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【解説】
ビジネス革新に貢献してくれる“社外の人々”――「クラウドソーシング」の可能性
事例から“開かれたアウトソーシング”のメリットとデメリットを探る
(2008年07月28日)
13万人のプログラマーが、システム構築に参加
上で紹介した電力会社CEGのクラウド・ソーシングによるシステム構築のケースは、実は完全にオープンな形で行われたわけではない。先に述べたように、同社はコンペを開催するにあたり、TopCoderに協力を依頼している。TopCoderは、定期的にコーディング・コンペを開催し、参加した開発者をランク付けするとともに、システムを構築したい企業に人材として紹介している。TopCoderは現在、世界200カ国以上に約13万人のメンバーを抱えている。
CEGから依頼を受けたTopCoderのプロジェクト・マネジャーは、まずCEGのニーズを評価したうえで、システム設計を数十の小さなコンポーネントに分けて進めることにした。そして、それらコンポーネントのうちの約半数をメンバーの優秀な開発者に開放した。
開発者から送られてくるコードはTopCoderの基準に従って評価され、採用者には500ドルから2,000ドル近くの報奨金が与えられる。すべてのコンポーネントが完成した時点で、TopCoderとCEGは、それらを1つのシステムに統合する予定だ。
「1つのコンポーネントにつき、常に4、5件のコンペを開催している」と、CEGでIT担当マネージング・ディレクターを務めるケン・オールレッド(Ken Allred)氏は話す。1つのコンポーネントに対して、世界各国に散らばる10〜30人もの開発者からコードが送られてくるという。「オンライン上の膨大な数の開発者が常にコード開発に取り組んでいることになる。スポーツと同じで、お互いを競争相手と見ることで高品質なコードが生まれるのだ」(Allred氏)
TopCoderでは、開発者の作業を補う再利用可能なコンポーネント(Javaおよび.NET)をカタログ化するために、自社でもクラウドソーシングを採用している。例えば、ある開発者がコンペをとおして作り上げたコードがカタログとして採用された場合、採用者にはそのコードが再利用されるたびに永続的にロイヤルティが支払われる。同社はコードのランク付けおよびテストにもクラウドソーシングを採用しており、メンバーに互いのコードを評価させている。
クラウドソーシングで、システム構築の時間が半分に短縮
CEGのシステムはまだ完成していないが、Allred氏は、「TopCoderのクラウドソーシング開発手法を使うことで、時間とコストの両方を節約できる」と、早くも絶賛している。同氏によると、システム構築にかかる時間は社内スタッフを使う場合のおよそ半分になるという。
ただし、最終的にシステムを完成させるには、各コンポーネントを1つにまとめ上げる作業が別に必要となる。それでも「時間の短縮になることはまちがいない」とAllred氏。機動力とスピードが求められるCEGのような企業にとって、システム構築期間を短縮できる点はきわめて大きなメリットなのだ。
米国の調査会社Forrester Researchのアナリスト、ケイリー・シュウェイバー(Carey Schwaber)氏によると、システム構築にクラウドソーシングを採用するのは、主に成長の速い企業だという。「一般的に成長の速い企業では、システム構築の速度が企業の成長速度に追いついていない。そのため、こうした企業では多少のリスクがあるとしても、システム構築の速度を速められるプロセスを試したいと思っている」(Schwaber氏)
一方、CEGのAllred氏は、クラウドソーシングのメリットとして、コードの品質の高さを挙げる。「コンペに参加するプログラマーの多くは、1日に18時間もC#言語と格闘している。企業内トップクラスの開発者をしのぐ技術力の持ち主などざらに存在する」(Allred氏)
Allred氏は、世界中から送られてくるシステム・コードを見比べた結果、プログラマーの視点には国によってかなりの違いがあることに気づいたという。「海外のプログラマーが、いかに独創性と革新性を持っているかを知ることができた。彼らを使うことで、国内だけでは得られなかった視点やシステムの構築手法を取り入れられるようになった」(同氏)
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