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セキュリティ・マネジメント

【連載】
情報漏洩100%対策──あらゆるリスク、ケースを徹底検証

第7回 営業秘密の漏洩をいかにして防ぐか ―不正競争防止法と企業の管理体制―

(2006年04月14日)

 企業内の情報資産のうち、権利化されていないノウハウなどは「営業秘密」と呼ばれ、公正な企業競争を維持するために、不正競争防止法によって保護されてきた。しかし、最近は、退職者や業務委託先の企業による営業秘密の漏洩が増加するなど、営業秘密の安全性が脅かされている。不正競争防止法は施行以降、社会状況に応じて改正が加えられてきたが、今年11月1日より新たな改正法が施行される。そこで本稿では、不正競争防止法の改正内容を踏まえつつ、営業秘密の漏洩を防止するための対策について考えてみたい。

田淵義朗
ネット情報セキュリティ研究会会長

企業を取り巻く状況の変化が不正競争防止法改正を促す

 企業にとって情報資産は価値を生み出す源泉であり、知的財産として保護されている。知的財産権として認められている情報のうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などは産業財産権として社会的にも認知されており、客観的に個別法で保護されているが、生産や販売方法などの企業ノウハウは権利化されていないため、保護が難しいとされてきた(図1)。


図1:知的財産権を構成する権利の種類

 企業ノウハウや顧客リストなど、企業において機密情報として管理され、公然と知られていない情報は「営業秘密」と呼ばれる。具体例としては、顧客名簿、仕入れ先リスト、取り引き条件の内容、在庫管理状況、製造原価、営業経費、製造・管理・保守に関する技術的手法、経営手法、データ・図面などがある。

 こうした営業秘密が漏れて、広く世間に知られたり、他社に悪用されたりすると、企業は大きな損失、著しい不利益を被ることになる。

 このように営業秘密が漏洩して不正使用された場合に、失われた企業の利益を回復することを目的として制定されたのが不正競争防止法である。同法は、営業秘密を不正に取得・開示した者に対する差止請求権(第3条)、損害賠償請求権(第4条)、信用回復措置請求権(第7条)などを認めている。つまり、同法によって、漏洩した秘密情報を不正に取得し使用した競合他社に対し、“待った”をかけられるのである。

 一方、インターネットの普及など社会の情報化が進み、国内だけでなく世界的な規模で活動する企業が増えたことで、経済のグローバル化が顕著になっている。また、企業の内部に目を転じると、従業員の雇用形態が多様化しているという現実もある。競争を勝ち抜くために優秀な人材を積極的に中途採用する一方で、正社員を減らしてパートや派遣社員を採用したり、アウトソーシングに切り替えたりするなど、人材の流動化が著しい。

 このように企業を取り巻く環境が大きく変化し、営業秘密が外部に漏洩するリスクが日々増大してきたことから、昨年1月には、不正競争防止法の改正が行われ、営業秘密の保護が強化された。なお、同法は、おおむね10年ごとに改正されており、1990年には差し止め請求権が、2003年には民事保護を強化する刑事罰が導入されている。

 さらに、ここにきて、国外の企業や退職者が絡んだ営業秘密の漏洩事件や窃取事件が増加し、知的財産権にまつわる訴訟の過半数を占めるまでになってきた。また、米国の経済スパイ法など諸外国の営業秘密を保護する法律に比べて、日本の法律は処罰要件が甘いことから、国内の技術やノウハウが海外に流出して日本の国際競争力が低下しているという事実もある。こうしたことは、産業政策上見過ごせないため、「法人処罰規定の新設」や「罰則の強化」を盛り込んだ改正不正競争防止法が、今年11月に施行されることになった。

 以下、営業秘密を保護するための対策を考えるにあたり、不正競争防止法の基本について解説した後、今回の改正のポイントを紹介しよう。


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情報漏洩100%対策──あらゆるリスク、ケースを徹底検証
第1回 情報漏洩対策の根本を考える
第2回 ネットワーク運用からのアプローチ(1)
「内部から外部への通信」におけるリスクと対策
第3回 ネットワーク運用からのアプローチ(2)
「内部ネットワーク内の通信」におけるリスクと対策
第4回 情報が保存されるPC/記録媒体からのアプローチ
第5回 情報を利用する「人」からのアプローチ
第6回 インターネット掲示板を舞台とする情報漏洩、誹謗中傷への対処法
第7回 営業秘密の漏洩をいかにして防ぐか ―不正競争防止法と企業の管理体制―

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