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ストレージ革命

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ストレージ革命

データ・バックアップの定番デバイス「テープ・ストレージ」の意義を再考する

容量/データ転送速度の向上に加え、セキュリティも強化

(2007年08月21日)

バックアップの効率化には今なおテープは無視できない

 以上のようにバックアップ・システムのD2D化が進んでいるものの、バックアップの効率化のためにはテープ・ストレージが今なお無視できない存在である。ここでは、その理由を説明する。

 なお、現在出荷されているテープ・ストレージは、ドライブ単体のシングル・ドライブ製品と、ドライブおよび複数のテープ・カートリッジを収納し、ドライブへのカートリッジの出し入れを自動的に行えるオートメーション製品に大別される。後者は、さらにオートローダとテープ・ライブラリに分類されるが、この両者の定義はベンダーや専門家によって異なる。IDCでは、内蔵ドライブ1台のものをオートローダ、2台以上のものをテープ・ライブラリと定義している(写真1)。

写真1:テープ・ストレージ製品の例:シングル・ドライブの「HP StorageWorks Ultrium 920」(左上)、オートローダ「HP StorageWorks 1/8 G2 Tape Autoloader」(左下)、テープ・ライブラリ「Sun StorageTek SL8500 Modular Library System」(中央)とその内部(右)

 これらのテープ・ストレージは、D2T(Disk to Tape)構成での利用のほか、より強固なデータ保護を目的として、いったんディスク・ストレージにデータをバックアップした後に必要に応じてテープによるバックアップを行うD2D2T(Disk to Disk to Tape)構成も典型的な利用形態である(図2)。

図2:D2D2Tによるバックアップ・システムの構成例

■人為的ミスを回避できる

 もちろん、D2Dバックアップ・システムでは、データ保護のためにRAID構成で冗長化を図っているケースが多い。RAID構成では、データを分散して格納するため、ディスクの物理的障害に対するデータ保護策としては有効な手段であると言える。

 しかし、ディスクは、データの保存や削除・変更といった操作が容易な分、オペレーション・ミスが発生しやすいというリスクがある。IDCの調査結果でも、「人為的ミス」がデータ損失の理由として常に上位を占めている。この人為的ミスを回避するためには、バックアップ・データを完全にオフラインで保管できるテープ・ストレージが効果的である。

■災害対策として威力を発揮

 バックアップを取っていても、災害時にハードウェアが使用できなくなったら、バックアップの意味をなさない。近年は、災害対策として、遠隔地にリモート・バックアップを行うシステムを構築する企業もあるが、コスト面から中堅・中小規模のユーザーには、まだ現実的な選択肢とは言いにくい。

 一方、テープ・ストレージでは、バックアップ・データを保存したテープ・カートリッジを物理的に移動でき、災害時には、そのバックアップ・データから復旧作業を行うことが可能だ。ディスクからのリストアに比べて時間を要するが、テープ・カートリッジが安全な場所に保管されていれば、データは守られるのである。特に中堅・中小企業にとって、災害対策として、テープ・ストレージを取り入れるメリットは大きいと考えられる。

