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ストレージ革命

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ストレージ革命

【NetApp APAC Media Summit 2007】
統合アーキテクチャを軸に水平展開――NetApp「ストレージ専業の追求」

競合との差別化ポイントと、ストレージ運用管理の簡素化をアピール

(2007年08月18日)

電力問題の解決策としてストレージ仮想化に期待

 こうしたEMCへの対抗心を見せながらラウ氏は、次のようにも発言した。

 「オラクル、マイクロソフト、シマンテック、SAPと、当社はソフトウェア領域において強力なベンダーとパートナーシップを築いている。最近ここに新たなパートナーが加わった。それはEMCである」

 同氏の意図を正確に説明すると、NetAppがパートナーシップを結んだというのは、EMCの子会社であるヴイエムウェアだ。ヴイエムウェアのサーバ仮想化ソフトウェアにおけるNetAppストレージのサポートのために協力関係を築いたのだ。

 仮想化は、今日のデータセンター運用における問題を解決するために不可欠な技術である。ハードウェアの利用効率の向上、サーバの高可用化、運用管理負荷の軽減と、さまざまな効果が期待されている。加えて最近になって特に注目されている効果が、ハードウェア台数の削減によるエネルギー効率の向上だ。

 こうした点からNetAppも、ヴイエムウェアとの協力に加え、自社ストレージ製品の仮想化機能の向上に力を注いでいる。ラウ氏は、「今日のデータセンターにおいては消費電力の低減が重要な課題になっている。その解決のためには、ストレージ・ハードウェアの台数を減らす必要がある。そのために仮想化は、現在利用できる最良の手段である」と、ストレージ仮想化に対する期待を語った。

先進的な仮想化技術はNetAppの強みの1つ

 もともとNetAppはNASによって頭角を現したことから、NASに特化したストレージ・ベンダーというイメージを抱いている読者もいることと思われる。また、近年はiSCSIへの注力が目立っていると感じている方もいるのではないだろうか。

写真4:スレッシュ・ヴァスデヴァン氏は、NetAppの強みとして仮想化、統合ストレージ、運用管理の容易性という3点を提示した

 だが、近年はNetAppのビジネスの中でも、FC-SANが堅調に伸びているという。同社のネットワーク・ストレージ&マネージアビリティ・グループでシニア・バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャーを務めるスレッシュ・ヴァスデヴァン氏(写真4)は、講演において米国IDCの調査データを示し、売上ベースで見ると、現在でもFC-SANが大きいことを指摘、そのためNetAppのビジネスにとってもFC-SANが重要なポジションを占めていると説明した。

 そうはいうものの、FC-SAN市場には、前述のEMCや日立製作所(海外では日立データシステムズ)、ヒューレット・パッカードと手ごわい競合ベンダーが控えている。そうした競合ベンダーに対して、NetAppが立ち向かえる強みとは何だろうか。

 ヴァスデヴァン氏は、同社の強みとして、仮想化、統合ストレージ、運用管理の容易性という3点を挙げ、特に仮想化については、「ストレージの利用率は40%程度にとどまっている。そうした状況を改善するために仮想化が役立つ」と、その必要性を訴えた。

 NetAppの仮想化に関する取り組みの中でも特に注目したいのが、物理ストレージ容量にとらわれずに論理ボリュームを作成できるシン・プロビジョニングを早期に実装したということだ。具体的には2004年に発表したData ONTAPの現行バージョン「7G」でシン・プロビジョニング機能の「FlexVol」を搭載した。

 別途行われたグループ・インタビューにおいてヴァスデヴァン氏は、「競合ベンダーが当社に追随してシン・プロビジョニングを実装するようになった」と同社の技術力に自信を見せ、「次に競合ベンダーが実装しようとするのは、仮想クローニングだろう」という予想を示した。

 この仮想クローニングとは、ディスク容量の消費を抑えてボリュームのクローンを作成する技術である。ここで言うクローンが単なるコピーと異なるのは、コピーが元のボリュームと同一のストレージ容量を消費するのに対し、クローンはいくつ作成してもほとんど容量を消費しないという点だ。それはクローンを構成するデータは元データと同一のものが使用され、クローンが存在していることはメタデータで示されるのみだからだ。また、クローンに対して変更が加えられた場合は、その部分だけが別途記憶されることになるため、通常のボリュームと同様に扱うことが可能だ。この技術の実装として、Data ONTAPは「FlexClone」という機能を備えている。

テープ・バックアップの問題を解消するD2Dシステム

写真5:マニッシュ・ゴール氏は、セカンダリ・ストレージにおいてテープからディスクに移行するメリットを説明した

 一方、NetAppのシニア・バイスプレジデントでデータ保護・保存ソリューション部門のゼネラル・マネージャーを務めるマニッシュ・ゴール氏(写真5)は、セカンダリ・ストレージに関する講演を行った。

 アーカイブやバックアップといった用途のためのセカンダリ・ストレージとしては、これまでテープ・ストレージが広く使われてきた。だが、「24時間365日の稼働がITインフラに求められている今日、バックアップ・ウィンドウが短くなっている。そうしたなか、テープ・バックアップは時間がかかりすぎるため、現在のバックアップの手段として最適な選択肢とは言えない」というのがゴール氏の主張だ。

 加えて同氏は、テープ・ストレージの運用面の問題として、テープ・カートリッジの保管やアーカイブ・データの検索性が低下するといった点を指摘した。特に近年は、コンプライアンス上の要請から、データを迅速に見つけ出す必要性が高まっており、アーカイブ・データの検索性は重要なポイントとなっている。

写真6:D2Dバックアップ・システムを容易に構築できる仮想テープ・ライブラリ「NearStore VTL」

 そこで、NetAppが推奨するのがD2D(Disk to Disk)バックアップである。ディスク・ベースのシステムに移行することにより、バックアップの迅速化/効率化を図るというわけだ。そのための製品として同社は、「NearStore」シリーズを提供している。なかでも「NearStore VTL」(写真6)は、テープ・ストレージをエミュレートする仮想テープ・ライブラリであり、既存テープ・バックアップ環境からの移行を容易なものにする。

 容量当たりのコストの面から、テープの優位性が指摘されることがあるが、今日はバックアップ時に重複するデータを排除してストレージ利用の効率化を図るデータ・デデュープリケーションといった技術も登場している。そのため、コスト面からもD2Dバックアップは優位になりつつあると言える。

 今回のコンファレンスは、新たな情報の提供というよりも、同社のビジネスの現状を俯瞰するという趣旨が強く、特に、以前からNetAppが訴求してきたストレージ運用管理の簡素化という点があらためて強調された。もちろん、どのベンダーも自社製品は運用管理が容易であるとアピールするだろうが、NetAppの主張は、統一的な管理手法を提供する統合アーキテクチャと、それを基礎とした水平方向の製品展開アプローチをその根拠としている。APAC地域において同社がさらに業績を伸ばせるかどうかは、この点が理解され、受け入れられるかどうかにかかっている。


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