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ITマネジメント

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IT運用管理の「今ある課題」と「解決へのアプローチ」[後編]

“システムの大規模化・複雑化”と“時代的ニーズ”にどう対応するか

(2008年01月15日)

3. システムの簡素化

 上の2つとはまったく視点の異なるアプローチとして、ITシステムの構成を変更することで運用管理の必要性そのものを軽減していくという考え方がある。かつての中央集権型モデルが運用管理面では効率的だったとの認識から、メインフレーム・コンピューティングがあらためて見直されるという現象も起きているようだ。とはいえ、以前からずっとメインフレームを使い続けている企業が今後も継続的に使い続けるということはあっても、現在、オープン系サーバによる分散型システムを運用している企業が新規にメインフレームを導入するというのは、さすがに現実的とは言いがたい。

 ともあれ、メインフレームの管理性のメリットを分散型システムに持ち込むアプローチの1つとして、クライアント管理を一元化する手法がすでに実用化されている。

 例として挙げられるのは、シン・クライアント・モデルの利用である。ベンダーによって、バックエンドにブレード・サーバを利用するものや(図4)、ハイエンド・サーバを用いるものなどいくつかの構成があるが、管理性の向上という基本的なねらいは共通している。主にセキュリティ面にかかわる要素だが、クライアントとしてPCを利用するのをやめることでカットできる運用管理作業が、実は膨大に存在するという認識が背景にある。シン・クライアント端末であれば、知らないうちにクライアント端末にどこからか不正コードが侵入してセキュリティ問題を引き起こすという心配がなくなるし、セキュリティ・パッチやウイルス対策ソフトウェアのパターン・ファイルなどの定期更新といった作業が確実に行われているかを心配する必要もない。


図4:シン・クライアントのメリットを生かしたクライアント管理

 また、上述した検疫ネットワークは、各クライアント端末において確実にセキュリティ対策が施されているかを信頼できないことから利用が始まった対策だが、シン・クライアント端末を対象とする場合は、検疫の必要性そのものがなくなる。

 内部統制にかかわる権限管理などに関しては、シン・クライアントを導入しても特に影響を受けない部分だが、クライアント側のログイン認証にスマートカードなどの専用デバイスを利用する機種が多いため、こうしたデバイスをうまく活用することで、より強固なセキュリティを備えたクライアント管理基盤を実現しうる点はメリットと言えよう。また、ITILで重視される構成管理に関しても、膨大な数に上るクライアントPCを管理対象に含めるのは負担が大きいが、シン・クライアント端末にリプレースできれば、管理すべき対象が大幅に減ることになる。

4. 仮想化技術による運用管理の効率化

画面1:ヴイエムウェアの仮想化ソフトウェア「VMware Infrastructure 3」の管理ツール「VirtualCenter」における管理画面

 ITシステムにおいて仮想化技術の利用が進むことで、運用管理上も仮想化環境への対応が課題になりつつあることは先に述べたとおりだ。ここでは、仮想化技術の導入がもたらす運用管理の効率化について考えてみよう。

 ストレージ仮想化に関しては、ストレージ管理者から物理的なストレージ・デバイスの構成などを隠蔽して、その運用管理の作業負担を軽減するという形で活用が進んできている。一方、サーバ仮想化のほうは現状、運用管理負荷軽減に大きく貢献するとは言いがたい。上述したように、ハードウェアの統合を実現できるというメリットは大きいものの、システムの複雑化を増してしまうという問題がまずあるし、仮想化されたシステム・イメージをどう管理するかの問題に対するツール側の取り組みはまだ具体的な成果を上げるに至っていない。

 サーバ仮想化に関しては、仮想化ソフトウェア(ミドルウェア)の違いによる機能差も、現時点では無視できない状況だ。企業向けサーバ仮想化市場を先行するヴイエムウェアの製品には、運用管理を容易にする工夫が多く盛り込まれ、実用的な環境を提供できていると評価されている(画面1)。一方、特に、オープンソースの仮想化ソフトウェアなどでは、まだこうした周辺整備までは手が回っていないように見える。よって、こうした状況を踏まえつつ、活用方法を慎重に検討していく必要がある。

運用管理ソフト市場の今後

 以上、本稿では、IT運用管理にまつわる、時代の要請も含めた課題と、それらへの対処のしかたについてそれぞれ項目を立てて説明してきた。最後に、運用管理ソフトウェアの市場動向について触れておく。

 IT市場調査会社のIDC Japanが今年8月に発表した国内の運用管理ソフトウェア市場規模動向・予測によれば、2011年までのこの市場の年間平均成長率は5.3%と見込まれている(図5)。大幅な伸びはないが堅実に推移するという予測だ。


図5:国内運用管理ソフトウェア市場規模動向・予測(2006年〜2011年)

 このリポートでIDCは、企業向けサーバがWindowsやLinuxなどの安価なプラットフォームに移行するという今の動きは、運用管理ソフト市場の成長の逆風になるという分析も示している。サーバ・プラットフォームが低価格化すると、特に統合運用管理ソフトのような製品は相対的に高価なものに見えてくるのは当然であり、ある程度しかたのない面もあるだろう。

 とはいえ、効率的な運用管理の実現には、もはや人力頼みでは困難になりつつあるのは事実で、ソフトウェアによる適切な支援は不可欠と言える。

 現行の運用管理ソフトは、対象作業ごとに細分化が進んでいるが、ユーザー企業の運用管理の現場ではさまざまな作業を統合して一元管理できる体制が求められている。細分化して専門機能を充実させると同時に、モジュール化された機能を統合することで一元的な管理インタフェースで作業を行えるような、柔軟で拡張性の高いツールがこれまで以上に求められていると言える。


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