【 ここから本文 】

仮想化

ソーシャルブックマークに登録 : Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに登録 del.icio.usに登録 newsing it!に登録 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに登録 Slashdotにタレコむ イザ!ブックマークに登録 Twitterでつぶやく
print 印刷用ページの表示


【解説】
注目の「仮想アプライアンス」がもたらすメリット

仮想化環境で即座に実行できるアプリケーションの新配布モデル

(2008年04月01日)

前のページへ < 123| 

仮想アプライアンス専用の軽量OS「JeOS」

 このほか興味深い動向としては、仮想化ソフトウェア上で実行することを前提に、OS自体の軽量化を図る動きがある。VMwareではこれをJeOS(Just enough OS、“Juice”と発音)と呼んでいる。

 JeOSは、具体的なOSのインプリメンテーションというよりは、概念的な存在と位置づけられている。実際VMwareは、JeOSの具体例として、BEAが開発・配布しているJavaアプリケーションのためのプラットフォーム「BEA Liquid VM」や、MicrosoftがWindows Server 2008で導入する「Server Core」をJeOSの例として挙げている。このほか、VMware自身も、Debian GNU/Linuxをベースに、必要なモジュールだけを組み合わせてサイズを20MB程度に抑えたOS環境を「VMware ACE 2」で使用しているという。

 現在のOSは、膨大なユーザーランド・アプリケーションに加え、さまざまなハードウェア構成に対応するためのドライバやユーティリティを含んでいる。そもそもOSは、ハードウェアを抽象化し、アプリケーションに対する一貫したインタフェースの提供を根本的な目的としているのだが、仮想化ソフトウェアの利用を前提とするなら、その上で動作するOSがさらにハードウェアを抽象化するのは無駄であると言える。ハードウェアの抽象化の部分は仮想化ソフトウェアに任せ、OSはアプリケーションの実行環境としての機能やユーザー・インタフェースの実装に専念すれば、無駄なオーバーヘッドを減らすことができるし、OSのサイズを小さくすることで仮想アプライアンスのサイズの肥大化を避けることにもつながる。

 VMwareでは、仮想アプライアンスを作成する際に利用できる「ソフトウェア開発キット」の1つとして、Ubuntu Linuxベースの軽量OSを独自のJeOS実装として配布する計画もあるという。こうした流れが認知を得れば、仮想アプライアンスを利用したアプリケーション実行環境の配布がより現実的なものとなっていくことは間違いないし、現状の肥大化したOSの構成を見直し、コンポーネント化を推し進めていく原動力にもなっていくだろう。

 実のところ、仮想アプライアンスの成立には、LinuxをはじめとしたオープンソースOSの存在が事実上不可欠となっている。というのも、アプリケーション・ベンダーがOSを含めた実行環境を丸ごと仮想アプライアンスとして配布するためには、ライセンス問題が生じない再配布可能なOSが必要であり、現時点ではLinuxといったオープンソースOSがその役割を担っているからだ。OSとして必要最低限のモジュールだけを組み合わせるなど、任意にカスタマイズできる点も、こうしたOSのメリットである。

*  *  *

 仮想アプライアンスは、仮想化技術の発展はもちろんのこと、LinuxをはじめとするオープンソースOSの普及と成熟があってはじめて実現できた新しいスタイルだと言えるだろう。相互に独立して発展してきたさまざまな技術を統合した仮想アプライアンスは、まさに現在のITシステムにとっての1つの大きな到達点だと言っても過言ではないように思われる。

Side Story
相次ぐ仮想アプライアンスのダウンロード・サイト開設の動き

Computerworld編集部

画面A:Virtual Ironが運営する「Virtual Appliance Exchange」

 仮想アプライアンスのダウンロード・サイトを開設する動きがここ1年で相次いでいる。

 まず、米国VMwareが2006年11月7日に、仮想アプライアンスのダウンロード・サイト「Virtual Appliance Marketplace」の開設を発表した。米国Virtual Ironも2007年1月24日、Windows/Linuxベースの検証済み仮想アプライアンスをダウンロードできる「Virtual Appliance Exchange」(画面A)を開設。さらに今年4月26日には、米国Parallelsが「Parallels Technology Network」(画面B)という上記2社と同様のサイトを開設している。

 これらの仮想化ソフト・ベンダーは、仮想アプライアンスの正規流通チャネルを構築することで、仮想化技術をより普及させ、全体的な仮想化市場の底上げをねらっている。しかも各ベンダーは、仮想アプライアンスのダウンロード・サイトを、アップルが提供する「iTunes Music Store」のように位置づけているようだ。

画面B:Parallelsの「Parallels Technology Network」

 Virtual IronのCMO(最高マーケティング責任者)、マイク・グランディネッティ氏は、企業が新規にアプリケーションを導入する際に感じる最大の不満は、物理的なインフラの整備に時間がかかることだと指摘したうえで、同社が提供する仮想アプライアンスについて、次のように語っている。「(アップルの)iTunes Music Storeから曲をダウンロードし、iPodで聞くのと同じくらいシンプルなものだ」

