【 ここから本文 】

セキュリティ・マネジメント

ソーシャルブックマークに登録 : Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに登録 del.icio.usに登録 newsing it!に登録 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに登録 Slashdotにタレコむ イザ!ブックマークに登録 Twitterでつぶやく
print 印刷用ページの表示


セキュリティ・マネジメント

【解説】
「テロ防止目的のデータ・マイニングは意味をなさない」――米国学術研究会議が指摘

「テロリストの特定は消費者行動の分析のようにはいかない」と調査委員会

(2008年10月15日)

「複数の米国連邦機関がテロリストの疑いのある人物を特定するのに利用している、行動パターン特定データ・マイニングおよび態度観察(behavioral surveillance)技術の類は、信頼性があまりに低すぎて有効であるとは言いがたい」――。このような指摘が、米国学術研究会議(NRC:National Research Council)が最近発表した調査リポートでなされた。テクノロジーの平和利用を盾に、守られるべき国民のプライバシーが大きく損なわれるという警鐘を含む本リポートの内容が、今後論議を呼ぶのは必至だ。

Jaikumar Vijayan
Computerworld米国版

現状を指摘し、プライバシー法の改正を求めるNRC

 このNRCのリポートは、米国国土安全保障省(DHS)および米国国立科学財団(NSF)の要請により作成されたものだ。NRCは、376ページに及ぶ同リポートにおいて、データ・マイニング・ツールや態度観察ツールのような技術を無計画に使用し続けた場合、個人の情報プライバシー侵害の問題が生じるおそれもあると記している。

米国学術研究会議(NRC)のWebサイト。同組織は、全米科学アカデミー(NAS)、米国技術アカデミー(NAE)と共にNational Academies(全米アカデミー)と呼ばれる組織を形成しており、科学および技術関連の問題に関して米国政府に助言を授けている

 NRCは、National Academy of Sciences(NAS:全米科学アカデミー)、National Institute of Medicine、National Academy of Engineering(NAE:米国技術アカデミー)と共にNational Academies(全米アカデミー)と呼ばれる組織を形成しており、同組織は科学および技術関連の問題に関して米国政府に助言を授けている。

 調査を実施した合計21名からなるNRCの委員会は、今回の調査結果を基に、テロリズム対抗策として同様のツールを使用している、あるいは使用を検討している連邦機関は、それらの有効性や合法性、プライバシーに与える影響などを早急かつ徹底的に見直すべきだと提言している。これに加え、米国市民の権利をより強固に保護できるよう、国内のプライバシー法の改正を議会に求めている。

 ワシントンに拠点を置くElectronic Privacy Information Center(EPIC:電子プライバシー情報センター)の事務局長、マーク・ロッテンバーグ(Marc Rotenberg)氏は、NRCのリポートに詳述されている調査結果は、これまで多くのプライバシー擁護団体が訴えてきた問題をあらためて浮き彫りにしたとコメントしている。

 「(NRCの)リポートは、こうしたプログラムに対する効果的な監視制度が必要だと結論している。まさに時機を得た、きわめて重要な調査報告書だ」とロッテンバーグ氏。さらに同氏は、プライバシー侵害の懸念があるにもかかわらず、政府はテロ対策の名の下に数々のデータ・マイニング・プログラムを強行してきたと苦言を呈した。そうしたなかで、この種のプログラムの効果に疑問を投げかけたのがNRCのリポートだった、とロッテンバーグ氏はNRCのこの活動を評価している。

全連邦政府のマイニング・プログラムの数は、計画中のものも含めて約200件

 2007年1月の時点で、全連邦政府組織が実施を計画していた、もしくはすでに実行に移していたデータ・マイニング・プログラムは約200件を数えるという。米国市民に“テロリスト度”の評価を付すDHSの「Automated Targeting System」や、航空機搭乗者の情報を分析する運輸保安局(TSA)の「Transportation Security Administration's Secure Flight」プログラムなどがその一例だ。連邦捜査局(FBI)も、テロリストを対象としたものを含め、複数のデータ・マイニング・プログラムを遂行している。

 なかでもとりわけ物議をかもしたのが、「Total Information Awareness(TIA)」というプログラムだ。このプログラムは、国防高等研究計画庁(DARPA)がInformation Awareness Office(IAO)と呼ばれる組織を創立したうえで2002年から極秘裏に始めたものだが、世間の批判を受けたため議会が予算を凍結し、2003年には中止に追い込まれたといういきさつがある。

 リポート執筆を担当したNRC委員会メンバーの1人、ウィリアム・ペリー(William Perry)氏は、テロリズムを撲滅するために必要なテクノロジーを利用するのはかまわないと、声明の中で語っている。「しかし、テロの脅威は、政府が違法行為に手を染めたり、米国市民が本来享受すべきプライバシー保護権の水準を根本的に変えたりすることの正当な理由にはならない」と同氏は付け加えた。

