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[国内] 【インタビュー】
「二番煎じだって、勝てば官軍」──シンプル戦略のライブドア

日本球界に波紋を投げかけた堀江貴文氏、“本業”を語る

(2005年02月18日)

2004年6月30日、大阪近鉄バファローズの買収に突如名乗りを上げたライブドア。球界再編という大きなうねりの中、同社社長兼CEOの堀江貴文氏は「権威主義に異を唱える新世代経営者」として、テレビや新聞、雑誌などのマスメディアをにぎわし、同氏とライブドアの知名度は瞬く間に“お茶の間”レベルに達した。Computerworld編集部も堀江氏に取材する機会を得たが、本誌が聞きたいのは、もちろん、インターネット・ポータルを核に、ソフトウェア、eコマース、ITコンサルティングなどさまざまな事業を手がける「IT企業」としてのライブドアである。

写真:片岡 純
聞き手・構成:河原 潤(本誌編集長)

──近鉄の買収に名乗りを上げたというニュースには驚きました。なぜ、今、プロ野球なのですか。プロ野球の人気は年々低迷していますが。

堀江氏: 低迷しているのは、機構・球団側が何もやっていないからですよ。プロ野球に目を付けた理由は、ポテンシャルが大きいという一言に尽きます。人気が落ちてきているといっても、日本の人口当たりのファン数では、やっぱり野球がナンバーワンです。ファンの数やマーケットの規模で言えば、どのスポーツよりも圧倒的に野球なんです。

──近鉄の買収がかなわず、オリックスと近鉄が合併した場合には、新球団を作って参入する手段も考えているとコメントされています(注1)。

堀江氏: いやいや、それは最悪の手段で。近鉄を買収することが完全に無理となった場合の話です。

注1:取材後の8月19日、ライブドアは東京都内で記者会見を開き、9月中に日本プロ野球機構に参入を申請することを明らかにした。このとき同社は、近鉄とオリックス・ブルーウェーブの合併が見直されれば、近鉄買収を優先するとしたが、8月24日には、オリックスが、8月30日までに近鉄との合併の正式契約を締結すると発表している

ユーザーは機能でポータルを選んでいない

──本題に移りましょう。IT業界では、マイクロソフトの成功を典型例に、はじめに最大の市場シェアを取った企業だけが勝ち続け、同一市場における「共存共栄」はありえないという見方がよくされます。インターネット・ポータルの分野では、最大手のヤフーが国内においてもトップであり続けていますが、後発のライブドアに勝ち目はあるのでしょうか。

堀江氏: IT業界ではトップが勝ち続けるって? それは勝手な思い込みでしょう。シェア・トップだからって、永久に一番であり続けるわけがない。必ず栄枯盛衰があります。

──いつかはヤフーに勝てるというわけですね。でも、現状、ライブドアのポータル・サイトは、ヤフーを超えるサービスを提供していません。全体的には、ヤフーの二番煎じという印象を受けました。

堀江氏: いいじゃないですか、二番煎じで。比較して使っている人なんていないですよ。

──それでは、ユーザーは、どこを見てポータルを選んでいると考えていますか。例えば、サービスの機能や品質、ユーザー・インタフェースとか。

堀江氏: 何となく、でしょう。記者の皆さんにとっては専門分野ですから、そういう視点で見てしまうのです。自分もそうなのですが、消費者っていい加減なところがあります。ポータルの機能にこだわっている人なんてほとんどいませんよ。どうせ無料なんだから。

──では、その「何となく」の部分で選んでいるユーザーを、livedoorに取り込むために、どのような策を打っているのですか。

堀江氏: ピーアール。宣伝です。だって、一番最初にやったか二番煎じかなんてだれも気にしていませんよ。インターネットを初めて使うという人が、たまたまlivedoorポータルを利用したら、その人はlivedoorをずっと使い続けるだろうし、それがYahoo!ポータルであったらYahoo!を使い続ける、というだけの差でしかないと思うのです。みんな、二番煎じがどうのこうのと言いますけど、二番煎じのどこが悪いのでしょう。

──個性的なサービスや優れた機能でシェアを取ろうという方向ではないと。

堀江氏: サービスを充実させ、使い勝手を高めるというのは、やって当たり前です。それだけで勝てるのならいいですけど、実際には勝てない。その辺り、どう思います? 差別化を図っただけで勝った例なんてほとんどないでしょう?

