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セキュリティ・マネジメント

【連載】
情報漏洩100%対策──あらゆるリスク、ケースを徹底検証

第6回 インターネット掲示板を舞台とする情報漏洩、誹謗中傷への対処法

(2006年04月06日)

情報発信者の情報開示請求に必要な2つの要件

 情報発信者の情報開示請求を行うにあたっての要件は、次の2点に集約することができる。

 1つ目の要件は、「権利侵害が明確であること」である。被害者はこれを証明するために、主として、(1)権利が侵害された情報(違法な情報)の内容自体を提示し、(2)侵害された権利とその理由を示すことになる。

 具体的には、インターネット掲示板のコピーを用意して、権利侵害に該当する情報を見せるなどの方法で、どの内容がどんな権利を侵しているのかを説明すればよい。証拠保全の際には、印刷のほか、Webページをまるごと保存できるソフトを活用してもよいだろう。さらに万全を期すなら、モニタをデジタルカメラで撮影しておくとよいだろう。

 2つ目の要件は、「開示するにあたって正当な理由が存在すること」である。正当な理由には、損害賠償請求、差し止め請求、謝罪広告掲載など名誉回復措置の請求を行うためといったことが該当する。

 なお、総務省令では、情報開示の対象項目として、次の5つを挙げている。

(1)発信者その他侵害情報の送信に係る者の氏名又は名称
(2)発信者その他侵害情報の送信に係る者の住所
(3)発信者の電子メールアドレス
(4)侵害情報に係るIPアドレス
(5)前号のIPアドレスを割り当てられた送信年月日及び時刻

侵害情報の削除請求時は文書の取り扱いに注意する

 情報発信者の情報開示を請求しても、情報発信者の連絡先が不明だったり、すぐにはわからなかったりすることもあろう。だが、そのために機密情報や誹謗中傷の書き込みが放置されたままになっていたのでは、事態が深刻化するおそれがある。そこで、情報発信者への連絡と並行して、インターネット掲示板上の侵害情報の削除を、掲示板管理者またはISPに求めることになる。

 侵害情報の削除を請求するにあたっては、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が策定した「プロバイダ責任法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」の中に掲載されている「侵害情報の通知書(兼送信防止措置依頼書)」の書式に基づいて文書を作成するとよいだろう(表2)。詳しくは、同ガイドラインをご覧いただくとして、文書には、次のような文言を必ず盛り込む必要がある。

「○○における書き込み内容は、△△といった事実を誹謗的に記述しており、私(弊社)の名誉を著しく毀損するものです。直ちに書き込みの掲載を中止し削除してください」

 なお、削除請求の文書は内容証明郵便で送るのが効果的である。なぜなら、内容証明郵便にすれば、相手に掲載を続けることへの法的な圧力を加えることができると同時に、裁判に至った際の証拠とすることができるからである。

 なお、プロバイダー責任制限法では、被害者が書き込みなどの権利侵害に相当する情報の削除を求めた場合には、掲示板管理者やISPが、情報発信者に対してその情報を削除してよいかどうかを問い合わせ、それに対して情報発信者が7日以内に削除を拒否しないときに削除できるとしている。


表2:侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書の書式例 *資料:プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会

法人・組織に関する情報の削除を受け付けない2ちゃんねる

 ここで、具体例として、国内のインターネット掲示板の代表格である2ちゃんねるにおけるトラブル対処の例を紹介しよう。

 『電車男』で、一躍市民権を得た感のある2ちゃんねる。実のところ、新潟中越地震の募金呼びかけや原爆ドームの折鶴放火に対する復旧運動など、評価に値する活動も少なくない。しかしその一方ここでは、個人に対する誹謗中傷や企業や組織名を挙げたうえでのその代表者や社員に対する攻撃が日々繰り返されているのも事実である。

 2ちゃんねるでは、書き込みの削除申請を受け付けてはいるものの、個人情報保護の観点から、個人を特定できる住所や電話番号といった書き込みは削除するが、企業・組織に関連する書き込みは個人情報に相当しないとして「原則放置」とするポリシーを採用している。原則放置とは、削除申請が出されても「原則的に削除しませんよ」という意味である。2ちゃんねるの場合、さらに始末が悪いことに、削除申請は“削除申請掲示板”に投稿する形をとらねばならず、さらに耳目を集める結果になる。

 企業・組織に関する書き込みの削除ガイドラインが、なぜ個人のそれよりハードルが高いのかは明らかにされていないが、内部告発のたぐいを想定しているのかもしれない。また、2ちゃんねらー(2ちゃんねるの常連ユーザー)の中には、企業やその役員などは社会に公知されているため、個人には当たらないと主張する向きもある。しかし、個人情報保護法においては、企業・組織に帰属する個人の情報も保護対象となっている。

 国内の数あるインターネット掲示板の中でこうした方針を打ち出しているのは2ちゃんねるだけだが、これは問題である。理由はいくつかある。例えば、個人を特定する言葉を用いなくても、文脈の流れから個人が特定できるような形で誹謗中傷している場合は、名誉毀損や侮辱罪に該当することがある。例えば、NIS研のURLとともに、「ネット○報セキュリ○○研究会の会長である○淵は悪人である」という書き込みがなされた場合、組織に関する情報とはいえ、筆者であることが容易に推測できるため、個人として削除要求を出すに違いない。一方、企業・組織の創業者であれば、自分のことはともかく会社の誹謗中傷はやめてほしいという場合もあろう。


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情報漏洩100%対策──あらゆるリスク、ケースを徹底検証
第1回 情報漏洩対策の根本を考える
第2回 ネットワーク運用からのアプローチ(1)
「内部から外部への通信」におけるリスクと対策
第3回 ネットワーク運用からのアプローチ(2)
「内部ネットワーク内の通信」におけるリスクと対策
第4回 情報が保存されるPC/記録媒体からのアプローチ
第5回 情報を利用する「人」からのアプローチ
第6回 インターネット掲示板を舞台とする情報漏洩、誹謗中傷への対処法
第7回 営業秘密の漏洩をいかにして防ぐか ―不正競争防止法と企業の管理体制―

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