 IDCが行ったテープ・ストレージ・ユーザーに対する調査を見ても、テープを利用し続ける理由として、「災害対策で必要」という回答が最も多い回答数を得ている(図3)。

図3:D2T、D2D2T導入企業/導入計画企業に聞いた「テープを使い続ける理由」

■30年以上の長期保存も可能
 これまでバックアップを中心に説明してきたが、ここではデータのアーカイブに着目したい。

 一般的に、企業が保有するデータは、時間の経過とともに使用頻度が低くなる。それでも、ディスクだけでデータを保存する場合、現在使用中のデータも、1カ月前に作成されてすでに使用頻度が低くなったデータも、同じシステムに格納されるケースが多い。だが、ほとんど使用しなくなったデータをシステム価格の高いプライマリのディスク・システムに保存し続けることは、コスト効率が悪い。そこで、データ作成からの時間の経過とともに、オンラインのプライマリ・システムから、ニアライン、そして最終的にはオフラインのアーカイブ・ストレージに移動し、ストレージ・システム全体のコスト効率を上げるべきである。この場合、プライマリ・ストレージやニアライン・ストレージにはアクセス性能の高いディスク・ストレージが適しているが、アーカイブ・ストレージには低コストでメディアをオフラインで管理できるテープ・ストレージや光ディスクのほうが適している。ただし、テープ・メディアと光ディスクでは、テープのほうが圧倒的に容量が大きいため、大容量データのアーカイブには、テープ・ストレージがふさわしい。

 また、テープ・メディアには、30年以上の長期保存をうたうものもあり、保存状態がよければ長期にわたる保存も可能だ。今後は、法規制の強化からデータの長期保存の必要性が高まると考えられる。1度データを書き込んだ後には消去や変更を不可能としてデータ改竄を防止するWORM(Write Once Read Many)機能を備えた製品もあり、データ・アーカイブにテープ・ストレージを利用するメリットはますます大きくなるだろう。

■ディスクに劣らない高速性

 テープはディスクに比べて「遅い」というイメージを持つ読者も多いのではないだろうか。確かに、データ・アクセスの方法を見ると、ランダム・アクセスが可能なディスクのほうが、シーケンシャルなアクセスを行うテープよりも高速な動作が可能だ。

 しかし、データ転送速度を比較すると、テープは遅いというイメージが誤解だとわかる。現在、バックアップ用途に使用される3.5インチSATAドライブ(500GB、7,200rpm)のデータ転送速度は、おおよそ80MB/秒だが、HDDはその特性上、ディスクの内周に行くほど転送速度が低下するため、実際の転送速度はこれよりも遅くなる。
 それに対し、例えばテープ・ストレージ規格の1つであるLTO Ultrium 3では、データ転送速度は80MB/秒、データ圧縮時はその2倍の160MB/秒となり、ディスクにひけをとらない高速なデータ転送が可能である。新世代のLTO Ultrium 4では、圧縮時データ転送速度は240MB/秒と、より高速化が図られている。つまり、テープ・ストレージは、データ・アクセス後にデータの読み出しが始まれば、決して遅くはないのである。

 例えば、バックアップで大量のデータ転送が発生するときには、アクセス性よりもデータ転送速度が重要になる。こうした場合は、テープ・ストレージの利用も十分に効果的である。また、複数のテープ・ドライブを搭載したオートメーション製品を使用することで、データ転送速度の向上が可能なことも、テープ・ストレージの優位点である。

 ただし、実際のデータ転送速度を考える際には、注意すべき点がある。バックアップ対象のデータが保存されているディスクからの転送速度が遅い場合は、テープ・ドライブは回転を止め、テープを巻き戻して再び書き込みを始めるという動作を繰り返す。その結果、データ転送速度が遅くなるという状況を招く。テープの転送速度を最大限に生かすには、安定してテープが回転し続けるように、ホストやインタフェース性能まで考慮して構成を決めなければならない。最近では、テープの速度と書き込みを調整してスループットを向上させる機能を搭載したテープ・ドライブも製品化されており、こうした製品を用いることも解決策となるだろう。

■すぐれたコスト・メリット

 容量単価の低下を背景に、D2Dバックアップを採用する企業が増加していることは前述したが、コスト・メリットを考えると、テープ・ストレージに分があることが多い。テープ・ライブラリでは、テープ・カートリッジを追加して容量の増加を行うため、巻数が多くなるほど容量当たりのコストが低くなることになる。

 また、ディスクは、原則的に常に複数枚のディスクが稼働している状態、つまり常時オンラインの状態であるため、消費電力が大きくなる。一方、テープは、実際のデータの読み書きを行う際にのみ電力を消費するため、消費電力が小さくて済む。こうしたテープ・ストレージの特徴は、ランニング・コストの低減に大きく寄与するだろう。


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