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[米国]
不正なファイル共有は“ネット汚染”――米国の業界団体が防止キャンペーンを開始

「巨大資本の意向を代弁する組織」と批判的な声も

(2008年09月29日)

 IT業界とエンターテインメント業界の米国大手企業が設立した団体Arts+Labsが、不正なファイル共有(同団体は「ネット汚染」と呼んでいる)をやめるよう呼びかけるキャンペーンを展開している。

 Arts+Labsには米国Viacom、米国NBC Universal、米作曲家組合(Songwriters Guild of America)などが加盟しており、いずれも著作権所有者の許可を得ていない音楽やコンテンツの共有行為に対する訴訟を起こしている。そのほか同団体には、米国Microsoft、米国AT&T、米国Cisco Systemsなども名を連ねている。

 Arts+Labsは、スパム/マルウェア/コンピュータ・ウイルスに関する消費者への啓発活動を目的の1つに掲げている。しかし、同団体のWebサイトは、もっぱらコンテンツ・プロバイダーの知的財産権保護を強調する内容になっており、コンテンツを正規の方法で購入あるいは閲覧できるWebサイトに消費者を誘導することが役割の1つとされている。

Arts+LabsのWebサイト

 Arts+Labsは、「多くの消費者は、他人の努力や創造力の成果を不正売買する者にお金を払うよりも、安全で合法的なコンテンツを適正価格で購入するほうがよいと考えるはずだ」と述べている。

 しかし、ワシントンに本部を置く、デジタル・コンテンツなどに関する消費者の権利擁護団体Public Knowledgeは、「Arts+Labsは巨大資本の意向を代弁する組織であり、通信事業者やISPに個人のインターネット・トラフィックを監視させることが真の目的である」と指摘している。

 さらにPublic Knowledgeは、「AT&Tやエンターテインメント業界が持っている権力と影響力を組み合わせ、インターネット上でやり取りされるデータを1つ1つふるいにかける権利を手に入れるため、総力戦を展開しようとしている」と述べている。

 Arts+LabsのWebサイトは、映画ダウンロード・サイトの「Netflix」、大手コンテンツ・プロバイダーの作品も掲載されている動画投稿サイト「Veoh Networks」、米国Blockbusterの「Movielink」、P2Pを使ったインターネットTV配信システムの「Joost」、Microsoftのオンライン・TVゲーム・サービス「Xbox LIVE」などの正規ダウンロード・サイトを利用するよう呼びかけている。

 ファイル共有を行っている個人を訴えたり、ファイル共有ネットワークを閉鎖したりするといった取り組みを進めているにもかかわらず、違法なファイル共有は増え続けている。

 The Pirate Bayなど人気の高い検索エンジンを使えば、torrentファイル(インターネット上にあるコンピュータからダウンロードするコンテンツをBitTorrentプロトコルを使って調整する小さなダウンロード・ファイル)を多数見つけることができる。また、eDonkeyなどのファイル共有ネットワークも健在だ。

 ISPは、特定のトラフィックを低速化することで、自社のネットワークに対するファイル共有の負荷を軽減しようとしている。

 一方、エンターテインメント業界側は、コンテンツを監視して大量のファイル共有が行われている場合には、ネットワークを遮断するようISPに求めている。

 Arts+Labsは、前米国大統領ビル・クリントン(Bill Clinton)氏の報道官を務めていたマイク・マカリー(Mike McCurry)氏と、共和党大統領候補ジョン・マケイン(John McCain)氏の顧問を務めていたマーク・マッキネン(John McCain)氏が率いるロビイストのグループを雇っている。

 なおマカリー氏は、ネット中立化を義務づける法規制への反対団体Hands Off The Internetの共同代表を9月初めに辞任している。

(Jeremy Kirk/IDG News Serviceロンドン支局)




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