 VMwareもまた、同社が主催する仮想化関連のユーザー・コンファレンス「VMworld 2007」(2007年9月11日〜13日開催)のプレス向けセッションの中で仮想アプライアンスの話題に触れ、同社のVirtual Appliance MarketplaceをiTunes Music Storeに例えて紹介していた。

 先行するVMwareが運営するVirtual Appliance Marketplaceは、発表の時点で仮想アプライアンス数がおよそ300であった。しかし、現在ではその数は600以上に増加しており、仮想アプライアンスが着実に認知されてきていることをうかがわせる。ただし、仮想アプライアンスは、本文中で指摘しているように、ファイル・サイズが大きくなり、ダウンロードに時間がかかるケースもある。

 そうした場合の対応としてVMwareは、現在、仮想アプライアンスのストリーミング配信に向けて技術開発を進めている。ストリーミング配信を実現すれば、ファイルをダウンロードしながらアプリケーションを実行できるため、ファイル・サイズが大きくてもダウンロード時間はさほど問題にはならないというわけだ。


前のページへ < 123| 



関連記事

▲ページの先頭へ戻る



ホワイトペーパー

データ激増時代の新しいフレームワーク「FAN(File Area Network)」

分散環境におけるファイル管理をいかに効率化するか――データ激増時代の新しいフレームワーク「FAN」

ファイル仮想化、レプリケーションで実現。統合されたデータ管理基盤の構築方法とは?

特別企画

日立のストレージ・ソリューション

柔軟なデータ・マネジメント戦略でビジネスを加速させよ

“仮想化”を基盤とした総合力で、情報資産の活用を支援する日立製作所のストレージ・ソリューション

「ストレージ仮想化が仮想サーバのメリットを最大化する」デルのアプローチと「Dell™ EqualLogic® PS5000 Series」の実力

キャッチアップ

仮想化の真のメリットは、コスト削減よりも俊敏性向上

メリットを享受するには、継続的なキャパシティ・プランニングが必要

「仮想化は次世代のOS」――レッドハットが狙うオープンソース革命“再び”

ハイパーバイザとセキュリティ管理製品からなる「オープンな仮想化プラットフォーム」を強調

マネージド・サービス・プロバイダーに見る仮想化技術の効用

サービス品質/アジリティの向上を果たしたコンテジックス

仮想化環境における“ライセンス・コスト”が議論の的に

VMwareユーザー間でソフトウェア・ライセンスの現状に疑問の声

注目の「仮想アプライアンス」がもたらすメリット

仮想化環境で即座に実行できるアプリケーションの新配布モデル

次世代仮想化プラットフォーム「Hyper-V」研究

サーバの仮想化はどう進化するのか!?

「仮想化時代」に到来する3つのテクノロジー・トレンド

グリーンIT/プロビジョニング/自律コンピューティング

【Forrester調査】IT部門の3分の2が2009年までに仮想化技術を導入

「仮想化ベースの戦略的なITインフラ構想に移行する動きも広がる」

“ハイパーバイザ・バトル”を制するのはだれ?――白熱する仮想化市場

王者VMwareに挑む、後発の大手ベンダーたち

注目度を増すサーバ仮想化──米国企業の導入・活用の実態に迫る

ユーザー調査に見る仮想化技術の課題と現実

仮想化実践講座

Windows仮想化をトータルに管理する「Virtual Machine Manager」

System Centerで変わる仮想環境のシステム運用管理

「Hyper-V RC1」緊急レビュー

Windows Server 2008標準搭載の仮想化ハイパーバイザを徹底解剖

仮想環境でのセキュリティを考える

ユーザー調査に見る仮想化技術の課題と現実

仮想化導入前に自問すべき10のポイント

技術的「準備度」や事業目標の「認識度」を診断する

アプリケーション/デスクトップ仮想化[実現手法とベンダー動向]

データセンターの外では「クライアント管理の簡素化」が仮想化のメリット

これだけある「仮想アプライアンス」のメリット

コスト削減をはじめ、さまざまな点で有利に

サーバ仮想化技術を整理する

完全仮想化か、擬似仮想化か、それともOSレベルの仮想化か

テスト環境でも威力を発揮するサーバ仮想化技術

作業時間の短縮化に貢献

仮想マシンをいかに管理するか

機能不足のツールを使いこなす

ストレージ仮想化

ストレージ仮想化[メリットと手法を確認する]

普及が進み、成熟期を迎えた仮想化技術

注目集めるストレージ仮想化技術――企業は管理コスト削減に期待

管理コストを95%削減した事例も

「シン・プロビジョニング」でストレージ・リソースの“無駄づかい”を撤廃する

手付かずの容量を有効活用するためのアプローチ

ストレージ仮想化技術の“現在”を探る

最も成熟し、製品も豊富にそろうレイヤにどう取り組むべきか

事例研究

データセンターの新増設で、CIOたちが実際に経験したこと

キャパシティ、設置スペース、電力と発熱、コスト――問われる課題への解決力

ディザスタ・リカバリのモデル・プロジェクト発進!

