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【連載】
エンタープライズ・オープンソース[ベスト・セレクション]

第6回 ストレージ管理

(2008年04月16日)

もともとコミュニティ・ベースで開発が進められてきたオープンソース・ソフトウェアだが、今や多くの有力ベンダーがサポートし、企業が安心して利用できる環境が整っている。もちろん、OS、Webサーバ、メール・サーバなど、一部の分野ではかなり以前から企業利用が進んでいたが、最近は多様な分野において、「エンタープライズ・オープンソース」が本格化しているのだ。本稿では、そうしたエンタープライズ・オープンソース・ソフトウェアを8分野に分け、それぞれの分野において特にすぐれたものを紹介する。第6回目となる本稿では、ストレージ管理分野における秀逸なソフトを取り上げる。

Mario Apicella/Paul Venezia
InfoWorld米国版


ストレージ管理
オープンソースの普及に向けて足場が固まるストレージ市場

 現在、OSやアプリケーションと同じように、ストレージ分野でも有効なオープンソースが登場してきている。加えて、有力なストレージ・ベンダーが支援するストレージ管理アプリケーションの開発プロジェクト「Aperi」の取り組みなどを勘案すると、ストレージ向けオープンソースの将来性はさらに明るい。IBMが主導するAperiには、Brocade、Cisco Systems、CA、Emulex、LSI Logic、NetApp、Novell、カナダのYottaYotta、富士通といった主要なストレージ関連ベンダーが参画している。

 なぜこれらのベンダーは、開発に多額のコストをかけたソフトウェアをオープンソース・コミュニティと共有するのだろうか。当然、各ベンダーはなんらかの見返り、すなわちユーザー数の拡大や技術開発・標準化における主導的立場の確保などをねらっている。いずれにせよ、ソフトウェアの標準化がほとんど行われてこなかったストレージ分野にとって、オープンソースの進展は歓迎すべき展開である。今後、ストレージ技術はより標準化を推進する必要があり、オープンソースとコミュニティによる開発は、それを実現する可能性を秘めている。

 加えて、現在のストレージ市場はオープンソースが浸透しやすい土壌だと言える。今日、市場には過剰なほどのストレージ・ベンダーとストレージ・ソリューションが存在しているが、ハードウェアはほとんど差別化されていない。実際、多くのベンダーは基本構成が同じハードウェアを共用し、それに自社の管理ソフトを搭載して提供している。一部のベンダーに至ってはハードウェアをまったく提供せず、汎用サーバを利用している。このようにストレージ・ハードウェアがさほど重要視されていない現在であれば、オープンソースはこの市場で普及しやすいはずだ。

ファイルシステムではSunが開発した「ZFS」が受賞

 前置きが長くなったが、本題に入ろう。ストレージ分野における1つ目のBOSSIEは、Solaris 10とともにSun Microsystemsが発表し、現在はOpenSolarisプロジェクトが開発している「ZFS(Zettabyte File System)」である(画面1)。「NFS(Network File System)」が時代遅れというわけではない(実際、Version 4を開発中)が、いずれZFSがNFSに取って代わるはずだ。


画面1:「ZFS」ファイルシステムの開発を進めるOpenSolarisの公式サイト

 ZFSは革新的な機能を多く備えている。例えば、ファイルシステムがデータの整合性を保証し、システム・チェックを不要としている。また、論理ボリューム管理とRAID管理により、事実上無制限の拡張性を備えている。ZFSはストレージ管理作業の多くを簡素化し、物理的に可能なところまで拡張できるファイルシステムなのである。

 ZFSは史上最高のファイルシステムであるうえに、オープンソース・コミュニティに属している。ただし、現状では、お気に入りのLinuxディストリビューションにZFSが含まれていることを期待してはいけない。また、ストレージ管理者がZFSの革新的な機能を把握するまでには、通常のファイルシステムよりも多くの時間を要するかもしれない。

 一方、NASサーバ・ソフトのBOSSIEには、「FreeNAS」を選んだ。FreeNASは最も成熟したオープンソースのNASプラットフォームであるうえに、FreeBSDを基盤に開発されており、活発なコミュニティにも支えられている。FreeNASは、RAID 0/1/5はもちろん、CIFS/NFS/FTP/iSCSI/RSYNC/AFPといった、ストレージ基盤に必要なほぼすべてのプロトコルをサポートしている。そして、Webベースのインタフェースでそれらを容易に管理できる。

 FreeNASを使うには、サーバといくつかのハードディスクがあれば十分だ。それどころか、FreeNASは、コンパクト・フラッシュやUSBメモリにインストールできるので、ハードディスクにコアOSを保存する必要がなく、高い可用性を実現できる。パフォーマンスは使用するハードウェアに依存し、EqualLogicのiSCSI SANには性能面で及ばないまでも、オープンソースの中では最高のパフォーマンスを誇る。

今後の注目分野はバックアップ/リカバリ

 オープンソースのストレージ・ネットワーキング・ソフトウェア「AoE Tools」もBOSSIEを受賞した。現在、iSCSIの導入は着実に進んでおり、今後はファイバ・チャネル(FC)との競争が激しさを増すだろう。このiSCSI対FCという議論が過熱する一方で、AoE(ATA over Ethernet)が着実に普及してきている。

 AoEは、ストレージ・ネットワークのホストとターゲット・デバイス間において、わずかなコストで確実にデータを送信することを可能とするもので、複数のイニシエータが同一データへアクセスした場合に干渉を防止する仕組みも備えている。多くのLinuxディストリビューションに含まれているAoEクライアントの「AoE Tools」を使えば、AoEを無料で導入できる。とはいえ、米国Coraidなどのベンダーが提供しているハードウェアが一部必要なケースもある。

 最後のBOSSIEはベンチマーク・ツールで、ブロックI/Oを測定する「Iometer」とファイルI/Oを測定する「IOzone」が受賞した。数えきれないほど多くのIT管理者が、どちらかのツールを使ってベンダーの主張する性能をテストしたり、新規アプリケーションがストレージ・システムに及ぼす影響をシミュレートしたりしている。両ツールとも使い方が簡単で複数のプラットフォームで使用できるため、仕立屋にとっての巻き尺と同様に、いまやIT業界にとって不可欠なツールとなっている。

 ほかにも、われわれが注目しつつもまだ勝者を選ぶ段階に達していない分野がある。その1つがバックアップ/リカバリ分野だ。この分野では「Amanda」が有名だが、そのほかにも多くの有望株がある。例えば、「NTFS MountNTFS Mount(Solaris), UFS Reader(WinXP)」である。このプロジェクトはまだベータ段階だが、SolarisとWindowsの間にあるOSという壁を崩し、両方が保有するファイルシステム資産へどちらからでもアクセス可能にすることを目指している。こういう活動は、オープンソース・コミュニティだからこそ行えるものだろう。



エンタープライズ・オープンソース[ベスト・セレクション]
第1回 業務アプリケーション
第2回 ネットワーク
第3回 プラットフォーム/ミドルウェア
第4回 セキュリティ
第5回 モニタリング
第6回 ストレージ管理
第7回 開発言語
第8回 開発ツール

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