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セキュリティ・マネジメント

[米国]
マイクロソフト、「IE 8」に3種類のプライバシー・モード機能を追加へ

機能の“実質的な用途”から「ポルノ・モード」と揶揄する声も

(2008年08月27日)

 米国Microsoftは8月26日、Webブラウザ「Internet Explorer(IE)8)」に追加する3種類の新しいプライバシー・モード機能「InPrivate」の詳細を明らかにした。ブラウザのプライバシー・モードと聞いて、多くのユーザーが真っ先に思い浮かぶ用途はアダルト・サイト閲覧履歴の削除であることから、新しい機能の1つを“ポルノ・モード”と皮肉る向きもある。

 この報を受け、ワシントンD.C.に本拠を置く非営利のプライバシー擁護団体CDT(Center for Democracy and Technology)は「大きな前進だ」と拍手で迎え、IEの競合製品「Firefox」の開発元であるMozillaも、将来のFirefoxに同様の機能を盛り込む考えを表明した。

 Microsoft前会長のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が8月中にリリースすると約束していたIE8のベータ2には、同社が数週間前に米国特許商標庁に申請した「InPrivate」という商標の付く新ツールが3種類搭載される。

Internet Explorer 8に備わる予定のプライバシー・モード機能「InPrivate」

 このうち最もユーザーの興味を引きそうなのは、一部でポルノ・モードと呼ばれるきっかけとなった「InPrivate Browsing」モードだ。この機能をオンにした場合、IE 8はブラウザの履歴と検索履歴、クッキー、フォーム・データとパスワードをまったく保存しなくなる。また、セッション終了時にブラウザのキャッシュも自動的に消去される。

 他の2つは、ブラウザの履歴を追跡するサードパーティのコンテンツについてユーザーに通知する「InPrivate Blocking」モードと、遮断するサイトのリストを作成する「InPrivate Subscription」モードだ。また、IE 7から用意されている「ブラウザの履歴消去」についても、これまでのように全部の履歴を消去するのでなく、ブックマークしたサイトのクッキーだけは残しておけるオプションを追加することで、さらに改善が図られている。

 IE担当プログラム・マネジャー、アンディ・ゼイグラー(Andy Zeigler)氏は、IE開発チームのブログでInPrivate Browsingの詳細を説明した8月25日付けのエントリーで、「IE 8の開発プランにあたっては、Web上のプライバシーに対するユーザーの不安をいかに払拭するかを第一に考えた。多くのユーザーは“肩越しのプライバシー”、つまり配偶者や友人、子供、同僚に、自身のサイト閲覧履歴をのぞかれることを心配している」「家族で共有しているPCや友人から借りたPC、公衆のPCを使っていると、自分のどのサイトを閲覧したか知られたくないこともある」と記している。

 ゼイグラーのエントリーに対し、「Ert」というIDのユーザーは、同氏の文章を引用したうえで、「この機能がアダルト・サイトの閲覧用に作られたことは、あなた自身もわかっているはず」と揶揄した。

 そして、このユーザーの声に対し、「そういうレッテルはプライバシーにまつわる不安を歪曲するものだ」とMozillaのFirefox担当ディレクター、マイク・ベルツナー(Mike Beltzner)氏は反論している。「何でもかんでもアダルトに結びつけると、プライバシー問題を真剣に考えているユーザーまで何か悪いことをしているような気分になる」とベツルナー氏は不満を漏らした。

 一方、Mozillaは、Firefoxに追加するツールの呼称として「プライベート・ブラウジング」という言葉を使用している。同機能は、今年中ないしは2009年初頭にリリース予定の「Firefox 3.1」以降に追加される見込みだ。

 ただし、Mozillaの目標は、ユーザーがスイッチをオンにしてからブラウザが履歴を隠し始めるプライバシー・モードでなく、“もっと上”を目指している。「ユーザーがプライベートなブラウジング・セッションに入れるだけでなく、2時間前までさかのぼって証拠をすべて消去するようブラウザに命令できる機能も盛り込みたい」とベルツナー氏は語る。

 Mozillaは、6月中旬にリリースしたFirefox 3.0で、Microsoftが26日にIE 8に対して約束したのと同じようなプライバシー・モードを用意するはずだったが、この機能は完成間際に除外された。ベルツナー氏は、Firefox 3.1にこのモードを用意するかどうか保証できないとし、拡張予定について明らかにしなかった。

 上述のCDTで副理事を務めるアリ・シュワルツ(Ari Schwartz)氏は、テクノロジーとしての斬新さより、多くのインターネット・ユーザーに多彩なプライバシー・ツールを提供するという観点から、Microsoftの対策を高く評価している。「ブラウザにアドオンや拡張機能としてではなく、プライバシー・モードとして組み込む点を評価したい。単に技術面で画期的だからでなく、ユーザーがプライバシーの細かな制御を簡単に行えるという点で画期的だ」(シュワルツ氏)

 シュワルツ氏によると、CDTはこれまでプライバシー・モードの追加についてあらゆるブラウザ・ディベロッパーと意見を交わしており、今の進化には大変満足しているそうだ。最もよく使われているブラウザのうち、現在、プライバシー・モードを用意しているのは米国Appleの「Safari」だけだ。とはいえ、IE 8のInPrivateツールについては、「使い勝手がどうかは実際に登場するまでなんとも言えない」と同氏は注意を促している。

 一方、Mozillaのベルツナー氏もブラウザのプライバシーをもっと細かく設定できるようにする必要があるという点で、シュワルツ氏と同じ考えだ。両氏とも、学校やインターネット・カフェなどの共有コンピュータには問題があると指摘しており、「一般のWebサーファーがはたしてこれらツールを使うかどうか疑問だ」とベルツナー氏は話す。また、同氏は、Firefox 3.0のロケーション・バーにユーザーが過去に訪問したサイトを取り出すための検索機能が追加されていることを挙げ、「Firefoxを見るかぎり、ユーザーはむしろブラウザにできるだけ多くのことを記憶させたいと思っているのではないか」と述べている。

 MicrosoftはIE 8のベータ2版のリリース日をまだ決定しておらず、8月末までに公開するとだけ述べている。なお、同社幹部の話では、IE 8の最終版は今年中に発表するとのことだ。

(Gregg Keizer/Computerworld米国版)




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