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過去のあらゆるデータをリカバリできるデータ保護技術「CDP」
データ・ロスとダウンタイムの最小化をも実現
(2006年10月27日)
ディザスタ・リカバリ、セキュリティ、コンプライアンスなどを強化するための手段として、企業におけるデータ保護への期待は増すばかりである。ただし、現在広く利用されているデータ保護技術では、必要な過去のデータをすべてリカバリできるすることは難しい。この弱点を克服したデータ保護技術が「CDP(Continuous Data Protection:継続的データ保護)」だ。本稿では、ビジネス・コンティニュイティを実現するかなめの技術として、CDPを紹介したい。
後藤哲也
EMCジャパン プロダクト&ソリューションマーケティング本部
従来のデータ保護技術が抱える課題を解決
ビジネス・コンティニュイティをITという観点から見た場合、システム復旧の基盤となるデータの保護は最重要項目であり、企業はそれに対して十分な対策を講じる必要がある。
データ保護の分野においては、これまでデータの定期的なバックアップに軸足が置かれてきた。そこでは、フル・バックアップと差分バックアップのスケジューリング、メディアの管理、バックアップ・ウィンドウの短縮、バックアップがシステムに与える影響の軽減といったことが課題とされ、対策が講じられてきた。また、バックアップ・データは必要な時に迅速にリカバリできてこそ意味があるが、それを実際に行うのはかなり難しかった。
| 図1:バックアップ、リカバリに関する課題についての調査結果 |
カナダのバックアップ・ソフトウェア・ベンダー、アシグラがITマネジャーを対象に行ったオンライン調査によると、回答者のうち76%が「リカバリの不具合がビジネスに直接影響をもたらしたことがある」と答えている( 図1)。この結果は、データ保護を考えるうえで、バックアップ主体からリカバリ主体へと転換する必要性が生じていることを示唆していると言える。
また、リカバリにおいては、いかに早く、どれだけ障害発生時に近いデータを戻せるかということが重要である。詳細は後述するが、現在広く利用されている日次バックアップやスナップショットによるリカバリでは、時間がかかるだけでなく、障害発生直前のデータを戻すことも難しい。
こうしたデータ保護における課題を解決する技術として最近注目を集めているのが、CDP(Continuous Data Protection:継続的データ保護)だ。CDPは、データ保護技術の中でも、テープではなくハードディスクにデータを保存するB2D(Backup-to-Disk)の範疇に属する技術だ。その意味では、近年のハードディスクの低価格化・大容量化の産物だとも言える。以下、CDPの定義、機能、仕組みを紹介しよう。
SNIAによるCDPの定義と分類
表1:SNIAによるCDPの定義(原文)
Continuous data protection(CDP)is a methodology that continuously captures or tracks data modifications and stores changes independent of the primary data, enabling recovery points from any point in the past. CDP systems may be block-, file- or application-based and can provide fine granularities of restorable objects to infinitely variable recovery points.
ストレージ関連の業界団体であるSNIA(Storage Networking Industry Association)は、2005年2月にCDPに関するSIG(Special Interest Group)を立ち上げるなど、CDPの普及に務めている。同SIGは、「CDP Buyer's Guide. First edition-July 2005」において、CDPを表1のように定義しているが、それを要約すると下記のようになる。
- 保護対象のデータの変更を継続的に記録・トラッキングし、対象データとは独立してその変更内容を保存する技術
- 過去の任意の時点(APIT:Any Point In Time)のデータを復旧することが可能であり、リカバリ・ポイントを時間単位で無制限に変更できる
- データの変更を記録・トラッキングするレイヤによって、ブロック、ファイル、アプリケーションの3タイプに分類できる(表2)
表2:SNIAによるCDPの分類
●ブロック・ベース
→物理ディスクまたは論理ボリューム上で、データ・ブロックを記録する
●ファイル・ベース
→ファイルシステム上で、ファイルシステムのデータとメタデータを記録する
●アプリケーション・ベース
→保護対象のアプリケーションのログやAPIを活用して、アプリケーションの状況を監視し、その変更を記録する
RPO、RTOを限りなくゼロに近づけることが可能
データ保護を理解するうえで重要な概念に、RPO(Recovery Point Objective:リカバリ・ポイント目標)とRTO(Recovery Time Objective:リカバリ時間目標)がある。RPOとは障害発生後からどの時点までさかのぼってデータを復旧するかを示す指標であり、RTOとはデータを復旧するまでにどのくらいの時間がかかるかを示す指標である(図2)。
| 図2:RPOとRTO |
ここで、CDPの特徴を理解するために、CDP、日次バックアップ、スナップショットのリカバリ・ポイント、RPO、RTOを比較してみたい( 図3)。
まず、日次バックアップは1日に1度しかバックアップを行わないため、リカバリ・ポイントは障害発生直前のバックアップ取得時となり、RPOは最大24時間となる。RTOも1度にバックアップするデータの容量が大きいため長くなる。一方、特定時点のデータの位置を示すポインタ情報と変更データを取得するスナップショットは日次バックアップより短時間で済むため1日に何度も実行でき、RPOは短縮される。
これに対し、CDPは、データが変更されるたびにそれをすべてトラッキングして、変更履歴を記録していくので、あらゆる時点のデータをリカバリすることができ、RPOを限りなくゼロに近づけることができる。また、CDPではメタデータによる仮想レプリカ(複製)に基づいて迅速なリカバリを実現しているため、RTOも他のデータ保護技術より短くて済む。
つまり、CDPを採用することによって、データ・ロスを最小化できるとともに、システム停止から復旧までのダウンタイムの短縮とシステム停止に伴うコストの削減が図れるのだ。
| 図3:CDP、日次バックアップ、スナップショットにおけるリカバリ・ポイントの比較 |


















