【 ここから本文 】
ブログ/SNS/Wiki
ソーシャルブックマークに登録 :
印刷用ページの表示
[米国]
グーグルがAOLに10億ドルを出資──グラフィカル・オンライン広告分野に本格参入
(2005年12月21日)
米国グーグルとアメリカ・オンライン(AOL)は、オンライン広告に関する長年の提携を拡張するとともに、検索エンジン技術分野で新たな提携関係を構築することで合意した。これに伴って、AOLはマイクロソフトを含む他社との提携交渉を打ち切った。
12月20日午後に両社が出した共同プレスリリースによると、グーグルはタイム・ワーナー傘下のAOLに10億ドルを出資して同社株式の5%を取得する。グーグルは、これまで消極的だったグラフィカル・オンライン広告の分野にも本格的に参入することになる。
両社は、グーグルの検索エンジンを使ってAOLのコンテンツを従来より容易に見つかるようにするとともに、Google Talkインスタント・メッセージング・サービスのユーザーがAOLのAIMユーザーと通信できるようにする。また、ビデオ検索でも協力する。
さらに、今回の合意では、AOLが自社のコンテンツに対する「マーケティング・クレジット」をグーグルから受け取ることになっている。ただし、同クレジットに関する金銭的条件は公表されていない。なお、今回の合意には両社の欧州における提携延長も含まれているという。
AOLは、同社のWeb検索サービスにグーグルの検索エンジンを使用しており、グーグルが広告主に販売する有料検索広告をAOLサイトに掲載することで、その売上げをグーグルと分け合っているが、今回の合意で、AOLは自らの広告主に直接検索広告を販売できるようになったという。
AOLはここ数カ月、これまでグーグルと結んでいた提携条件よりも有利な条件を求めて、マイクロソフトやヤフーなど数社と交渉していると報じられていた。
ヤフーは11月に、提携の可能性についてAOLと話し合ったことを認めたが、その交渉はまとまらなかった。マイクロソフトが最後の交渉相手として残されていたが、グーグルがAOLの説得に成功したことにより、AOLとの提携関係の解消を回避した。
マイクロソフトは、現在構築を進めているオンライン広告ネットワーク「MSN AdCenter」(現在ベータ・テスト中)を強化するために、AOLに提携を働きかけていると報じられていた。AOLのWebコンテンツは膨大であり、MSN AdCenterの広告をAOLのWebコンテンツを通じて配信できれば、MSN AdCenterの広告主にとって非常に魅力的なものになるからだ。
AOLもWebコンテンツの価値と露出度を高めるために積極的な取り組みを展開している。AOLは近年、会員(ISPサービス契約者)ベースの従来のビジネス・モデルから、ヤフーのような売上げベースのWebポータル・モデルに移行しつつある。そのために同社は、料金を支払っている会員向けに限定して提供していたコンテンツとサービスのかなりの部分を、だれでもアクセスできるWebポータルに移行してきた。
AOLの会員にはダイヤルアップ・インターネット・アクセスのためのアカウントと、各種のプレミアム・コンテンツおよびサービスが提供されているが、近年、会員数は減少し続けている。今年10月上旬にサンフランシスコで開催されたWeb 2.0 Conferenceで、AOLの会長兼CEOのジョナサン・ミラー氏は、会員が増えていたとしても、Webポータルにしたほうが収益機会は大きいと力説していた。
一方、グーグルの側も、AOLとの提携強化によって大きな利益を得ることを期待している。有料検索広告の配信パートナーとしてAOLをつなぎ止めることができたのに加え、これまで消極的だったオンラインのブランド型広告やディスプレイ型広告への参入の取り組みに弾みをつけることができるからだ。現在、グーグルは売上げのほとんどを有料検索広告によって得ているが、一部の専門家は、そのような1つの形態のオンライン広告への依存は同社の立場を危うくすると指摘している。
グーグルは、AOLとの提携強化により、Webメールやインスタント・メッセージング(IM)の分野でも、利益を得られるようになると見られている。AOLはこれらの分野でリーダーとしての地位を確保しており、グーグルは新規参入組だ。
グーグルは過去2年間、検索サービスという中核事業の枠を越えたビジネスを積極的に展開し、ユーザーが同社のWebサイトにアクセスする機会を増やす努力を続けてきた。
実際に、ブログ・パブリッシング・サービス「Blogger」、写真管理アプリケーション「Picasa」、ソーシャル・ネットワーキング・サービス「Orkut」、Webメール・サービス「Gmail」、IMサービス「Google Talk」の提供を開始したほか、Web検索サービスを補完する専門検索エンジン・サービスの数も増やしてきた。
著名投資家のカール・アイカーン氏は、両社が合意を発表する前に、タイム・ワーナー取締役会宛てに公開書簡を送り、「AOLにとって、グーグルとの提携が他社との合併や事業提携を妨げるものであれば、そうした提携は“大失敗”を意味する」と警告していた。
また、AOLの共同設立者の1人として同社の設立にかかわったスティーブ・ケース氏は、今月のワシントン・ポスト紙のコラムの中で、重要な役割を演じたAOL/タイム・ワーナー合併の主要目的はまだ達成されていないと指摘し、タイム・ワーナーの事業を分割してAOLを含む4つの独立した会社に再編すべきだと説いた。同氏は今年、タイム・ワーナーの役員を辞任したが、依然として有力な個人株主であり続けている。
(Originally reported by Juan Carlos Perez, IDG News Service 12/20/2005)
(IDG News Service)



