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VoIP/IP電話

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大阪ガスの無線LAN導入プロジェクト──その実態に迫る

6,000台の携帯IP電話機を全社導入、年間5億円のコスト削減を実現

(2006年06月02日)

無線技術の熱心な支持者にとって、オフィスの完全なワイヤレス化は長年の宿願だが、そうした夢をかなえている企業はきわめて少ないのが実情だ。そんななか、大規模な無線LANシステムを構築し、真のユビキタス・オフィスを実現した企業が日本に存在する。本稿では、米国ガートナーのアナリスト、ケン・デュラニー氏が「現時点において、史上最大規模」と指摘する、大阪ガスの事例を紹介する。

マット・ハンブレン
Computerworld オンライン米国版

通信コストを約30%削減

 大阪ガスの情報通信部ネットワーク技術チーム マネジャー、松本光司氏は、Computerworld米国版が通訳を介して行った電子メールによるインタビューに応じ、大阪ガスでは2005年5月から2006年3月にかけて、国内全49拠点に6,000台の携帯IP電話機を導入したと述べた。

 だが、これほど大規模なワイヤレス化を敢行しても、固定電話を駆逐することはなかったと松本氏は説明する。大阪ガスでは、上記のほかに6,000台の固定電話を所有しており、そのうち4,000台はIPベースで、無線機能を必要としない3,000人の派遣社員がこれらを利用しているという。残りの2,000台はアナログ固定電話で、地震などで停電した場合に備えられている。

 今回のプロジェクトには合計1,000万ドル近い経費がかかったが、松本氏は、「メンテナンス、運用、通話料などのコスト削減によって年間500万ドルを節約できる。そのため2年で投資を回収できる計算だ」と語る。

 大阪ガスの無線LANシステムでは、1つのWi-Fiアクセス・ポイントで最大10件の通話を処理することができる。11件目の通話からは話し中となるが、米国メルー・ネットワークスのCAC(Call Admission Control)サーバを用いてピーク時の通話トラフィックを調整し、使用頻度の高いエリアにアクセス・ポイントを追加することも可能となっている。松本氏によると、「これまでのところ深刻な問題は起こっていない」という。

 また、携帯電話の通話料を抑えるために、大阪ガスでは、LCR(Least Cost Routing:最適回線選択)機能をSIP(Session Initiation Protocol)サーバに内蔵して使用している。これによって、携帯電話番号を無線LAN内の内線番号に変換することが可能となり、内線エリアの外側にある携帯電話に電話をかけるときは、発信側の携帯電話を固定電話と認識させることで、通話コストを削減できるという。メルーの製品管理担当バイスプレジデントであるカマル・アナンド氏は、「大阪ガスでは年間の通信コストを約30%削減できる見込みだ」と語る。

導入を巡る課題

 無線LANシステムを構築するにあたって、最大の技術的課題となったのが、国内に点在する49拠点における無線LAN設定を、それぞれ個別に最適化しなければならなかったことだ。「無線信号の透過性や反射性は、建物、フロア、部屋などの環境によって異なってくる。したがって、無線LANの設定は事業所ごとに個別に行わなければならなかった」と松本氏は述懐する。

 大阪ガスのプロジェクトでシステム導入サービスを担当した日商エレクトロニクスの米国社長、木部俊明氏は、Wi-Fiの設定のほかに、固定電話が使用できなくなることに難色を示す社員のフォローも大変だったと振り返る。同氏は、「新しい電話機は今では問題なく利用されているが、当初はこれを嫌う社員もいた。どこの会社にも、新しい考え方に馴染むのに時間がかかる人はいるものだ」としている。

 メルーが大阪ガスの無線LAN導入プロジェクトに参加すると発表したのは2005年7月。その際、メルーは同社の無線LANシステムを活用したVoIPの運用に取り組むとともに、NTTドコモの無線LAN機能を備えたFOMA端末「N900iL」の採用を明らかにした。メルーは、日本のVoIPシステム・ベンダーのトップ3である沖電気、日立ハイテク、富士通アイ・ネットワークシステムズとも提携している。

(Computerworld.jp)




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