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ストレージ革命

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【連載】
バックアップ新論

第2回 データセンターのバックアップ

(2006年12月06日)

バックアップ製品を導入しただけでは、データの保護は実現しない。そのあとの戦略的な意思決定が不可欠だ。経営上のリスクとデータ保護に要するコストとのバランスを評価することが、データセンターのバックアップ戦略を立案するうえでの第一歩となる。

ドリュー・ロブ
Computerworld 米国版

 データのレストア作業は、いわば巨大な壁画を修復するようなものだ。ローマ・カトリック教会の中心地として知られるバチカンは、20年の歳月と数百万ドルの巨費を投じて、システィナ礼拝堂のフレスコ壁画を少しずつ慎重に修復していった。これと同じように、データのレストアにも労を惜しまない地道な作業が要求される。

 とはいえ、特にデータセンターでのレストアの場合、従来と同じやり方では膨大な労力が必要となる。カリフォルニア州オークランドに本拠を置くコンサルタント会社、ネットワーク・フロンティアーズのCEOで、『The Backup Book』(シャガーバータン・ブックス刊、2003年)の共著者でもあるドリアン・コーギアス氏は、その点についてこう指摘する。

 「すべてのデータをテープ・ストレージにバックアップし、システムの完全レストアを実行したあと、データの完全レストアを実行するといった古い手法は、大変な手間がかかるだけでなく、時に苦痛を伴う」

 しかも、バックアップやレストア対象のデータを紛失したり、ほかのデータと間違えたりしたら、訴訟に発展することもある。

データセンターのバックアップを実行する頻度

 例えば、USBワーバーグ証券は、性的差別で女性従業員から訴えられた裁判で、証拠となる電子メールを収めた72本のデータをレストアするために16万6,955ドルの支出を余儀なくされた。にもかかわらず、いくつかの重要な電子メールが提出証拠から欠落していたため、陪審は同社が2,900万ドルの賠償金を支払うべきだと評決した。

 モルガン・スタンレーの場合も、重要な電子メールのデータをきちんと管理していなかったことが致命傷となった。同社は、ある個人投資家に関するトラブル処理の過程で、バックアップ・テープに記録された証拠の電子メールを故意に別のもので上書きしたと見なされ、顧客に対して14億5,000万ドルの賠償金を支払うべきだと陪審から言い渡された。

 こうした巨額の損害賠償請求訴訟に至るケースは、実際にはさほど多くはない。しかし、バックアップの品質とスピード、そしてレストレーションが、ビジネスの継続性や従業員の生産性を大きく左右することは確かだ。ハリケーンや大停電、サーバ・クラッシュ、従業員のミスなどによるファイルの消去といった緊急事態に直面したときも、会社が生き残れるかどうかを決定づける重要な要素となる。

 また、法規制の要求もある。データの保護を義務づけられた企業は、ディスクをベースとするバックアップ技術の導入を急いでいる。調査会社IDCによると、世界のディスク・ベースのデータ保護ハードウェア/ソフトウェア市場は、今年の80億ドルから2010年には500億ドルへと急成長する見通しだ。

 もっとも、データの保護というのは製品を購入しただけでは実現しない。そのあとの戦略的な意思決定が不可欠となる。以下、データセンターにおけるバックアップとレストレーションについて解説する。

保護すべきデータや損害に関するアセスメント

 データのバックアップにフォーカスした技術や製品はすでに数多く存在する。だが、最初に目を向けるべきところは技術ではないと専門家は口をそろえる。

 「ほとんどの組織に共通する問題は、バックアップの目的を明確にしないまま技術や製品に頼ろうとすることだ」とコーギアス氏。同氏は、バックアップの目的がシステムとデータの保護にあることを踏まえたうえでバックアップ環境の構築を進める必要があるとアドバイスする。

 ならば、最初にやるべきことは何か。コーギアス氏によると、どのデータ、どのシステムが保護を必要とするのか、さらにはシステムがダウンしたときにどれほどの損害が生じるかを見極めるためのアセスメントだという。もちろん、理想を言えば、絶対にダウンしない完全な冗長性を持ったシステムを構築することがベストだろう。しかし、それが現実的ではないことは言うまでもない。したがって、次善の策としては、問題が発生した際に、可能なかぎり迅速にデータをレストアできるようにすることである。ただし、必ずしもすべてのデータあるいはシステムに同等の保護手段を適用する必要はない。

 ニューヨークに本拠を置くザインフォプロのマネジメント・ディレクター、ロバート・スティーブンソン氏は、こうしたアセスメントを行ううえで重要なのは経営上のリスクとコストとのバランスをとることだと力説する。

 「各事業部門とストレージ・チームは、システムがダウンしたときのリスクの大きさを基に、バックアップ対象のシステムやデータに優先順位を付け、復旧ソリューションを構築する必要がある」(スティーブンソン氏)

 優先順位が決定したら、そのレベルの可用性の実現に向けて、必要なステップをさかのぼっていく。一般に、初期の段階では2つの評価基準を考慮することになる。1つは、特定のマシンまたはサービスで許容されるダウンタイムの最長時間、すなわちRTO(Recovery Time Objective)だ。そしてもう1つは、レストアするデータがどの程度新しくなければならないか、あるいはどの程度の頻度でバックアップが行わなければならないかを示すRPO(Recovery Point Objective)である。

 マサチューセッツ州フラミンガムのストレージ・コンサルタント会社、グラスハウス・テクノロジーズのデータ保護サービス担当副社長、W.カーチス・プレストン氏は、「本来はRTOなどの復旧要件から手をつけるべきなのに、実際にそうする企業はこれまでほとんどなかった。RPOとRTOが決まれば、その要件に見合うバックアップもおのずと見えてくる」と語る。


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バックアップ新論
第1回 デスクトップのバックアップ
第2回 データセンターのバックアップ
第3回 メッセージのバックアップ
第4回 ワークグループのバックアップ
第5回 PDAのバックアップ
第6回 ブランチ・オフィスのバックアップ

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【連載】バックアップ新論

【第1回】
デスクトップのバックアップ

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【第2回】
データセンターのバックアップ

まずは経営上のリスクとコストとのバランスを評価

【第3回】
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