【 ここから本文 】

ストレージ革命

ソーシャルブックマークに登録 : Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに登録 del.icio.usに登録 newsing it!に登録 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに登録 Slashdotにタレコむ イザ!ブックマークに登録 Twitterでつぶやく
print 印刷用ページの表示


ストレージ革命

「シン・プロビジョニング」でストレージ・リソースの“無駄づかい”を撤廃する

手付かずの容量を有効活用するためのアプローチ

(2006年08月25日)

企業・組織において、ストレージの容量とそれを確保するためのコストはかさむ一方である。しかし、実際には、割り当てられたストレージ容量の数分の1しか利用されていないということも珍しくない。こうしたストレージにまつわる無駄を解決するための切り札として、利用状況に応じてストレージ・ボリュームを自動的に拡大・縮小させる技術「シン・プロビジョニング」が注目を集めている。本稿では、事例を交えて、シン・プロビジョニングの導入メリットと仕組みについて説明する。

ジェニファー・マックアダムス
Computerworld米国版

ユーザーの過剰要求、従来の割り当て方式が生む無駄

 周知のように、扱うデータが爆発的に増大していることから、企業・組織におけるストレージに対する需要は年々かなりの勢いで増大している。加えて、ストレージ不足を極度におそれるエンドユーザーが必要以上にストレージの容量を要求する傾向もあり、常に「ストレージ容量が足りない」という声が上がっている。

 しかし、ユーザーに割り当てられたストレージ・リソースはあまり効率的に利用されていない。検索ポータルの米国アスク・ドットコム(旧アスク・ジーブズ)でポータル・オペレーション担当ディレクターを務めるアーネスト・ヴルツバッハ氏は、「ユーザーに割り当てたストレージ製品やアプリケーションが接続されたまま放置されているケースがいかに多いか。ストレージとその予算管理を担うわれわれは、いやというほどそんな例を知っている」と嘆く。

 また、米国の市場調査会社であるエンタープライズ・ストラテジー・グループのアナリスト、トニー・アサロ氏は、「従来のようなストレージの割り当て方式では無駄が発生するのは当然だ」と指摘する。従来の方式においては、データの増加分を見越して、必要以上の容量がユーザー用のボリュームに割り当てられていた。しかも、割り当てられた容量のうち、未使用の領域があっても、それを他のアプリケーションに対して割り当てることはできない。例えば、この方式で、ある部門に対して1TBのストレージを割り当てた場合、ストレージ容量を多めに申請した彼らがその10%しか利用しなかったら、残りの90%のストレージは手付かずのままとなるわけだ。「すべてのアプリケーションにおいてこの方法をとっているようでは、いくらストレージがあっても足りない」(同氏)

 つまり、必要とされる量よりも多くストレージを割り当てる従来の方式とユーザーのストレージに対する過剰な要求が相まって、ストレージの無駄を生み出しているのだ。

ボリュームへの書き込み時にストレージの割り当てを実行

 こうした、休眠状態で放置されている“残り容量”を有効活用すべく登場したのが「シン・プロビジョニング」だ。シン・プロビジョニングは、「オーバー・プロビジョニング」、「allocate-on-write」、「dedicate-on-write」とも呼ばれている。

 シン・プロビジョニングにおいては、複数のアプリケーションによって共有可能な仮想化されたストレージ・プールから、あらかじめ割り当てられた容量ではなく、ボリュームに書き込まれたデータ量に応じてストレージが割り当てられる(図1)。つまり、シン・プロビジョニングが導入された環境においては、ボリュームに割り当てる容量を動的に拡大・縮小すること、また、ボリュームの空きを効率よく活用することが可能になる。


図1:シン・プロビジョニングの仕組み

 また、シン・プロビジョニングをサポートしているハードウェア/ソフトウェアは、ストレージ・リソースが不足してハードディスクを増設しなければならない状態になったら、警告を管理者に通知するように設定することができる。通知を受けた管理者は、オンデマンドでストレージを追加すればよい。

