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SOAも「ガバナンス」の時代へ

ガバナンスがなければ、SOAも「ただの無秩序な」Webサービス

(2006年02月24日)

 SOA(Service-Oriented Architecture)は企業に永遠のアドバンテージを約束する。コードの再利用を促進し、統合化のコストを軽減するだけでなく、セキュリティを強化し、さらには、(実は、これが最大のメリットなのだが)ビジネスに機敏性をもたらすのだ。
こうしたメリットを実現できるかどうかは、開発したコードの品質よりも、むしろポリシーやプロシージャ──つまりSOAガバナンス──によって決まる。

フィリップ J. ウィンドレイ/InfoWorld米国版

 SOAでいちばん重要なもの、それは「ルール」である。しかも、SOAでは従来の開発モデルよりも、もっと組織的な規律が求められる。

 話を分かりやすくするために、ここで、自動車を例にとってみよう。例えば、あなたがフォードに乗っているとする。さて、タイヤを交換する必要が生じたとき、あなたは「フォードのタイヤ店」を探して、そこに行こうとするだろうか。少なくとも現在では、だれもそんなことをする人はいない。それは、標準化とプロセス、そして規制があるからだ。ルールや規制があるため、消費者はどの店でタイヤを買おうが自由であり、サイズが合えばどのタイヤでも問題なく装着できるわけだ。

 こうした標準化の概念を念頭に置くと、全社レベルのSOAを理解しやすい。この新しい技術によってITが複雑化するのを避けるために、業界ではさまざまなソフトウェアが開発されてきた。それらはレジストリ、リポジトリ、ランタイム管理システムなど、いずれもルールを直接的に維持するためのものだ。しかし、SOAを構築する場合、そうしたSOAベースのツールをそろえるだけでは十分というわけにはいかない。IT部門では、それだけでなく、設計とそれに伴う設計ルールを真剣に検討する必要があるのである。

ガバナンス抜きのSOAは失敗する

 設計ルールとは、インタフェースを規定し、検討課題を整理すると同時に、サブシステム間の境界線を明確にするためのものである。一方、アーキテクチャの基本目的は、モジュール性を高め、サービスAPIをベースにしっかりと定義されたアブストラクションを構築することにある。それらの選択が完了したあとには、記録し、通知し、強制力を持たせるといったことが必要になる。そして、その強制力を持たせることで、設計ルールは「ポリシー」と呼ばれるものへと進化するわけだ。

 SOAのポリシーとプロシージャを開発あるいは確立することを、「SOAガバナンス」と呼ぶ。ガバナンスとアーキテクチャは車の両輪だ。アーキテクトは、コードや標準、検査の開発と同様のコンテキストで、自分の設計が特定のコミュニティに対して機能するかどうかを確認する。そして、SOAガバナンスは、システムのアーキテクトや設計者にそのコンテキストを提供するのである。

SOAガバナンス・ポリシー「設計から実行まで」

 「SOAガバナンスがなければ、SOAも結局はDLL地獄のWebサービス版で終わってしまうだろう」と語るのは、SOAレジストリ・プロバイダー、システィネットの創立者でチーフ・ソフトウェア・アーキテクトのローマン・スタネック氏だ。同氏はさらに、「SOAガバナンスは、一貫性、予測可能性をもたらし、小さな部品から大きなアプリケーションを構築することを可能にする」と、SOAガバナンスの利点を強調する。

 では、ユーザーは、どのようにしてSOAガバナンスにアプローチすればよいのだろうか。すでに強固なITガバナンスを実現していれば、それをSOAガバナンスの基盤として用いることができる。一方、これまでインフォーマルなガバナンスに依存していた場合には、SOAに移行するにあたって、開発や運用の管理体制を整備するなど、いくつかの課題に取り組む必要がある。バートン・グループで副社長兼リサーチ・ディレクターを務めるアン・トーマス・マーネス氏は、「ガバナンスを適切なかたちで実装しなければ、ほとんどの場合、SOAの導入は無残な結末に終わるだろう。SOAは、ビヘイビア(挙動、作法)であり、作成したり、買ったりすることはできない。SOAを効果的にするためには、ビヘイビアを変えなければならないのだ」と警告する。

 ところで、SOAガバナンスは一般にやっかいなものだと思われがちだが、その理由の1つに上述したポリシーの存在がある。ITプロフェッショナルと言われる人たちの中にも、ポリシーのことについて言及されると、冷や汗をかく人が少なくない。なかでも開発者、特に革新的な製品の開発者には、ポリシーやルールは足枷にしかならないとして敬遠する向きが多い。彼らは、経験から多くのポリシーが非現実的であることを知っており、その延長線上にあるガバナンスがボトルネックや非実用性、あるいは実態にそぐわない規制につながることを恐れているのだ。しかし、慎重に取り組めば、そうした人々から積極的な対応を引き出すことのできるガバナンス・プロセスを構築することも、十分に可能なのである。


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