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【連載】
未来的テクノロジー・ベスト10
第8回 グリッド対応サイト間での医用画像の準リアルタイム転送を可能にする「Globus Medicus」
(2008年01月31日)
「Computerworld Horizon Awards」は、米国の研究機関やITベンダーのR&D部門などが、近い将来の実用化・製品化を目指して開発した最先端テクノロジーを読者に紹介すべく、2005年に創設されたものだ。本連載では、2007年度の“受賞作品”を一挙に紹介する。開発者たちのコメントから、イノベーション創出の最前線、そして企業コンピューティングの明日を感じ取っていただきたい。今回紹介するのは、グリッド対応サイト間での医用画像の準リアルタイム転送を可能にするプロジェクト、米国南カリフォルニア大学の「Globus Medicus」だ。
Drew Robb
Computerworld米国版
グリッド対応サイト間での医用画像の準リアルタイム転送を可能にするプロジェクト
Globus Medicus
米国南カリフォルニア大学 http://www.usc.edu/
「Globus Medicus」(注1)は、グリッド・コンピューティングを利用して、CT画像やMRI画像などを、医療センター間で準リアルタイムにやり取りすることを可能にしたプロジェクトである。Globusとは、米国南カリフォルニア大学(USC)などが設立したグリッド向けソフトウェアの開発団体であり、オープンソースのグリッド・コンピューティング・ミドルウェア「Globus Tolkit」の開発で知られる。Medicusプロジェクトは、このGlobus Tolkitを用いて開発された。
具体的には、医用画像の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)準拠の画像を医療センター間で自在にやり取りするため、画像データの転送や管理などを担うGlobus Toolkitの各コンポーネントを「DICOM Grid Interface Service」で統合(DICOMドメインとGridドメインを橋渡し)する構造になっている(図1)。
| 図1:Globus Medicusの構成 |
Medicusを利用することで、例えば医師は、セカンド・オピニオンが必要な患者の画像をほかの地域にいる専門家たちと直ちに共有できるようになる。従来の方法では、ネットワーク速度や、各病院が保有するシステムの互換性の問題などによって、大量のファイルの遠隔共有はほぼ不可能だった。
英国の調査会社Quocircaのビジネス・プロセス分析担当サービス・ディレクター、クライブ・ロングボトム(Clive Longbottom)氏は、「アクティブな3Dグラフィックスを必要な場所で見ることができれば、可能な限り速やかに正しい診断を下せるようになる」と語る。そして、それを可能にするのがグリッドであると指摘し、「グリッドは従来のスーパーコンピュータよりも格段に高いリソース能力を格段に低いコストで提供する」(同氏)と続ける。
Medicusプロジェクトのリーダーで、USCロサンゼルス小児病院の放射線医学/生体工学担当助教授、スティーブン G.エルベリック(Stephan G. Erberich)氏は、「Medicusではさらに、DICOM準拠の画像をグリッドを使って配布・検索することを可能にした」と説明する。認定ユーザーはシステム上にある患者の任意のファイルに対して、条件付きでアクセスできる。
同プロジェクトは2003年にスタートし、41の医療センターが参加するに至った。まもなく小児がん研究グループの230のセンターすべてを網羅する予定だ(米国およびカナダ)。
当初の開発者の1人であるErberich氏によると、同プロジェクトは当初、いくつかの課題を抱えていたという。例えば、患者が画像へのアクセスを管理できるセキュリティ・システムを開発する必要があった。
また、さまざまな研究センターが保有するシステム間の障壁を取り除くことも不可欠だった。「Medicusは医療技術の縦割り構造を乗り越えた」とErberich氏。今では、「放射線医師はグリッド越しに医用画像を入手し、その数日後ではなく数分後には診断報告を行えるようになった」(同氏)という。
注1:Medicusは「Medical Imaging and Computing for Unified Information Sharing」の略
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