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[米国] 【BT調査】
次世代無線LAN規格「IEEE 802.11n」が大企業の間で急速に普及

ドラフト段階にもかかわらず多くの大企業が採用を検討

(2008年08月26日)

 米国の通信大手BT North Americaはこのほど、次世代無線LAN規格の「IEEE 802.11n」が、大企業のネットワークにおいて急速に普及しつつあるとの調査リポートを発表した。

 それによると、回答した大企業の3分の1近くが、今後12カ月以内に、高速なスループットを実現するIEEE 802.11nドラフト規格に対応した無線LANに移行する考えだという。BTはリポートで「まだ批准されてない規格がこれほど早い段階で大企業に採用されるのは前例がなく、同規格のメリットがいかに多くの企業に必要とされているかがわかる」と述べている。しかしながら、全回答者のうち、「急いで採用する必要はない」「今のところ採用する予定はない」とする割合も半数近くに上っている。

IEEE 802.11nの仕様策定を進める標準化団体、米国電気電子技術者協会(IEEE)のサイト。802.11nは現在ドラフト版2.0の段階で、ドラフト版3.0を経て2009年中に正式に策定される予定

 同調査は226社のITプロフェッショナルを対象にWeb上で回答を集計したもの。内訳は、ITスタッフ1,000人以下の企業が43%、1,000〜1万人が28%、1万人以上が4分の1となっている。

 回答者の39%はすでにIEEE 802.11nドラフト対応の無線LANアーキテクチャを導入済みで、現在移行中、もしくは移行予定と答えた人も22%いた。「この傾向は企業規模が大きいほど顕著だ」と、BTのコンサルティング・グループで戦略マーケティング担当ディレクターを務めるリック・ブラム(Rick Blum)氏は指摘する。

 しかしながら、IEEE 802.11n対応のアクセス・ポイントやコントローラ、管理ツールを一度に導入するのは支社や海外現地法人を数多く抱える企業にとってはかなりの負担である。このため、新興のネットワーク機器ベンダーである米国Aerohive Networksは、複数の無線アクセス・ポイントが協調する形で分散的に制御を行うコントローラ不要のアクセス・ポイント製品を提供している。ちなみに、米国オクラホマ州に102店舗を擁する小売チェーン7-Eleven Storesは最近、Aerohiveの製品を採用して無線LAN環境を構築している。

 BTの無線LANコンサルティング・プラクティス担当プラクティス・リード、グレッグ・テイラー(Greg Taylor)氏によると、大企業が無線LANに移行する主な理由は、従業員がどこにいても協力して仕事を進めたり、生産性を改善したりできるようにすることだという。実際、これらを「非常に重要」と回答した割合は61%に上っている。

 また、効率改善に関する公式資料はまだほとんど発表されてないものの、改善点を文書化するために社内調査を行っている企業がいくつか存在するという。「ただし、それを具体的な金額として示している例はごくまれで、無線LANに関連するさまざまな機能について書き記しているだけだ」とテイラー氏。

 ほかにも、脆弱な(あるいは悪意ある)無線LANを社内でこっそり利用されるのを防ぐために、セキュアな無線インフラを採用したいという願望もあるようだ。

 だが、こうした基準の「あいまいさ」から、無線LANの拡張やアップグレードは、コスト削減額を明確に示すことができるデータセンター仮想化など、より優先順位の高いプロジェクトの脇に追いやられがちであるとブラム氏とテイラー氏は指摘している。

 回答者の約3分の1は802.11nへの移行を進めており、今から1年後またはそれ以降に採用予定と答えた割合も20%を占めた。「802.11nへの移行は、ノートPCのテクノロジーがいつリフレッシュ・サイクルに入るかにかかっている。企業が802.11nチップセット搭載の新型ノートPCを導入するようになれば、無線LANを802.11nに移行しようという機運が高まる」とテイラー氏は見ている。同氏によると、大企業におけるリフレッシュ・サイクルは通常2〜5年だという。

 また、大容量の有線インフラに合わせて、まったく新しい環境で802.11nドラフト規格の無線LANインフラを採用するケースも多いという。「有線側にはギガビット・スイッチと10ギガビットのバックボーンが必要だ。既存の802.11a/b/gと802.11nを混在させても最小限のメリットしか得られない」(テイラー氏)

 802.11nの帯域幅と品質なら、社内LANに接続しているほとんどのクライアントを無線LANに移行できると期待する声もある。回答者の40%はセキュアなコントロールド・ゲスト・アクセスを採用しており、来年導入を予定している割合も30%に上った。また、無線LANの一元管理や無線侵入防止を講じているという回答は41%、12カ月以内にそれらに対応する予定という回答は34%だった。

 一方、VoIPやリアルタイムの位置情報確認サービス、固定/携帯電話の統合(FMC:Fixed Mobile Convergence)など、注目度は高いもののあまり採用が進んでいない機能もある。回答者の半数から3分の2は、これら機能を導入する予定はないと答えている。

 ブラム氏とテイラー氏によると、VoIP対応の携帯電話を用いた無線VoIPの試験運用は数多く見られるものの、全社的に導入されるケースはごく少数だという。一般的な用途の1つは、無線VoIPを社内のITスタッフとテクニカル・サポート用として利用するケースだ。「無線LANは本来データ用として設計されており、無線通話だと音声品質に問題が生じることから、試験運用の結果にばらつきがある」とテイラー氏。

 両氏の話では、大企業の無線LAN導入プロジェクトにおいて最も解決が困難な問題は、無線クライアントのプロビジョニング、管理、セキュリティ、運用であるという。例えば、一部のクライアントは証明書ベースの認証に不可欠なIEEE 802.1x規格をサポートしなかったり、誤ってサポートしたりする。この点については、エンジニアとユーザーに教育を施したうえで、ユーザー向けのテクニカル・サポート体制を構築することが重要となる。

(John Cox/Network World米国版)




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