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【事例研究】
ワークスタイル革新に秘策あり――日本企業の事例に学ぶ[前編:フジタ製薬]
フリーアドレス制とIP電話の導入で生産性向上を実現
(2008年09月30日)
企業の競争力につながる創造性や、組織としての活動の質的向上といった真の意味での生産性向上を実現することは、ワークスタイル革新に取り組む企業の共通の課題と言えるだろう。本稿では、ITを駆使して、そうした生産性向上の実現に挑んだ日本企業2社の事例を取り上げながら、あるべきITの活用法やコラボレーション環境の構築のしかたなどを探ってみたい。前編となる今回は、フリーアドレス制とIP電話の導入で生産性向上を実現したフジタ製薬の取り組みを紹介する。
小林秀雄
部門を越えた社員間のコミュニケーションを図る
| COMPANY PROFILE | |
|
フジタ製薬株式会社 http://www.fujita-pharm.co.jp/ | |
| 所在地: | 東京都品川区上大崎2-13-2(本社)/東京都八王子市椚田町1211-1(東京工場) |
| 設立: | 1930年1月 |
| 代表者: | 藤田昌弘(代表取締役社長) |
| 事業内容: | 動物用医薬品、動物用医薬部外品、飼料、飼料添加物の製造・輸入販売/動物用医療機器の輸入販売/理化学機械、酪農機械用具の販売 |
「IP電話導入の目的は、社員のワークスタイルを変えて生産性向上を図ること。同時に顧客への対応力を向上させることだった」と語るのは、2006年7月に全社の電話システムをPBXべースからIP電話に切り換えたフジタ製薬で総務部部長を務める松山明氏だ。IP電話を導入する企業の多くがコスト削減を目的に掲げるなか、同社はIP電話の導入をワークスタイル革新の道具と位置づけた。それによって社員の生産性向上を図ろうと考えたのだ。
フジタ製薬は、動物用医薬品の製造・販売を手がける中堅クラスの企業である。動物用医薬品業界では家畜の数や卸売業者の減少が進んでおり、今後も一層競争が激化すると予想されている。そうしたなか、フジタ製薬はさらなるコスト削減と生産性向上による売上高と収益の底上げを迫られていたが、そうした必要性を“テコ”に、同社はこれまで継続的にワークスタイル革新に取り組んできた(下記コラム参照)。
例えば、遠方のエリアを担当する営業担当社員がどこにいてもグループウェアにアクセスして報告や連絡が行える仕組みは、すでに1998年から運用を開始していた。IP電話の導入、それと並行して実施されたオフィスのフリーアドレス化は、営業担当社員のワークスタイル革新から、内勤者を対象としたワークスタイル革新へとさらに歩を進めた取り組みと言えるだろう。
フジタ製薬が電話システムをIP電話に切り換えようと決めたのは、東京・八王子にある同社工場を改築した2006年のことである。そして、完成した新工場棟の3階は営業部門をはじめ、購買、生産管理、研究など、ビジネス部門向けのフロアとして利用されることとなり、同フロアの全部門にフリーアドレスが導入された。そのねらいは、部門間の“壁”をなくし、あらゆる部門の社員が随時コミュニケーションできる環境を構築することにあった。従来のオフィスでは、同じ営業部門でも東日本担当と西日本担当とで別々の部屋に分かれており、また他の部門も同じく部門ごとに部屋が割り当てられていた。そうした“壁”を取り払い、職場での自由闊達なコミュニケーションを促進することが、フリーアドレス導入の第一の目的とされた。
| 写真1:フジタ製薬の総務部部長、松山明氏(左)と総務部情報システム課マネジャーの佐々木健治氏。同社は新社屋建設を機に内線電話をフルIP化し、フリーアドレス制を採用した |
Column
ワークスタイル革新を後押しするフジタ製薬のIT戦略
フジタ製薬が情報システムの活用を本格的にスタートさせたのは1977年のことだ。IBMのオフコンを用いて基幹システムを構築したことにさかのぼる。その後も基幹システムの進化は続けられているが、特筆すべきは、ITを駆使したワークスタイル革新に取り組むその先進性である。
同社は、1996年からIBMの「Lotus Notes」の運用を開始しており、日本では比較的早い時期にグループウェアを導入した企業だと言える。翌97年からは、Notes上に200〜300のワークフローを作り込み、Notesを社内の業務基盤としている。例えば、残業の申請や弁当の注文、商品の値引きの了承を得るための上司への連絡など、日々の連絡・伝達・申請・承認はすべてNotes上で行っており、営業担当社員をはじめ、ほとんどの社員が毎日の行動計画と行動結果を日報としてNotesに書き込んでいる。上司はNotesを見れば部下のスケジュールと実際の行動が一目でわかるという仕組みだ。
また、モバイル技術の導入にもいち早く取り組んでいる。1998年にセキュアIPサービスによるモバイル接続を開始したのを皮切りに、2004年にはシスコの「VPN Client」を導入し、インターネット環境さえあれば、出張先のホテルや自宅から会社のNotesにアクセスできる環境を提供している。同社は「どこでもオフィス」の実現に向けた取り組みを展開しているが、社内外どこにいても申請や承認などが行える仕組みは、まさにワークスタイル革新につながるものと言える。事実、そうした仕組みは、同社社員の生産性向上に貢献しており、本稿で紹介している電話システムのIP化も、社員の生産性向上を目的としたワークスタイル革新をさらに加速・強化するための取り組みだと位置づけられる。
【事例研究】ワークスタイル革新に秘策あり――日本企業の事例に学ぶ[後編:ザ・ボディショップ]


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