──かつて、ロボット型の検索エンジンが出始めたころは、Infoseekの評判がよくて、多くのユーザーが利用していました。そうしたら突如、Googleが登場した。使ってみたらヒット率が非常に高くて、みんなGoogleに乗り換えていきましたよね。検索エンジンの世界では、そういう動きがありましたよ。

堀江氏: でも、グーグルって結局、ナンバーワンになっていないじゃないですか。ヤフーを超えられなかった。

 みんな、優れた技術が勝つという、サクセス・ストーリーのようなものにばかり期待します。そっちのほうが話として美しいから。でも、ビジネスとして見た場合、絶対、得策じゃないと思います。だって、難しいですもん。難しいし、成功の確率がえらく低い。画期的な技術を開発して、ターゲットを絞り込んで、こうやってマーケティングを展開すれば、市場で圧倒的な勝利を収められる、といったことを考えるのって本当に難しいですよ。偶然というか、運に支えられるような部分が大きすぎるんです。

──技術開発は、実際にビジネスとして成立させて、シェアを取る手段としては、あまりに効率が悪いと。

堀江氏: 例えば、Windowsなんて、言ってみればMac OSの二番煎じじゃないですか。でも、強力な営業とマーケティングによって、マイクロソフトは、PC市場で揺るぎない地位を確立した。他の業界でもそう。例えば、トヨタはどんなクルマを作って市場に参入したのかと言えば、最初はフォードの製品のマネにすぎませんでした。ハンドルと4輪がついた乗り物。どこを差別化したのかって、値段ぐらいしかなかった。でも、トヨタはその後、圧倒的な成功を収めています。

 つまり、二番煎じだって、勝てば官軍というわけです。すごくシンプル。何も問題がない。こうして、さまざまな分野で一番成功した事例がどのようなプロセスを経て成功に至ったのかを分析すれば、ライブドアが今、何をすればよいのかが自ずと見えてくるのです。

インターネット利用の原点に
立ち返ったポータル・サイト

──livedoorポータルで提供されている数々のサービスの中では、無料のブログ・サービス「livedoor Blog」が好評です。ブログは、ポータル・サイト全体の中でどのような位置づけにあるのですか。

堀江氏: livedoor Blogは、コミュニケーション主導型という、当社のポータルの特徴を端的に示すサービスと言えます。Yahoo!もそうですが、従来型のポータルは、検索主導型と言いますか、まず検索機能ありきで設計されています。インターネット上の膨大なリソースの中から必要な情報を探すことを目的とするこの形は、インターネットの使い方の第一義でした。高性能な検索エンジンに注目が集まったのもそのためです。

 でも、インターネットの本来あるべき使い方って、探すというより、コミュニケーションをとることでしょう?

 何かを探したいときにインターネットにつなぐという、ブロードバンド時代以前の使われ方が、いまだ尾を引いているわけです。今では常時接続が当たり前になっているので、今後は何かを発信したり、感想を返したりといった、コミュニケーションの手段としてインターネットが使われていくと思います。

 livedoorポータルは、そうしたコミュニケーションが活発に行われるように、随所でブログの機能を利用しています。例えば、livedoorニュースでは、各記事へのトラックバックが可能で、ブログの検索エンジンとも連係しています。こうした仕組みをとることで、各記事に対する世間での見られ方がわかったり、意見交換ができたりと、新しい価値が付加されるのです。

──ブログは、個人ユーザーの間ではすっかり定着した感がありますが、企業でブログを活用するためのよいアイデアがあれば教えてください。

堀江氏: ブログはCMS(コンテンツ管理システム)ですから、単にCMSとして使えばよいのではないでしょうか。当社の場合は、ポータルの新サービスの告知をしたり、コンテンツとしてそのまま使ったりと、活用範囲は一般企業よりも広いかもしれない。でも、企業のWebサイトで、広報やIRの担当者がブログを活用して、顧客や株主に対して、タイムリーに情報を発信するという使い方はできると思います。


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