算しているという、VMware独自の調査結果に基づいていた。

 とはいえ、その反論は基本的に、将来ではなく過去に軸足を置く内容だった。今後真っ向からぶつかることになるMicrosoftや、Xenハイパーバイザを製品に組み込む競合ベンダーに対抗するにあたって、VMwareの仮想化ハイパーバイザがいかに効率的かを盛んに強調したのである。

 5月末に取材に応じたVMwareの製品管理ディレクター、ベン・マシソン(Ben Matheson)氏も、インタビューの場で盛んにハイパーバイザの優劣を力説した。「VMwareの基本システム・ソフトウェアのほうが、Microsoftの「Hyper-V」よりも動作が軽く、仮想マシン(VM)のサポートに利用するリソースが少ない。しかも、物理サーバ当たりで運用可能なVMの数が多く、高い統合率を実現できる」(Matheson氏)

 しかし、コスト削減や統合の追求は仮想化導入の第1段階にすぎない。結局のところ、同氏をはじめVMwareの役員の話は、自社のハイパーバイザがMicrosoft製品よりもいかにすぐれているかという点に帰着するのである。

 これは、航空会社が、自社のフライトがいかに安く、安全で便利かではなく、自社の航空機の燃料効率がいかに高いかを顧客にアピールするようなものだ。燃料効率は確かに重要だが、乗客を無事に時間どおり運ぶことほど重要ではない。


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