 NRC委員会は、特定のテロ対策関連データ・マイニング・プログラムに焦点を絞った調査はしておらず、連邦機関が使用している態度観察ツールの直接的な評価もしていない。同報告書の調査は、テロリストと疑われる人物を特定する技術の効果に関する、包括的な研究成果に基づいて行われている。


 |12 > 次のページへ



関連記事

▲ページの先頭へ戻る


ホワイトペーパー

「UTM」実践導入ガイド

「UTM」実践導入ガイド

巧妙化するあらゆる攻撃からネットワークを守る

プロダクト・フォーカス

日立製作所

データを安全に長期保管し、さらなる活用を促す――日立の「Hitachi Content Archive Platform」

コンプライアンス/内部統制時代のニーズに応えるコンテンツ・アーカイブ・ストレージ

セキュリティ・インサイト

既存メール環境の変更なしに導入可能な“透過型”スパム対策アプローチの実力

CATV統括運営会社に見る「マトリックススキャンAPEX」導入事例

McAfee SafeBootでの実績を土台にマカフィー製品を本格展開するマクニカネットワークス

マカフィーによる旧セーフブート社買収のシナジー効果を存分に生かす

企業の成長をサポートするサンのセキュリティソリューション

ビジネスのパフォーマンスは安全で積極的な情報活用から

企業に「安心・安全」を供給する日立ソフトの情報セキュリティ

「秘文」から「WriteShield」まで、一貫する情報セキュリティコンセプトとは

ビジネスを活性化するNECソフトのコミュニケーションセキュリティ

情報の堅ろうな保護と自由な共有を同時に実現

拡大するバラクーダネットワークスのセキュリティアプライアンス戦略

スパムメール対策からロードバランサ、Webアプリケーション保護まで

キャッチアップ

脳の活性化でパスワード記憶力を最大化――脳科学を駆使した英数字記憶術

テクノロジーに頼る前にみずからの記憶力を最大化する

CAPTCHA認証は“終わった”技術なのか――有効性を疑問視する専門家たち

スパム・メールだけではない、CAPTCHAクラッキングの弊害

「Google Gadgetsを悪用すれば、マルウェアを強制インストールできる」――専門家が警鐘

パスワードの盗難や検索履歴が読み取られるおそれも

iPhone 3Gはビジネスでは使えない?――アナリストらがセキュリティ面を懸念

「ファイアウォールにも暗号化機能にも対応していない」

企業を危うくするセキュリティ[NG]集

ささいなミスも命取りに――10の「やってはいけないこと」

社員のアクセス管理は「無法状態」――組織の分散化が原因?

「アクセス権に関する責任の所在は特定が困難で、検討機会もない」

Windows Vistaのセキュリティを検証する

UAC、BitLockerなど主要強化点の実用度をチェック

情報漏洩に備える――ダメージを抑えるための心得7カ条

セキュリティ責任者が実践すべきこと、すべきでないこと

定番化した「画像スパム」と迷惑メールの最新の手口

風説の流布による株価操作といった犯罪化が顕著な傾向

データ漏洩・盗難対策を“完璧”に近づける「マルチレベル暗号化」のすすめ

ライフサイクル全般にわたるデータ保護を実現する

ソーシャル・メディアのセキュリティ・リスク

ブログ、Wiki、SNS、ビデオ共有……便利だが危険と隣り合わせのWeb 2.0

キーパーソン

「データ・シャッフリング」とは何か――開発者が説く新データ・マスキング技術

実際のリスクとのずれを生む一方で、過度の恐怖を軽減する効果もあり

トレンドマイクロCEOのチェン氏、渦中の対バラクーダ訴訟について弁明

実際のリスクとのずれを生む一方で、過度の恐怖を軽減する効果もあり

“元ホワイトハウスCSO”ハワード・シュミット氏が語る「今、ここにあるセキュリティ危機」

プライバシーとセキュリティのバランス/RFIDパスポートの問題点/企業によるITワーカーの素行調査……

ブルース・シュナイアー氏が語る「セキュリティ・シアター」の功罪

実際のリスクとのずれを生む一方で、過度の恐怖を軽減する効果もあり

「アイデンティティ/アクセス管理(IAM)は“焦らず、あきらめず”」――CAのガーディナー氏

CA幹部が語る、IAMプロジェクトの“正しい”進め方

「ITリスク管理の高度な専門性」が好調の要因――シマンテック幹部

グローバルサービス部門のヒューズ氏に聞く同社の取り組みと今日のセキュリティ問題

マカフィーにとって「マイクロソフトは味方、シマンテックは敵」

エンタープライズ市場に注力するマカフィーの新CEOが言明

マイクロソフトはもはや“セキュリティ後進企業”ではない!

「TwC(信頼できるコンピューティング)」担当副社長、セキュリティ強化戦略の“今”を語る

シマンテックのCEO、セキュリティ技術/市場の未来を示す

「いま、セキュリティのパラダイム・シフトが起きている」

セキュリティ連載

サイバー・セキュリティ[罪と罰]

サイバー・セキュリティ[罪と罰](全4回)

最新クラッキングの脅威を知り、みずからの身を守る

エンドポイント・セキュリティ対策の勘所

エンドポイント・セキュリティ対策の勘所(全2回)

クライアント環境を襲う各種の脅威に立ち向かう

情報漏洩100%対策

情報漏洩100%対策(全7回)

あらゆるリスク、ケースを徹底検証

プロアクティブ・セキュリティ

プロアクティブ・セキュリティ(全14回)

見えない敵に先手を打つ

Weekly Ranking

集計期間:11/29〜12/05



Computerworld Global
米国
英国
中国
ドイツ
オーストラリア
シンガポール
その他の国