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IP電話システムの運用アウトソーシング
「IPセントレックス・サービス」の現状を知る[前編]

フルIP化と部分IP化──2つの利用形態の特徴、メリット

(2005年04月25日)

IPセントレックスの2つの形態
フルIP化と部分IP化

 一般的には、上述したような流れでIPセントレックスというサービスが生まれ、顧客企業を獲得してきたと思われている。実際、この流れに間違いはないが、現在、IPセントレックスを採用しているすべての企業が、電話システムを完全にIP化しているわけではない。

 上で、IPセントレックスとはIP電話システムの運用管理を全面的に任せるサービスだと説明した。にもかかわらず、電話システムを完全にIP化してはいない企業が、そのサービスを受けている。この矛盾を不思議に思われる方もおられるだろう。それも当然の話だ。マスコミで多く取り上げられている狭義のIPセントレックスと、実際に最も多くの顧客企業を獲得しているIPセントレックスとでは、サービス内容が異なっているのである。

 IPセントレックスには、利用する機器や適用範囲によって、さまざまな形態がある。それは、「フルIP化」と「部分IP化」の2つに大別することができる。以下に、それぞれの概要や特徴について順番に説明しよう。

導入企業が意外と少ないフルIP化

 フルIP化とは、IP電話機からPSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆交換回線網)までを、広域Ethernet(*1)やIP-VPN(*2)などを介して、すべてIP通信できるようにしたIP電話システムの下で提供されるサービスのことだ(図2)。マスコミで多く取り上げられるIPセントレックスはこの形態のものであり、これが狭義のIPセントレックスである。


図2:フルIP化したIP電話システムの構成例

 この形態では、IPネットワークによってデータ通信回線と通話回線を統合する。そのため、従業員の異動時に発生する工事費削減や、フリーアドレス・オフィス(*3)の実現が主な特徴として挙げられる。さらに、番号変更や転送設定、グルーピングなどを管理者が容易に行えることも特徴の1つである(画面1)。この形態にはほかにも多くの利点があり、顧客企業が享受できるメリットは大きい。


画面1:NTTコミュニケーションズのIPセントレックス・サービス「.Phone IP Centrex」の管理画面。Webブラウザを介して番号変更(上)や転送設定(下)が行える

 その反面、IP電話専用の電話機を使うため、PBX(Private Branch Exchange:構内交換機)の多機能電話機ほど豊富な機能は望めない。したがって、多機能電話機のきめ細かな機能が不可欠と感じている企業での導入は難しいだろう。また、同形態の場合、社内ネットワークにIPセントレックス業者の通信が混在することになるため、セキュリティ面での課題も残されている。

 ともあれ、フルIP化のIPセントレックスを導入するには、電話システムと社内ネットワークに大きな変更を加える必要がある。したがって、この形態を導入できるのは、従来の電話システムを切り捨てると同時に、ネットワークの強化も行える企業のみということになる。


*1:広域Ethernet……Ethernetで使用されているスイッチング・ハブなどを組み合わせて構築した大規模なネットワークのこと
*2:IP-VPN……VPN(Virtual Private Network)はインターネットなどのオープンなネットワーク上で、安全な通信を可能にする仮想的なプライベート・ネットワークであり、IP-VPNは通信事業者のIPネットワーク網を利用して構築されるVPNのこと
*3:フリーアドレス・オフィス……従業員の席(専用スペース)を決めず、自由な場所に座れるようにしたオフィス形態のこと


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