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セキュリティ・マネジメント

[米国]
米国政府のRFID身分証カード構想に批判続出──プライバシー保護を巡り

(2006年12月06日)

 米国市民向けパスポート・カード・プログラムでRFID(Radio Frequency Identification)チップの採用を提案している米国政府の計画に対し、各方面から批判の声が上がっている。この身分証カードは、パスポートを持っていない米国在住者が携帯することになっている。

 スマートカードとRFID技術の大手ベンダーが加入する非営利の業界団体「スマートカード・アライアンス」は今週、政府に対して、個人身分証カードにRFID技術を採用する決定を見直すよう要請した。

 同団体は、セキュリティ確保とプライバシー保護の両面から反対のスタンスを取ったと説明している。

 今回の要請は、10月17日に発表された連邦政府の公報を受けて行われたもの。国務省は、公報の中で、西半球渡航イニシアチブ(WHTI)に基づいて発行される新しいパスポート・カードにRFIDチップを使用するという計画を発表した。

 WHTIでは、メキシコ、カナダ、カリブ海諸国、バミューダに旅行する米国人が米国に入国する際の身元確認のために、国土安全保障省(DHS)の承認を受けた何らかの身分証を示すよう義務づけている。

 身分証は、パスポートや政府が提案しているパスポート・カードに準ずるもので、国境警備の強化が目的とされている。また、航空機でさまざまな国を行き来する旅客も、2007年1月以降はこうした身分証の提示を求められる。なお、陸路と海路で行き来する旅行者に身分証の提示が義務づけられるのは2008年1月からだ。

 国務省は、公報の中で、新しいePassportで採用されている「Vicinity(近接型)Read」(距離約10cm)非接触スマートカード技術ではなく、「Proximity(近傍型)Read」(距離約70cm)RFID技術を使うという方針を示している。

 同省は、確認手続きを迅速化するため、税関や国境警備の職員から少なくとも20〜30フィート(約6〜9メートル)離れた場所でも情報を読み取ることができるクレジットカード・サイズのパスポート・カードを導入する目標を打ち出している。

 しかし、スマートカード・アライアンスの専務理事を務めるランディ・バンダーホーフ氏は、このアプローチにはさまざまな問題があると指摘する。

 同氏は、通信距離の長いRFID技術を使えば、個人情報が盗まれたり、偽造されたりする危険性が高くなると指摘する。また、この種のチップを使って製造されたカードには、真偽を確認するための内蔵セキュリティ機能が組み込まれない。

 また、ePassportで使用されている非接触スマートカードには、データを守り、真偽を確認するための暗号技術とデジタル証明書技術が使用されているが、RFIDカードを使用する技術は、ePassportの技術と異なっていることから、出入国管理のためのインフラストラクチャをアップデートする必要もある。

 「政府の無駄遣いに反対する市民」(CAGW)の政策担当副会長デビッド・ウィリアムズ氏も、RFID対応カードによってもたらされるプライバシー面での脅威が重大な懸念材料になると指摘する。

 同氏は、国境警備強化の必要性を認めながらも、「RFIDが最良の方法だとは思わない」と批判する。このようなRFIDカードを人々が持ち歩くようになれば、知らない間に巨大な監視網に絡め取られる可能性があるというのがその理由だ。また、身元確認がいつ行われ、どのような情報が読み取られ、保存・共有されるのか、RFIDカードの所有者が自分で管理できないという問題もある。

 「他の形態の身分証であれば、財布からカードを引っぱり出すという行為が必要になる。これに対し、RFIDはいつアクセスされたのかさえもわからない」(ウィリアムズ氏)

 こうした懸念に促されたCAGWは今週、DHSに書簡を送り、個人の身分証でRFIDを使うことに反対する勧告を出した小委員会の報告書案を、データのプライバシーと統合性に関する諮問委員会で承認するように求めた。

 DHSの小委員会は、今年5月に公表された同報告書(PDF形式でダウンロード可能)の中で、RFIDを使っても国境や検問所での手続き時間をほとんど短縮できないうえ、市民が監視されたり、プライバシーや匿名性が損なわれたりするといったリスクがあると指摘している。

 DHS小委員会は、12月6日に会合を開き、この問題について議論する予定だ。

 RFIDおよびVicinity Read型スマートカード技術のメーカーであるテキサス・インスツルメンツの電子文書担当ディレクター、トレス・ウィレイ氏は、自分の行動が追跡されるのに使われかねないカードを人々が持ち歩くとは思えない、と述べている。

 同氏は、人々が新しいカードの利用を敬遠する可能性を指摘し、「身分証カードを活用するには、市民に受け入れてもらうことがきわめて重要だが、それは難しいだろう」と語っている。

(ジャイクマール・ビジャヤン/Computerworld オンライン米国版)




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