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ストレージ革命

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【NetApp APAC Media Summit 2007】
統合アーキテクチャを軸に水平展開――NetApp「ストレージ専業の追求」

競合との差別化ポイントと、ストレージ運用管理の簡素化をアピール

(2007年08月18日)

今年6月28日・29日の2日間、シンガポールにおいてネットワーク・アプライアンス(NetApp)のプレス・コンファレンス「Network Appliance Asia-Pacific Media Summit 2007 SINGAPORE」が開催された。APAC(アジア/太平洋)地域で初開催となるこのNetAppプレス・コンファレンスでは、同社のビジネスの現状やこの地域における事業体制などが披露された。本稿では、NetAppの製品/技術に関する話題を中心に、同コンファレンスの模様をリポートする。

大川 泰
Computerworld編集部

7カ国約20名が参加した初のAPACプレス・イベント

 今回の「Network Appliance Asia-Pacific Media Summit 2007 SINGAPORE」には、7カ国から約20名のIT関連メディア関係者が参加した。APAC地域における同様なコンファレンスの開催はNetAppにとって初めてのことであり、ここからも今後、同社がこの市場に注力していく意向がうかがえる。

写真1:同コンファレンスの司会進行を務めたパトリック・リネハン氏は、APAC市場における同社の成長に自信を見せた

 同コンファレンスの司会進行を務めたのは、NetAppでAPACおよびEMEA(欧州/中東/アフリカ地域)を担当するシニア・バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャーのパトリック・リネハン氏(写真1)。同氏は、もともとEMEA市場を担当していたが、その市場を急成長させた実績を買われ、APAC担当にも任命された。

 開会の挨拶に立ったリネハン氏は、「われわれにとってAPACは、高い成長率を期待できる市場である」と語り、今後NetAppがAPAC市場に本腰を入れることを強調した。

 別途行われたグループ・インタビューにおいて同氏は、APACを攻略するにはEMEAで成功を収めたのとは異なるやり方が必要なのかという問いに対し、「EMEAであろうとAPACであろうと、ユーザー企業の抱える問題に特別な違いがあるわけではない。生産、サポート、サービス、販売、営業といった面からEMEAで実行したのと同様な施策を展開していくつもりだ」と、その経営手腕に自信を見せた。

ストレージ運用管理の簡素化をあらためてアピール

写真2:ジェームス・ラウ氏は、同社のビジネスを概観して好調ぶりをアピール、特定分野にフォーカスした企業こそ成功すると語った

 基調講演には、NetAppの創業者の1人でエグゼクティブ・バイスプレジデントおよびCSO(最高戦略責任者)を務めるジェームス・ラウ氏(写真2)が登壇した。同氏は、過去10年間における1年度当たりの出荷容量をグラフで示し、「1997年度の出荷容量は83TB。それが2007年には278PBにまで伸びた」と同社の堅調な成長ぶりをアピールした。

 ラウ氏によれば、企業が扱うデータ量の増加に並行してディスク・ドライブの容量単価が年々低下していることを背景に、「顧客のストレージ・システムに対する要求が変化している」という。具体的には、さまざまなベンダー/機種のストレージ・システムが企業内に乱立し、運用管理の手間やコストが膨大になっていることから、その簡素化が求められている。

写真3:NetAppの主力製品「FAS」シリーズのローエンド・モデル「FAS250」(上)とハイエンド・モデル「FAS6070」(下)

 運用管理の簡素化は、NetAppが以前から自社製品の強みとしてアピールしてきたポイントである。主力製品の「FAS」シリーズ(写真3)には、最大4TBのローエンド・モデル「FAS250」から、最大302TBのハイエンド・モデル「FAS6070」まで計7モデルが用意されているが(2007年7月時点)、これらすべての製品に同一の専用OS「Data ONTAP」が搭載されている。それに加えて、単一の筺体でNAS、FC-SAN、そしてiSCSIによるIP-SANといった利用形態に対応できる。つまり、どのような規模/利用形態であっても同じ手法で運用管理できることから、その手間を削減できるというわけだ。

 ラウ氏は、こうしたNetApp製品の特徴を「統合アーキテクチャ」と呼び、多くの顧客が直面している問題の解決策となるだろうと語った。

 加えて、ストレージ管理ソフトウェアのビジネスが好調に伸びていることにも同氏は言及した。同氏によれば、2006年のストレージ管理ソフトウェア市場全体の成長率は前年比8%だったのに対し、NetAppは50%の成長率を達成しているという。特にデータ・リプリケーション・ソフトウェア(表1)においては「ここ数年で、市場シェア2位まで上り結めた」(同氏)

表1:データ・リプリケーション・ソフトウェアの市場シェア

 ストレージ・システムの運用管理を簡素化するためには、使いやすいソフトウェアが不可欠な要素だ。今後もNetAppは、この分野への注力を続けていくと思われる。

水平方向に拡充する製品展開アプローチ

 また、ラウ氏は、米国IDCが調査したオープン系ネットワーク・ストレージの市場シェア・データ(表2)を示し、「この中で、ほかとは異なる特徴を持つベンダーが2社ある。それはEMCとNetAppだ」と語った。言うまでもなく、NetAppと同様にEMCも、ストレージ・ベンダーである。

表2:オープン系ネットワーク・ストレージの市場シェア

 同氏は続いて「EMCを見ればわかるように、特定分野にフォーカスする企業こそ、勝者となるのだ」と語った。これはもちろん、同様にストレージに専念するNetAppの成功は間違いないということだが、最大のライバルと言えるEMCをあえて引き合いに出したのは、同社への対抗心からであろう。

 今回のコンファレンスで印象的だったのは、ラウ氏に限らず、NetAppのキーパーソンたちがEMCに対する対抗心を隠さなかったということだ。EMCを意識するのはストレージ・ベンダーとして当然だろうが、あえてその姿勢をあらわにしたのは、ストレージ・ベンダーとしてのNetAppの戦略をEMCとのコントラストの下に明確に示すためではないだろうか。

 実際に両社の戦略には、大きな違いがある。EMCが買収した多数のベンダーの中には、コンテンツ管理のドキュメンタムのようなベンダーが含まれている。ここから、EMCがより上位のレイヤを含めた情報インフラ全般をターゲットとしていることがわかる。それに対してNetAppは、前述のようにソフトウェア・ビジネスへの注力を強めているが、それらは基本的にストレージの運用管理にかかわるものである。

 つまり、垂直方向に製品拡充を進めるEMCに対し、NetAppはストレージ・レイヤに焦点を絞り、水平方向に製品の拡充を進めている。「特定分野にフォーカスする企業こそ、勝者となる」というラウ氏の言葉には、さらにポイントを絞って製品を提供するNetAppの戦略こそ、より大きな成功をつかむことになるはずだという意味合いも含まれているのではないだろうか。


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