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【解説】
RFIDの技術動向と自社導入のポイント
仕組み・動向を押さえ、“10のユースケース”に照らして自社業務での活用を検討する
(2008年06月18日)
普及を妨げている“真の課題”とは
ここで、未導入のユーザー企業がRFIDの導入に踏み切れない理由を探るべく、この技術の課題について考えてみたい。
読者の中には、数年前、情報プライバシーやセキュリティの問題がRFID導入の課題としてクローズアップされていたことを覚えておられる方も少なくないだろう。このプライバシーの問題については、商品の販売時に、その商品に貼付されたICタグの機能を無効化して消費者に渡すという運用レベルでの解決策がほぼ定着している。また、セキュリティに関しては、ICタグのメモリへのアクセス制御機能やデータ処理の暗号化機能を製品に実装するベンダーが増えており、この問題も解決されつつある。
最近の課題としては、UHF帯ICタグが発する電波がペース・メーカーなどの医療機器に与える影響についての懸念が報じられている点が挙げられる。この問題に関しては、総務省が今年4月に、医療機器などへの影響に関する調査結果をまとめ、UHF帯リーダ/ライタの店舗などへの導入などに関する公式な指針を示している。
つまり、これまでRFIDの導入にあたっての課題として指摘されてきたことや曖昧であったことは、おおむね解決されつつある。また、次元が異なるが、導入に際してリーダ/ライタやICタグなどの新たな設備投資が必要だが予算がないといった理由も、もちろん導入の障壁となっているはずである。しかしこの点についても、多くのベンダーが市場に参入することでRFID製品/システム構築サービス/ソリューションの価格は総じて低下傾向にある。
新しいテクノロジーに対する不安
しかしながら、RFIDは現時点で国内の企業に広く普及するには至っていない。真の課題はいったいどこにあるのか。
100社を超えるさまざまな企業とのRFIDに関する対話の経験から、最たる理由は“新しいテクノロジーゆえの壁”にあると筆者は考えている。
RFIDに限らず、新しいテクノロジーを自社に導入し、使いこなすためには、最初にだれかがそのテクノロジーについて調査し、活用のしかたを会得しなければならない。われわれ個人の生活に当てはめて考えてみると、例えば、初めて携帯電話を購入するときがそうである。はじめの2、3日は取扱説明書を読みながらあれこれいじって操作方法を覚えていったり、詳しい人に聞いたりなどするだろう。自分が使う道具の仕組み(システム)を理解する時間を要するということは、消費者向けテクノロジーでも企業向けテクノロジーでも同じである。
それに加えて、先述したように、RFIDにはさまざまな適用範囲とユースケースが存在する。投資対効果の観点からすれば、単にバーコードを置き換えるだけでなく、自社の業務に貢献する付加価値を考えるケースが大半となろう。それゆえ、単に基本的な仕組みを学ぶだけに終わらず、ユースケースについても研究し、自社導入における活用のアイデアも出していく必要がある。こうした導入の準備に要する調査やアイデア起案などの負担が、広範な業種・企業においてRFIDの導入が活発に進まない大きな理由となっているのではないだろうか。
では、IT部門としてはどのようなアクションを起こせばよいのか。本稿で示した適用業務とユースケースが自社に当てはまるのであれば、このすぐれたテクノロジーを活用しない手はない。まとめとして、次節で述べてみることにしたい。