 このようなシン・プロビジョニングを導入すれば、企業・組織はあらかじめ、ボリューム当たりの使用量を考慮して、また、将来の増加分を見込んで、ストレージを購入する必要がなくなり、ストレージの無駄が解消されるというわけだ。

 シン・プロビジョニングを積極的に推し進めているストレージ・ベンダーとしては、3PARdata、ヒューレット・パッカード、ネットワーク・アプライアンス、オーバーランド・ストレージといった大手が挙げられ、レフトハンド・ネットワークスやコンペレント・テクノロジーズといった新興ベンダーも追随する構えだ。

表1:ストレージ・システムにおける無駄を浮き彫りにする調査結果

 「シン・プロビジョニング製品を導入する意義は、明らかにストレージ・コストの削減にある。なぜなら、シン・プロビジョニングはストレージ・リソースの“先行投資”を省いてくれるからだ」と、エンタープライズ・ストラテジー・グループのアサロ氏は言う。使いもしないストレージをエンドユーザーの求めに応じて用意しなければならないことにうんざりしているITマネジャーにとっては、説得力のある言葉である。

 アサロ氏によると、昨年10月に実施した調査において、対象企業の58%は社内に置き去りのストレージがあることを認識していたが、それでもその半数は新しいストレージ・システムを買わざるをえなかったと回答したという結果になったという(表1)。同氏は、シン・プロビジョニングには、ユーザーに消費するストレージ・リソースの要求に対する説明責任を負わせるとともに、管理職にはストレージ・リソースを割り当てる際にベスト・プラクティスに従わせるという“当事者意識”を高める効果があると指摘する。

COLUMN
シン・プロビジョニングと動的プロビジョニングの違い

 シン・プロビジョニングと動的プロビジョニングは、「どこが違うのだろうか」と疑問に思われる読者の方もおられるだろう。エンタープライズ・ストラテジー・グループのアナリスト、トニー・アサロ氏も、「必要に応じてオンラインでストレージ・ボリュームを増やす方法としてさまざまなOSによりサポートされている動的プロビジョニングは、シン・プロビジョニングと混同されることが多い」と述べている。

 アサロ氏は、シン・プロビジョニングに関する最近のリポートで、「動的プロビジョニングはボリューム・サイズの縮小をサポートしていない」と説明している。

 この2つのプロビジョニング方式の最大の違いは、シン・プロビジョニングにおいては、あるアプリケーションに割り当てられている未使用のストレージを別なアプリケーションで利用することができる点にある。動的プロビジョニングは、割り当て済みのストレージに未使用の領域があったとしても、それをプールすることができない。そのため、ユーザーがストレージを過剰に要求することによって生じる無駄を食い止めることはできない。


 |12 > 次のページへ



関連記事

▲ページの先頭へ戻る


特別企画

日立のストレージ・ソリューション

柔軟なデータ・マネジメント戦略でビジネスを加速させよ

“仮想化”を基盤とした総合力で、情報資産の活用を支援する日立製作所のストレージ・ソリューション

イベント・リポート

NetApp Focus 2008

競争力の高いデータ管理基盤をいかに構築するか――ネットアップが提示する仮想化活用の実際

データ管理における豊富なノウハウに基づくNetAppストレージ/仮想化製品群

プロダクト・フォーカス

日立製作所

データを安全に長期保管し、さらなる活用を促す――日立の「Hitachi Content Archive Platform」

コンプライアンス/内部統制時代のニーズに応えるコンテンツ・アーカイブ・ストレージ

キーパーソン

「ストレージ管理の課題解決のカギは重複除外と仮想化」――ネットアップCTOのポロウスキー氏

社名変更し、ユーザー認知度のさらなる向上も目指す

サンEVPのファウラー氏「ストレージでもオープン革命を起こす」

「サーバ/ネットワーク/ストレージは、オープン技術によって統合化・収束化に向かう」

ストレージにも「グリーン」を――SNIAが示す環境配慮の新指標

エネルギー効率を測定できる新ストレージ指標を2009年完成に向け開発中

「目指すのは、日本社会に根づいた“情報インフラ企業”」――EMCの諸星社長

製品の単なる“日本語化”ではなく“日本化”を目指す

データ統制

オンライン・バックアップ・サービスの普及が大手企業間で加速

有力ベンダーが相次いで市場参入。2011年には約7億ドルの市場規模に

ILMの導入で、IT運用コストを引き下げろ!

