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【解説】
PFLOPS級スパコンがもたらす、科学技術の“新時代”
演算性能はBlueGeneの2倍に相当
(2008年06月17日)
今夏には研究所内で稼働を開始
IBMの幹部は先週、RoadRunnerがペタFLOPSを突破したことを明らかにした。この処理速度は、それまで世界最速だった、米国エネルギー省のLawrence Livermore国立研究所に設置されているIBM製スパコン「BlueGene/L」の約2倍に相当する。
| Lawrence Livermore国立研究所に設置されている「BlueGene/L」 |
11年前にテラFLOPS(毎秒1兆回の浮動小数点演算)の壁が打ち破られてからは、ペタFLOPSがスパコン分野における最大の目標であり、米国Crayや米国Hewlett-Packard(HP)、米国Sun Microsystems、米国SGIをはじめとする数多くの企業がこれを目指して開発にしのぎを削っていた。
今年7月、IBMの技術者たちは21台のトレーラーにRoadRunnerを詰め込み、Los Alamos国立研究所へ運んで組み立てた後、稼働テストを実施する予定だ。夏の終わりまでには、同研究所内での実稼働が始まる見込みだという。
だが、一刻も早くRoadRunnerを使いたい研究者らは、そんなに長くは待てなかったようだ。
研究者たちはすぐにポキプシーへと移動し、超高速の演算性能を誇るRoadRunnerを研究プロジェクトにさっそく利用し始めたと、Wallace氏は説明している。
ある研究者グループでは、気候の変動と海洋の循環を調べている。RoadRunnerを使い始める前は、10〜20キロメートルに及ぶ巨大なブロックを1回の調査対象としていた。だが、RoadRunnerのおかげで調査範囲を狭めることができ、結果もかなり変わってきているという。
「調査範囲を狭めたことにより、範囲をおおざっぱに区切っていたときにはわからなかった物理現象も認識できるようになった。これで、日々の気候に大きな影響を与えていると思われる海中エネルギーの遷移をより理解できるようになるはずだ」(Wallace氏)
人間の視覚を司る脳の部位を研究している研究者も、RoadRunnerをリサーチに役立てている。そうした研究者らがRoadRunnerを利用し、10年以内には実用性のある人工視覚技術を開発できると、Wallace氏は見ている。
「実際にどうやって脳が視覚的に物体をとらえているのかは、いまだ解明されていない難問の1つだ。子どもでもりんごとオレンジを見分けることができるが、これをコンピュータに教えるのは非常に難しい。形を見るのか、それとも色を見ればよいのか。色や形状、質感といったすべての情報を脳が分析し、りんごかオレンジかを判断する仕組みを解明するために、われわれはこうした研究を続けている」(Wallace氏)
さらにWallace氏は、人工視覚技術はロボット工学を発展させるだけでなく、視覚障害者にも利益をもたらすだろうと述べた。
Los Alamos国立研究所でRoadRunnerが稼働した後には、宇宙空間における衛星軌道の追跡や核廃棄場所の監視など、機密性の高い研究プロジェクトにも同スパコンが利用される予定である。
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