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標準化動向

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ITIL導入の基礎知識

米国事例から学ぶ適用のポイント

(2006年09月17日)

ITサービス業務を行うための有力なプロセス・フレームワークとして、すでに欧州や日本では活用が進んでいるITIL(IT Infrastructure Library)。今やこの波は、“ITIL後進国”だった米国をも席巻しつつある。そこで、本稿では、ITILの適用に取り組む米国企業の姿を観察しながら、ITILのメリットおよびデメリット、そして実際に自らの組織にITILを適用する際のヒントについて探ってみたい。

CIO Magazine 米国版
ベン・ワーセン

ITILのパワー

ミード・ウェストベーコのCIO、ジム・マッグレーン氏は、常々IT業務に標準的なプロセスが必要であると考えていたが、スタッフの1人が探してきたITILを読んで、それがその答えになることに気づいたという(photo by Joe Harrison)

 米国の2大林産品/梱包材メーカーであったミードとウェストベーコが2002年の初頭に合併した際、ミードのプロセス開発担当副社長だったジム・マッグレーン氏は、新会社(年商72億ドルのミード・ウェストベーコ)のCIOに就任するとともに、新会社のシステムをSAPシステムで統一するという大がかりなプロジェクトを任されることになった。

 実は、マッグレーン氏は1998年からミードの受注管理/財務プロセスの再設計に取り組んでおり、そのプロジェクトでの実績を買われて、この大役を任されたのである。

 だが、プロジェクトを開始してしばらくたつと、同氏はどうしようもない違和感にさいなまれることになった。マッグレーン氏は、常々ビジネス部門の業務プロセスを標準化したうえで、より効率的になったプロセスを支援するためのシステムを構築しようと心がけてきたが、同氏が率いるIT部門は相も変わらず、旧態依然としたやり方で業務をこなしていたのだ。

 ITスタッフは多くの場合、その場しのぎの対応でトラブルを切り抜けていたし、IT部門でのプロセスに至っては、標準化されているものは皆無に等しかったのである。

 「IT部門の業務プロセスは共通化されていないどころか、ビジネス部門のそれと比べると、まったく焦点が定まっていなかった」(マッグレーン氏)

 同氏が違和感を覚えたのも当然のことだと言える。標準化されたビジネス・プロセスの開発と実施のサポートに責任を負っているIT部門自身が、実は標準化されたプロセスを持っていなかったのだから。

 それに気づいたマッグレーン氏とIT部門の上級スタッフは、2002年の大半をIT部門のビジョンづくりと、そのビジョンを実行するためのプロセスづくりのために費やすことにした。

 同氏によると、IT部門の標準的な業務プロセスを確立するために、当初はガートナーやIBMが提唱するフレームワークの採用を検討したが、それらはすぐに展開できるような代物ではなかったという。

 「各社とも専門用語を羅列して説明するばかりで、それらが何を意味するのか、実際にどのように役立つのかについては、ほとんど教えてくれなかった」(マッグレーン氏)

 そんなときに、同氏のスタッフの1人が見つけ出したのが、ほかならぬITIL(Information Technology Infrastructure Library)だったのである。

 ITILは、20年ほど前にイギリス政府が作成した、IT業務のベスト・プラクティスを集めた書籍だ。マッグレーン氏たちがそれまでに検討した他のプロセス・フレームワークと違って高レベルだが、各用語の意味も解説されており、きちんと勉強すれば、自らのIT部門に適用できそうな感触があったという。

 こうしてITILに興味を持ったマッグレーン氏は、早速10部(ITILは、本またはCD-ROMのセットで入手できる)購入してチーム・メンバーに配布するとともに、クリスマスの休暇を利用して、すべての巻を読破した。

 かくして、2003年の第1四半期末、マッグレーン氏はITILのフレームワークを使ってIT部門の業務プロセスを再構築するという計画を正式に発表した。ミード・ウェストベーコにおける改革は現在も進行中であるが、現時点で把握できる範囲ではすでに機器のメンテナンスにかかわる契約の経費を10万ドル以上節減できたほか、業務の安定性が向上したことで収益が10%も増えたという。

 「これらの利益と経費削減効果は、ほかでもなくITILによってもたらされたものだと考えている」(マッグレーン氏)

ITILの長所を知る

 IT業務に関するフレームワークはいくつかあるが、ITILと他のフレームワークはどのように違うのだろうか。それを知っていただくために、以下に、4つのフレームワークの概要を示す。

「ITIL(IT Infrastructure Library)」

 ITILは、質の高いITサービス管理を提供するためのベスト・プラクティスを集めたカスタマイズ可能なフレームワークだ。各種業務の管理に関するプロセス・モデルという考え方に基づいて作成されたITILは、包括的な管理業務のセットを提示することで、IT組織に関する構造とスキルの要件について論じている。

「COBIT(Control Objectives for Information and Related Technology)」

 COBITは、ITガバナンスを確保するためのフレームワークだ。「リスク」という概念を中心に、開発者・ユーザー双方をマネジメントすることでセキュアな環境の下、ITを積極活用できる体制づくりの指標を提示している。

「CMM(Capability Maturity Model:能力成熟度モデル)」

 CMMは、IT組織のソフトウェア開発プロセスの成熟度を5段階で評価する手法。改訂版である能力成熟度モデル統合(CMMI: Capability Maturity Model Integration)は、組織内のプロセスを改善するための手引き、および製品やサービスの開発、調達、メンテナンス作業を管理するための手段を提供する。

「シックスシグマ」

偏差を管理し、きわめて高いレベルの品質を達成するためのデータ・ドリブンな品質管理プログラム。シックスシグマとは、統計的な測定における標準偏差が6であることを表す用語であり、この手法では、100万件当たり最大3.4件の故障発生件数に該当する。

(CIO Magazine 2006年8月号より)


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