ILMを成功裏に導入するための“6つのステップ”

全社レベルでコンテンツを“統制”する「ECM」

今日のコンテンツ管理製品分野における最注目領域

過去のあらゆるデータをリカバリできるデータ保護技術「CDP」

データ・ロスとダウンタイムの最小化をも実現

コンプライアンスを重視したメール運用管理の実際

ECM/CMSではカバーしきれない最重要コンテンツ

ストレージ仮想化

ストレージ仮想化[メリットと手法を確認する]

普及が進み、成熟期を迎えた仮想化技術

注目集めるストレージ仮想化技術――企業は管理コスト削減に期待

管理コストを95%削減した事例も

ストレージ管理

ストレージ・リソース管理(SRM)ソフトは使い物になるか?!

有用なチャージバック・モデル開発など、課題が山積

少ない電力でより多くのデータをストア

ストレージ管理の「今日的キーワード」は「省電力」

企業が陥るストレージの過剰購入

リソース管理ソフトを駆使して計画的な導入を!

「シン・プロビジョニング」でストレージ・リソースの“無駄づかい”を撤廃する

手付かずの容量を有効活用するためのアプローチ

ユーザー事例

ニューヨーク市警の巨大データ・ウェアハウス刷新計画とは

関連機関の“データ・ハブ”として機能

中堅化学薬品メーカーが体感した「iSCSI SAN」の導入効果

災害復旧バックアップ基盤を強化

キャッチアップ

ITILを生かしたストレージ管理の新アプローチ

ベスト・プラクティスをストレージ管理にも応用し、“データの洪水”に備える

ナノテク研究の前線からCPU/HDD/メモリの明日を読む[HDD編]

テラバイト領域に突入したハードディスク――垂直磁気記録方式、TMRヘッド、パターンド・メディア……

データ・バックアップの定番デバイス「テープ・ストレージ」の意義を再考する

容量/データ転送速度の向上に加え、セキュリティも強化

エンタープライズ・レベルに達したiSCSI

急速に普及するiSCSI-SAN。その技術の成熟度を測る

トレンド・ウォッチ

グリーン化を実現するために、コールセンターを「仮想化」せよ

在宅勤務を取り入れれば、オペレーターの定着率がアップし、省エネも達成

待たれる、「相変化メモリ(PCM)」時代の到来

小型化の限界に近づいたフラッシュ・メモリに、いつ取って代わるのか

ISO/IEC、マルチベンダー環境のSAN管理仕様「SMI-S」を承認

SANシステムの相互運用を実現

大半の企業は「電子開示」規則への対応が不十分

民事訴訟での電子文書の証拠提出を巡り

【連載】バックアップ新論

第1回:デスクトップのバックアップ

第1ステップはユーザーへの喚起

第2回:データセンターのバックアップ

まずは経営上のリスクとコストとのバランスを評価

第3回:メッセージのバックアップ

内部統制に必須の重要課題に取り組む

第4回:ワークグループのバックアップ

「バックアップの盲点」をいかに克服するか

第5回:PDAのバックアップ

ネットワーク・デバイスとして管理する

第6回:ブランチ・オフィスのバックアップ

常に変化する“標的”を的確に“キャッチ”する

Weekly Ranking

集計期間:11/25〜12/01



Computerworld Global
米国
英国
中国
ドイツ
オーストラリア
シンガポール
その他の国