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[欧州]
国境を越えたテレコム市場の創出に尽力する欧州委員会
競争の公正化や無線周波数利用の改善をEU加盟国に勧告書で訴え
(2007年11月14日)
欧州委員会は11月13日、テレコム業界に対する規制を再検討し、EU加盟27カ国における無線周波数の利用状況の改善や、EU全体を統括する新たな規制機関の設置などを提言する勧告書を公表した。
以前からヨーロッパ各国では、特定のテレコム事業者が市場を独占するという状況が続いていた。1998年に始まった自由化の動きは、国ごとに分断されていた市場の垣根を取り払い、EU全体をカバーする市場が生まれると期待されていたが、今もなお、かつて市場を独占していた企業が力を持っている。この傾向は、特にブロードバンド・インターネット・サービスへのアクセスのような重要な分野において顕著だという。
欧州委員会のテレコム担当委員ビビアン・レディング氏は、13日にフランスのストラスブールで行った記者会見で、「支配的な地位にあるテレコム事業者は、依然として政府当局に守られており、重要な分野をコントロールしている」と語った。そのうえで同氏は、既存のテレコム事業者に対して、インフラ部の運営とサービス業務との分離を命令する権限を27カ国の規制機関に与えたいとの考えを示した。
機能分離を命じる権限は、新たに創設される予定のETMA(European Telecom Market Authority)の承認を受け、各国の規制機関が行使することになるという。「機能分離は、所有権の分離ではなく、万能薬でもない。だが、英国では柔軟性の高い手段として機能しており、スウェーデンとイタリアでも導入が検討されている」とレディング氏。
同氏は、無線周波数の“ニューディール政策”も計画している。EUの都市以外の地域でブロードバンドにアクセスできる住民は、平均で72%にとどまっている。欧州委員会は、無線周波数の管理体制の改善とともに、光ファイバ・ネットワークの敷設に多額の費用がかかる地域において無線ブロードバンド・サービスを提供することで、このデジタル・デバイドの解消をねらう。
無線周波数を割り当てる現行のルールは1950年代に策定されたもので、レディング氏は見直しが必要だとしている。一方、放送事業者の間には、利用可能な周波数帯がすべてブロードバンド・インターネットに割り当てられ、HDTVのために使えなくなるという懸念もある。この点について同氏は、電波は加盟各国の所有物であり、周波数を割り当てる権限は各国の規制機関にあると説明した。
レディング氏は、EU全体をカバーする単一のテレコム市場を形成するためには、ETMAが重要な役割を担うと強調している。ETMAは、国を超える規制機関で、米国の連邦通信委員会をモデルとしている。この設立に対しては、一部の国の規制機関や欧州委員会関係者の間から、官僚体制の新たな階層を付け加えるだけという批判もある。
ETMAは、27カ国の規制機関の責任者で構成されるERG(European Regulators Group)の権限とENISA(European Network and Information Security Agency)の役割を統合したものになるという。ただし、「ERGと異なり、ETMAは独自に決定を下し、各国政府から独立した形で機能する」とレディング氏。
欧州委員会によると、効率的で統一化されたテレコム市場の創出には、さらなる規制が必要となるが、この10年間に注目されてきた市場の多くは、適正に機能しており、規制機関の監視は不要だという。以前監視対象だった17分野のうち、地上回線サービスなど10分野では監視活動が停止されており、監視の重点はブロードバンド・アクセスの事業者向け販売といった分野に移っている。
欧州委員会の勧告は、欧州議会と加盟27カ国政府のテレコム担当大臣の間で討議される。レディング氏は、この改革案が支持され、2009年には立法化されるとの見通しを示している。
(ポール・メラー/IDG News Service ブリュッセル支局)
- 欧州委員会
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