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データセンター内をさまよう“幽霊サーバ”を暴き出せ!

存在していないはずなのに金だけは食う、やっかいものの正体とは

(2008年02月01日)

コスト削減の成果を顧客に還元

 では、ほとんど働いていないくせに、コストやエネルギーを浪費するマシンを特定し、排除するには、どうすればよいのだろうか。幸いなことに、最近になってそうしたことを簡単に行えるソフトウェアが出回り始めた。それは、資産管理/構成ソフトウェアである。

 Fujitsu Servicesは英国に7つのデータセンターを所有・運営しており、その総床面積は20万平方フィートを超える。そのほか、11社の顧客のデータセンターの運営管理も請け負っている。同社は、アウトソーシング事業を通じてさまざまな相手先からデータセンター施設やIT機器を買い取ってきたが、Scott氏は、そうした機器の大半に、きちんとした資産管理/構成管理プロセスが適用されていなかったのではないかと見ている。

 もちろん、まったく管理をしていなかったわけではなく、例えば、構成をカタログ化するシステムを使った管理ぐらいは行っていたが、この程度のシステムでは、機器が置かれている場所についての記録がなされるのが精一杯で、用途に関する情報などはほとんど管理されてこなかったのである。

 そこで、Fujitsu Servicesでは、将来展望も含めて資産をもっと包括的に管理するべく、データセンター・スペースを最大限に有効活用するための資産管理戦略を打ち出した。そして、その一環として、2005年に米国Aperture Technologiesのデータセンター・リソース管理ソフトウェア「Aperture VISTA」(画面1)を導入したことで、冒頭で紹介したような、幽霊サーバや無駄なリソースを発見することができたのである。

画面1:Aperture Technologiesの「Aperture VISTA」の管理画面

 その後、この資産管理システムを英国内に存在する同社のすべてのデータセンターで導入したことにより、Fujitsu Servicesは運営コストを削減し、その浮いた分のコストを顧客に還元することに成功したのである。

 例えば、Fujitsu Servicesでは、データセンター内で使用している床面積(機器の設置面積)に応じて顧客に料金を課しているが、非生産的な機器を駆逐した結果、一部ではあるがホスティング料金を引き下げることができたという。つまり、機器の設置面積を10%減らせれば、それに応じたコストを顧客に還元できるというわけだ。さらに、Scott氏によれば、顧客に請求する光熱費については、床面積に応じた請求方法ではなく、その(顧客の)機器が実際に使用した光熱費そのものを請求できるような仕組みを開発中だという。

 「(新しい資産管理システムを用いて)調査を進めた結果、機器が不適切にインストールされているケースが少なからずあることがわかった」とScott氏。視点を変えれば、それが「顧客が要求するアップタイムをなかなか達成できない」というFujitsu Servicesの弱みにつながっていたのである。

 「そのときの調査によって、われわれはデータセンターを運営するにあたって自ら脆弱性を作り上げていたことに初めて気づいた。その反省の上に立って、現在、当社では完璧な脆弱性チェック機構を整備しており、インストールについて最初から最後まで管理できるようになった」(Scott氏)

幽霊サーバは“仮想化”で駆逐できるが……

 さて次に、Amway、Quixtar、Access Business Groupなどの親会社である米国Alticorの事例を紹介しよう。同社は、BMC Softwareの「Remedy Service Management」やHewlett-Packard(HP)の「Systems Insight Manager」(画面2)といった管理ツールを組み合わせて、自社のソフトウェア/ハードウェア資産を管理している。

画面2:HPの「Systems Insight Manager」の管理画面

 Alticorでサーバ・テクノロジー担当スーパーバイザーを務めるランディ・ガスト(Randy Gast)氏によれば、2006年にこれらの管理ソフトウェアを導入して調査を行った結果、同社が使用している650台のx86ベース・サーバのうち約3分の1(200台以上)で、稼働率が10%に達していないことが判明したという。

 さらに驚くべきことに、この事実が発覚するまでの3年間、そうした“使われていない”サーバは――用途が個々のアプリケーションやそれにまつわる処理であった(つまり、現場部門の主導で導入されていた)ことから――その存在をIT部門に知られることなく“増殖”を果たしていたのである。

 そこでAlticorでは、仮想化技術の専門企業、米国VMwareの協力を得て、全体として60〜70%のサーバ稼働率を実現すべく、ハードウェアとソフトウェアの整理統合に乗り出した。その結果、(VMwareの仮想ソフトウェアを導入することで)稼働率の低かった150台のサーバを7台のサーバに集約することができたという。

 一方、米国Accentureのデータセンター技術/運営責任者、ロックウェル・ボーンカッター(Rockwell Bonecutter)氏は、Y2K(西暦2000年問題)プロジェクトが実施された時期に、多くの企業で幽霊サーバが排除されたと見ている。もちろん、全システムにY2K対策を施すために、プロジェクトに先立って資産の洗い直しが行われたためだ。しかしながら、コミュニケーション不足と不十分な資産管理が原因で、Y2Kプロジェクト終了後には稼働率5%以下のシステムの数が飛躍的に増えたとも言う。

 「どの会社、どのIT環境にも、何年間も知られることなく、触られることもないままに放置されているサーバがあるはずだ。なぜなら、存在することすら分かっていないモノを見つけることなど不可能に近いからだ。(徹底して調査し、その存在をあぶり出せば)全サーバの40%を仮想環境下で整理統合できると判断するような企業もたくさん出てくるだろう」(Bonecutter氏)

 とはいえ、仮想化による整理統合は、幽霊サーバ撃退の特効薬とはならない。なぜなら、仮想化は“仮想幽霊サーバ”という新しい問題を生み出すからだ。仮想サーバは比較的迅速かつ容易に構築できるため、短期プロジェクトなどで手軽に使われ文書化されないまま放置されて、“仮想幽霊サーバ”と化してしまうおそれがあるわけだ。

 幽霊サーバの存在を信じることができ、それを特定するすべを知っていたとしても、“幽霊”との戦いはそれで終わりにはならない。資産を総体的にとらえることのできるツールを導入し、幽霊サーバを駆逐するポリシーをきちんと整備できた時点で初めて、企業は幽霊サーバによってもたらされるリスクや関連コストの削減に乗り出すことができるのである。

COLUMN
エネルギー・コスト問題こそ究極のゴーストバスター

Darrell Dun/Computerworld米国版

 エネルギー・コストの上昇に伴い、多くの企業で“ゴーストバスターズ”が活発な活動を開始し始めた。2007年8月、米国環境保護局(EPA)が発行した「データセンターでのエネルギー利用に関する報告書」によると、米国のデータセンターが2006年に消費した電力は約600億キロワット時で、米国全土で消費された総電力量の1.5%にも上る。

 EPAによれば、データセンターによるエネルギー消費量は過去5年の間に2倍に膨れ上がったが、向こう5年間でさらにその2倍に増え、年間のコストは約74億ドルに達する見通しだという。

 だが、同局はその一方で、既存のテクロノジーと戦略を使っただけでも、標準的なサーバのエネルギー使用量を25%抑えることができ、先進技術を駆使すればさらなる削減も不可能ではないとしている。


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