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IP電話システムの運用アウトソーシング「IPセントレックス・サービス」の現状を知る[後編]
通信回線の選択、内線番号の割り当て、海外通信――導入時にチェックすべきポイント
(2005年05月02日)
ポイントD
ファクスの送受信
IPセントレックスの導入において、案外忘れがちになるのが、ファクスの送受信である。ISDN回線を用いてデジタル通信を行う「G4ファクス」は、ほとんどすべてのIPセントレックスで利用できなくなる。よって、G4ファクスを使いたい場合は、ISDN回線を残さなくてはならない。ISDN回線を撤去するならば、みなし音声(*3)を使った従来のファクスに置き換える必要がある。とはいえ、従来のファクスでも、遅延や“ゆらぎ”に敏感な機種の場合は、正常に送受信できなくなる可能性があるので注意されたい。
このような理由から、ほとんどのIPセントレックスでは、ファクスの送受信をサポートの対象外にしている。しかし実際には使えることが多いので、ファクスだけのためにIPセントレックスの導入をあきらめることもないし、従来の電話回線を残す必要もないだろう。
ただし、どの機種とどのサービスの組み合わせが相性が悪いのかという問いには、確実な答えがないことに注意していただきたい。物理的な通信回線の状況、利用する時間帯や地域、トラフィック量などさまざまな要因で利用の可否が変わってくるので、IPセントレックス業者との個別相談が必要になる。すでに実績がある機種などを紹介してもらって、試用してみるのも一案だ。
ポイントE
IP電話事業者間の通信
そのほか、IPセントレックスの導入によって通話ができなくなる可能性が残るのは、他の業者のIP電話、もしくはIPセントレックスとの通信である。通信事業者、もしくはIPセントレックス業者同士が提携していれば通話は可能であり、場合によっては通話料も発生しない。さらに、提携先が一般ユーザー向けのIP電話サービスも提供している業者ならば、そのサービス加入者との通話も無料になる。逆に業者同士が提携していない場合には、NTTなどの音声通信回線を使用しなければならない。
また、電話番号の先頭4けた「00XX」によって、利用する通信事業者が指定できるかどうかも、サービス選択時のチェック・ポイントとなろう。外線発信時に「IPセントレックス業者を使う/使わない」、「通信事業者を指定する/しない」などを切り替えられる機能は、業者同士の乗り入れが十分に行われていない現状では、重要な選択ポイントになってくる。この機能がサポートされている場合は、自社のIPセントレックス業者と、通話先のIPセントレックス業者が乗り入れていないケースでも通話できるようになるからだ。
ポイントF
海外拠点との通話
海外に支社のある企業などの場合、海外通話も考慮すべきポイントの1つだろう。多くのIPセントレックスでは、海外通話もそれなりに低料金に設定されている。しかし、特定の国にターゲットを絞り、格安で音声通信を提供する通信事業者のサービスを利用したほうが安い場合もある。
前号でも述べたが、IPセントレックスを提供している業者の中には、IP通信を行って現地の電話会社に乗り入れているのではなく、格安で海外との音声通信を提供する通信事業者と日本国内で接続しているところもある。自由に通信事業者を選択できるタイプのIPセントレックスを利用するならば、海外と通話する場合の通信事業者を指定できる。
また最近では、海外支社との内線通話を可能にするIPセントレックスも提供され始めている(図1)。サービス対象の国は限定されるが、オフィス間はIPセントレックス業者の国際通信回線で接続され、海外の支社と無料通話ができるようになっている。
さらに、現地の電話番号を取得して、その番号にかかってきた電話を国内オフィスの電話に転送するというサービスを提供しているところもある。
またインターネットを使ったIPセントレックスの場合、利用する通信機器をサービス対象の国で入手することができれば、国をまたいだ内線電話を利用することも可能になる。通話料をかけずに国境を越えた通話が可能になるということだ。
| 図1:海外拠点との無料内線電話を実現するIPセントレックス
|
ポイントG
IP電話機の操作性
ファクスや電話などのように、単純な機能の機器であればあるほど、その操作方法が変わったときに感じる不便さは大きいものだ。例えば、着信した電話を1回線目に保留するというケースを考えてみよう。それまでは「保留1」と書かれたボタンを押すだけでよかったとする。それが、IP電話に替えたことで、画面を見ながらの操作に変わったとしたらどうだろう。まず、「保留」ボタンを押す。次に、画面に表示された保留用の回線番号を矢印キーで選ぶ。さらに確認ボタンを押すといった操作も加わるかもしれない(図2)。
このように、1つのボタンを押すだけで済んでいた操作が、複数のボタンを押す操作に置き換えられると、かなり不自由を感じるようになるのではないだろうか。操作のしやすさは、実際に使ってみないとわからない。
できれば導入担当者だけではなく、さまざまな部署から広くユーザーを募って、移行候補のIP電話機を試用してもらい、感想を聞くくらいの準備をしたほうがよい。
電話機を替えても操作をできるだけ変えないためには、一般的に、同じメーカーのIP電話機を選択するとよい。というのも、操作方法はある程度継承されている場合が多いからだ。同じメーカーを選択できない場合は、ボタンの配置や操作の手順が似ているIP電話機を選択するとよいだろう。
ただし、ほとんどのIPセントレックスでは、電話機の種類が豊富には用意されていない。せいぜい数機種である。多数のメーカーのものを使える可能性も低い。どのような電話機を使えるのかは、IPセントレックスを比較するポイントになるだろう。
| 図2:電話を替えたことによって操作が変わる例 |
*3:みなし音声……ファクス通信の「ピー、ピロピロ」という音を、信号ではなく音声として通信する手段



