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[米国]
SOAへの移行は“いばらの道”?──初期コストの高さがネック

(2006年12月15日)

 SOA(サービス指向アーキテクチャ)の特徴の1つは、再利用可能なアプリケーション・コンポーネントをベースとしたシステム構築アプローチであることだ。だが、初期コストの高さがSOA導入のネックとなっている。

 「SOAにより、長期的にはコストを削減できる」と、SOAの支持者たちは口をそろえる。SOAを導入すれば、新たなビジネス課題に直面するたびに新しいアプリケーションを作成したり、新しいソフトウェアを購入したりすることなくソフトウェアを再利用できる、というのがその根拠だ。

 米国マサチューセッツ・テクノロジー・リーダーシップ・カウンシルが12月13日に開催したSOAに関するパネル・ディスカッションで、米国の投資会社フィデリティ・インベストメンツ・インスティチューショナル・サービシズのアーキテクチャ担当副社長、スタイン・エリクセン氏は、「SOAに取り組む場合、コスト増が避けられない。従来のシステム構築のやり方よりもはるかに多くの費用がかかる」と指摘した。

 このパネル・ディスカッションでは、ハーウィッツ&アソシエイツの社長で、先月出版された書籍『Service Oriented Architecture for Dummies』の共著者でもあるジュディス・ハーウィッツ氏が司会を務めた。同氏はパネル・ディスカッション後に取材に応じ、長い目で見れば、SOAによってソフトウェア・システムをより維持しやすく、コスト効果の高いものにすることができると強調し、こう続けた。

 「これは、短期的なメリットと長期的なメリットのどちらを求めるのかという問題だ。従来型のパッケージ・ソフトウェアを買えば、かなり安上がりかもしれない。しかし、長期的なメリットを求める場合、例えば来月ではなく3年後にITソリューションが企業にどのように貢献するかを重視する場合は、SOAに先行投資するという選択になる」

 さらに同氏は、SOAの考え方にもっと目を向けるべきだとしたうえで、次のように語った。

 「確かに、ビジネスのやり方の大幅な変更を伴う技術の常として、SOAを早期に導入するのはフィデリティのような大規模企業だ。しかし一方で、SOAの原理をITシステムに適用し始めている小規模な企業もある。SOAは、世界中のITベンダーがもてはやしているホットなトピックであり、ソフトウェアの工業化の端緒を開くものだ。企業は新たな課題に直面すると、新しいアプリケーションをゼロから作ろうとするが、それでは効率が悪い。問題は、常に事後的に何かを作っていて、将来に備えながら開発を行っていないことだ」

 また、SOAには既存のアプリケーションを無駄にしないというメリットもある。SOAを適切に適用すれば、企業は何十年も前に作られたようなソフトウェアを再び活用することができる。

 「既存投資の成果をすべて廃棄するのではなく、その中から重要な要素を取り出して再利用できる。手持ちのものを再利用して、さまざまな状況で使える新しいサービスを構築することこそ、SOAの肝心な点だ」(ハーウィッツ氏)

 パネル・ディスカッションの参加者の1人で、ステート・ストリートの副社長兼SOAアーキテクトであるデボラ・シセロン氏は、「当社では、特定の顧客管理機能や資金管理機能などをSOAに対応させた」と述べた。シセロン氏によると、同社には今も役立っている旧式のソフトウェアが多数あるという。

 「当社には多数のレガシー・ソフトウェアやシステムがある。全部捨ててしまうというわけにはいかない」(シセロン氏)

 同社の上級副社長、デビッド・ソール氏も、「SOAの導入は、われわれにとって自然な進化だった」と語り、同社が15年も前から、SOAのようにサービスを疎結合で連携させて運用してきたことを説明した。

 一方、アイアン・マウンテンのエンタープライズ・アーキテクチャ担当上級副社長、ジム・カフ氏は、SOAへの移行を「いばらの道」と表現する。「これは非常に大きくやっかいなテーマであり、それだけで1冊の本が書けるほどだ」と同氏。

 フィデリティ・インベストメンツのエリクセン氏は、SOAの場合、サポート・サービスを中央管理体制と分散型体制のどちらで提供すべきかがわからないと不満をこぼす。

 「SOAにはいい部分もあるが、悪い部分もたくさんある」(エリクセン氏)

(ジョン・ブロドキン/Network World オンライン米国版)




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