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ITマネジメント

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EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)に乗り遅れるな!

ITプロジェクトも、いまやEVM抜きでは管理できない時代に

(2006年04月13日)

 もし、あなたの会社のIT部門がまだEVM(アーンド・バリュー・マネジメント)を利用していないなら、そろそろ導入を検討したほうがよい。米国国防総省をルーツに持つEVMだが、ここにきて民間企業にも急速に普及しつつある。しかも、2003年に情報処理振興事業協会(現情報処理推進機構)から「EVM活用型プロジェクト・マネジメント導入ガイドライン」が出されていることでもわかるように、EVMは主に情報システムの調達・開発の際に利用されるものなのである。つまり、好むと好まざるとにかかわらず、IT部門は、もはやEVMと無縁ではいられないのだ。

メアリ K. プラット
Computerworld米国版

 アーンド・バリュー・マネジメント(Earned Value Management=EVM)とは、進行中のプロジェクトの達成度を定量的に計測するためのプロジェクト管理手法であり、米国国防総省を中心に開発されたものである。同省では、契約業者に対しても、連邦プロジェクトの報告に際してEVMの利用を義務づけている。

 EVMは、チーム・メンバーやプロジェクト・マネジャー、あるいは上級管理職がプロジェクトの進捗状況を正確に把握しようとする際に、力を発揮する。EVMを用いれば、あるプロジェクトが、将来のある時点で、どの段階まで進行しているかを正確に予測することが可能なのだ。つまり、プロジェクト・マネジャーは、その予測に基づいて、資源の再配分や計画の見直しといった重要な判断を下すことができるのである。

 プライスウォーターハウスクーパース・アドバイザリー・サービスLLPでIT有効性業務担当ディレクターを務めるロバート・レト氏は、「一般に、人々が進捗度を報告する場合には、それぞれの直感的な認識で『50パーセントまで行っています』などと言うことが多い。アーンド・バリュー分析は、そうした不確かな推量を排除するものだ」と指摘する。

 しかしながら、EVMはまだそれほど一般的な手法になっているわけではない。そもそも、EVMの内容を正しく理解している人がどれほど存在するだろうか。では、EVMとは、具体的にどのようなものであるかというと、それは「いくつかの数値を計算して、プロジェクトのスケジュールと予算が当初の計画どおりに進んでいるかどうかを判断する手法」だということになる。そして、その評価は、「金額(コスト)」や「時間(スケジュール)」のかたちで表される。

 マサチューセッツ州でプロジェクト管理のコンサルティングおよびトレーニング・サービスを行っているオーク・アソシエイツの社長、ジョン M. ネビソン氏は、「EVMは、複雑で難しいものだという印象を持たれがちだが、実際にはそれほど複雑なものでも難しいものでもない」と語る。

 また、EVMでは、“満点”が求められるわけでもない。オハイオ州のEVMコンサルティング会社、マクマネジメント・グループのオーナー、マリリン S.マッコリー氏も、「計画からある程度乖離することは許される。もし、毎回パーフェクトであるとすれば、そこには、なんらかの操作が加えられているとしか思えない。そんな評価にリアリティはない」と、それを認める。言いかえれば、EVMのポイントは、「計画と現実との“差”を測定し、もしその差が大きければ、その理由を考え、どうすべきかを検討する」(同氏)ことにこそあるのである。

 そして、EVMの真の値打ちも、まさにそこにある。もし、プロジェクト・マネジャーやエグゼクティブたちが、プロジェクトの進捗の遅れや予算の超過を早期に知ることができれば、問題が生じる前に適切な判断を下し、先手を打つことが可能になるからだ。

 オーク・アソシエイツのネビソン氏に言わせれば、EVMは、「将来を見通し、いま何もしなければどうなるかを教えてくれるナビゲーション・ツール」なのである。

進捗度20%の段階で
アーンド・バリューを正確に計測

 『Earned Value Project Management』(2006年、プロジェクト・マネジメント・インスティチュート刊)の共著者で、カリフォルニア大学アービン校の教官、クエンティン W. フレミング氏によると、 アーンド・バリューはプロジェクトのさまざまな段階で計算することが可能だが、正確な数値が得られるのは進捗度が全体の20パーセントを超えたころからだという。

