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【インタビュー】
「二番煎じだって、勝てば官軍」──シンプル戦略のライブドア
日本球界に波紋を投げかけた堀江貴文氏、“本業”を語る
(2005年02月18日)
1社独占の状況では
ソフト業界は発展しない
──ライブドアは、「LindowsOS」と「Turbolinux」を提供するLinuxベンダーとしての顔も持っています。Linux市場に対しては、どのような戦略を持っているのですか。
堀江氏: OSというより、アプリケーション・ソフトがもっと売れればよいと思っています。当社のソフトウェア事業部は今、年間20億の売上げがありますが、これを10倍とか20倍にしなくてはいけません。
マイクロソフトのビジネスで、一番儲かっているのはアプリケーションで、われわれにとっても儲かるのはその部分です。でも、今のクライアント向けアプリケーション市場はWindows対応製品一色で、これではマイクロソフトに勝てません。全体の規模として勝つ必要はないのですが、今後、当社がこの市場で利益率の高い製品を出してヒットさせたとき、マイクロソフトも同様の製品を出してくる可能性があります。これはブロックしなくてはならない。ですが、OSの現実的な選択肢がWindowsだけだと、ブロックしようにもできないのです。
──1つのOSが寡占の市場で、そのOSの開発元がキラー・アプリケーションまで出してしまうとなると、サードパーティ・ベンダーは太刀打ちできないと。
堀江氏: そうです。Windowsのキラー・アプリケーションは「Office」、そして「Internet Explorer」です。こうした状況は、ソフトウェア業界全体にとってはよくないことです。1つの会社がすべてを握ってしまうと、競争が消えてしまう。そうなると、5年後、10年後には間違いなく市場がシュリンクしていきます。新しい勢力がどんどん出てこないと市場が活性化されないのです。
マイクロソフトも、そろそろOS市場における彼ら自身のポジションについて、考え直したほうがよい時期に来ているのではないでしょうか。新しい分野にももっと目を向けてほしいです。ただ、あれだけの高い利益率を維持しながら、他の分野でも成功することは難しいと思いますが。ひょっとしたら今のマイクロソフトには、そうした能力はないのかもしれない。それだったらいっそのこと、Windowsに代わる、うんと使いやすくて高性能なOSを出してほしいですね。
──LindowsOSはコンシューマー向けのデスクトップ製品で、Turbolinuxはサーバ製品もありますが、市場ではやはりデスクトップ製品のほうが強い。堀江さん自身、Linuxは、もはやデスクトップ用途においてもWindowsに引けを取っていないと思いますか。
堀江氏: OSの機能としてはほとんど変わらないと思います。
──Webブラウジングやメールの送受信が中心の用途では、Linuxでも何ら問題はないと思うのですが、もう少し高度な処理、例えばExcelのマクロを駆使しているようなユーザーの中には、おいそれと移行できないという声もあります。
堀江氏: それは単なる言い訳でしょう。マクロなんか使っている時点でダメだと思う。Excelをフル活用して業務効率を上げている人なんて見たことがないですけど。表計算ソフトなんて、表が作れて、グラフにできれば、それで終わりじゃないですか。
問題はやはり、Linuxで使えるアプリケーションの数が少ない点です。とにかく、今のWindowsのような、1社独占の状況をなんとかしなくてはいけない。家庭用ゲーム機の世界では、かつて、PlayStation、Dreamcast、NINTENDO 64がプラットフォーム戦争をして、結局、ゲーム・ソフトの数で勝敗が決まった。PCショップに行けばLinuxコーナーがあって、Linuxアプリケーションが豊富にそろっているという状態になれば、自然とシェアが上がっていくはずです。
モバイルの世界はOpera一色になる
──ライブドアは今年5月より、Webブラウザ「Opera」の販売も始めています。7月に開発元であるノルウェーのオペラ・ソフトウェアと行った記者会見で、堀江さんは、「Operaを1年で20万本売る」という目標を挙げていました。これまでの累計販売数が1万本のソフトウェアを、年間20万本というのは無謀に思えるのですが。
堀江氏: 20万本というのは法人ライセンスも含まれた数で、ありえない数だとは思っていません。
──ただ、IEやNetscape、Mozillaなど、ユーザーの間では、「Webブラウザはタダ」というイメージが定着しています。Webブラウザを販売するというビジネスは成功するのでしょうか。
堀江氏: IEはタダじゃないですよ。PCの価格に含まれるWindowsのライセンス料の一部ですからね。買っていると意識していないだけで。
Webブラウザを意識して買ったことがないユーザーにも買ってもらう方法はあります。まずは、ポータルと同様、積極的なPRによって、製品をより多くのユーザーに知ってもらうこと。ブラウザにしたって、ユーザーはそんなに深く考えて製品を選んでいるかというと、そうではないですから。
今の時代、「モノがよい」、つまり製品の機能や品質がよいのは当たり前です。そうなると、やっぱりPRが重要になってきます。もし、モノ自体がよくなかったら、どんなにPRにお金をかけても、さすがに売れないと思いますが。
オペラ・ソフトウェアのCEOによれば、Operaのユーザー・コミュニティは、セキュリティに関して非常に厳しいそうです。新バージョンを出したくても、セキュリティ・ホールを全部つぶしてからでないとリリースさせてくれないらしい。こうしたユーザーありきの文化をとても大切にしていると語っていました。でも、セキュリティの強化なんて、ソフトウェア製品としては当然の話です。そのことで製品が売れるとは思っていません。
Operaに関しては今、携帯電話市場からのニーズという強い追い風が吹いています。これが、Operaの売上げのみならず、「Webブラウザを購入する」というスタイルを一般的なものにする可能性があります。
──具体的には、どのような動きが起こっているのでしょうか。
堀江氏: Operaブラウザを搭載した携帯電話が登場しています。携帯電話の世界で、3G、4Gとブロードバンド化がさらに進み、Wi-Fiにも対応していくようになったとき、端末には当然、リッチ・コンテンツを高速にダウンロード可能な高い処理性能や大きな液晶画面が要求されます。そうしたなか、メモリ消費量やプログラム・サイズが小さく、リッチ・コンテンツを高速に表示できるブラウザとなると、選択肢はOperaしかありません。近い将来、モバイルの世界はOpera一色になるでしょう。
こうして、Operaのルック&フィールに慣れたユーザーが増えてくれば、今度はPCでもOperaを購入して使おうかという気になるかもしれません。同時に、PCベンダーの間に、シェアが上がったOperaをプリインストールのブラウザとして採用する動きが広がることも期待できます。
──今後、ITの世界で、特に力を入れていきたいと考えている分野はありますか。
堀江氏: 特に決めていません。基本的にビジネスになることなら、何でもやりますよ。範囲はIT分野にとどまりません。ここまでと範囲を決めてしまうと、結局、そこまでしか行けないですからね。