 「プロジェクトが20パーセントを経過した段階で、最終的なコストがどれくらいになるかを、プラス・マイナス10パーセントの精度で予測することができる」(フレミング氏)

 つまり、与えられた予算が100万ドルであるのに、プロジェクトが完了するまでには200万ドルが必要になるといったことが、プロジェクトが20パーセント経過した段階ではっきりするわけだ。となれば、その時点で、経営者やプロジェクト・マネジャーは、プロジェクトの中止や変更といった重要な判断を下すことができることになる。

 このように、プロジェクトの早い段階で進捗状況を正確に把握し、終了までに必要な時間やコストを予測できることが評判になっているにもかかわらず、いまだに多くのITエグゼクティブがEVMの採用に踏み切っていない。その背景には、多くのIT部門でEVMを支えるための基盤が整っていないという事情がある。

 「アーンド・バリューのコンセプトは、まさにプロジェクト管理の基本だ。しかし、IT組織の多くは、精緻な予算計画など、厳密なプロジェクト管理を行うための方法論を備えていないため、それを導入することができずにいる」と指摘するのは、アトランタのコンサルティング会社、タタムLLCのITリーダーシップ・プラクティス担当パートナー、ダン・ジングラス氏だ(氏は、ボストン大学メトロポリタン校で、技術戦略とシステム設計について教えてもいる)。プロジェクト・マネジャーとITリーダーは、プロジェクトの全体像と個別の要求項目を正確に定義し、明確な作業パッケージと細分化された作業構造とを明らかにしたうえで予算を確立しなければならない、というのが同氏の主張なのである。

 一方でジングラス氏は、プロジェクトにEVMを採用する場合には、十分なトレーニングも必要だと強調する。だが、すでにそのための専門書やトレーニング・コースは数多く用意されている。企業のIT部門がEVMを導入するのに、今が決して早すぎるということはないのだ。

 ジングラス氏は言う。
 「当初予定されていた期日あるいは予算で完成できなかったプロジェクト、所期の目的を達成できなかったプロジェクトは数え切れない」

 そして、マッコリー氏は言う。
 「EVMは間違いなくプロジェクトの成功率を高めてくれる」

 ならば、答えは1つだ。
 今すぐ、EVMの導入に向けて動き出そう!

IT部門は、なぜEVMの導入に消極的なのか

 企業のトップ層からEVMが多大な注目を集めているにもかかわらず、IT関係者の多くは、いまだにその導入に消極的だ。その理由は、「プロジェクトのセットアップや管理の方法を大きく変更しなければならないことにある」というのが、カリフォルニア大学アービン校の教官、クエンティン W. フレミング氏の見方だ。例えば、EVMを導入した場合、IT部門には、これまでのようなその場しのぎの段階的な開発は許されなくなる。事前に、プロジェクトの徹底的な定義、範囲の設定、予算化が求められるようになるのである。

 しかし、たとえIT部門が消極的であったとしても、EVMの導入を巡ってCEOやCFOの圧力は増す一方であり、プロジェクトの透明性を高めるためにもCIOはEVMの導入を決断せざるをえなくなるだろう──そう指摘するのは、プライスウォーターハウスクーパース・アドバイザリー・サービスLLPでIT有効性業務担当ディレクターを務めるロバート・レト氏だ。

 それだけではない。実は、行政サイドからも、IT部門にEVMを利用させようとする圧力がかかっているのだ。

 EVMコンサルティング会社、マクマネジメント・グループのオーナーであるマリリン S. マッコリー氏によると、企業財務に透明性を求める米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)が、EVMの導入を促進する大きな要因になっているという。また、2007年度の米国予算教書においても、政府省庁および関連組織のIT部門に対して、EVMを導入することが強く求められている。

 「IT業者が政府と契約するうえでは、EVMを導入していることが条件になりつつある」とマッコリー氏は語り、「こうした傾向は、民間企業にも広がっていくことになるだろう」と予測する。

 そうなれば、IT部門もEVMの導入を渋ってなどいられなくなるはずだ。




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