北米大陸の両端に位置する2つの大学を結んで展開される野心的ディザスタ・リカバリ・プロジェクト

先進ユーザーから学ぶサーバ仮想化導入の「落とし穴」

ネット構成、ライセンス、セキュリティに細心の注意を!

早期導入ユーザーに見るサーバ仮想化のメリットと教訓

数十台の物理サーバ上で400以上の仮想マシンを運用

先進事例に見る仮想化ソフト導入の最適解

コスト効果は100万ドル

仮想化の課題

ヴイエムウェアがはまる、仮想化最大手ゆえの「落とし穴」

仮想化ハイパーバイザの優劣に固執する姿勢に疑問あり

重要アプリの仮想環境への移行、サーバ担当マネジャーは総じて消極的

重要性・機密性の高いアプリほど仮想化技術の適用外に

仮想サーバの脆弱性は仮想マシンにあり――研究者がBlack Hatで講演

「仮想マシンが物理サーバ間を移行するときに攻撃を受けやすい」

「仮想化サーバの管理に自信が持てない」とするCIOが半数以上に

懸案事項は、セキュリティ/異種インフラ管理/システム利用の最適化

懲罰的なソフト・ライセンスがサーバ仮想化の妨げに

VM上のアプリを巡り、一部ベンダーが手間とコストを顧客に強要

技術的未熟さが目立つx86サーバの仮想化

メインフレームの場合とは異なる扱いに戸惑いも

仮想サーバの管理プロファイル、標準化団体DMTFがCIMベースで策定

VMwareやIBMなども策定に参加、自社製品でサポートへ

アナリストが警鐘、「仮想化のセキュリティ・リスクは看過されている」

仮想マシンのセキュリティ対策は物理マシンと同じではない!!

仮想化を巡る8つの課題

性能、セキュリティ、ライセンス、ストレージ……

トレンド・ウォッチ

ヴイエムウェアの「ESX 3.5」がマイクロソフトから認定

マイクロソフトがVMware環境へのテクニカル・サポートを提供へ(2008年09月04日)

CTC、日本HP、マイクロソフトの3社、顧客環境を想定したHyper-Vの動作検証を共同で実施へ

サイジング・データ取得やシステム構築手法の確立を目指す(2008年08月27日)

ノベル、小・中規模企業向けに「Xen仮想化スターターキット」を提供開始

Windowsサーバ統合を容易に行うための、ハードウェアを含んだ検証済み構成(2008年08月07日)

ヴイエムウェア、複数の仮想テスト環境の管理・自動化を可能にする「Lab Manager 3」をリリース

開発/テスト環境だけでなく、ヘルプデスクやトレーニングなど幅広い用途を想定(2008年08月07日)

CTC、VMwareに特化した仮想化検証施設「Competency Center for VWware」を開設

VMwareの性能を最大限に引き出す技術/製品/サービスの組み合わせを検証(2008年07月24日)

ヴイエムウェア、次期VMware ESXiを無償提供へ

競合他社からの追い上げを受けて決断(2008年07月23日)

シトリックス、マルチベンダー仮想化環境の構築・管理ツール「Project Kensho」を発表

OVFに準拠し、XenServer、Hyper-V、VMware ESXの混在を可能に(2008年07月16日)

Macの企業ネットワーク接続/管理の問題に取り組むアライアンスが発足

企業クライアントPCとしてMacを使いたいユーザーに朗報(2008年07月03日)

シトリックスと日立、XenApp用の指静脈認証システムを共同で開発

セキュリティ強化だけでなく利便性も向上(2008年07月03日)

マイクロソフト、サーバ仮想化ソフト「Hyper-V」の正式版をリリース

単体製品としてサーバ当たり28ドルでの提供も開始(2008年06月27日)

仮想化技術の普及で、仮想化エキスパートへの求人が急増

幹部職クラスでは年収数十万ドルの好待遇も(2008年05月26日)

シトリックス、Xenエンジン採用のデスクトップ仮想化ソフト「XenDesktop」を出荷開始

個々にカスタマイズ可能な仮想Windowsデスクトップを提供(2008年05月21日)

ヴイエムウェアが仮想サーバの管理ソフト2種を発表、障害復旧/アプリ導入を支援

管理ソフト群のパッケージ製品もリリース(2008年05月13日)

デルが仮想化製品/サービスを強化――仮想化ソフト組み込み型「PowerEdge」サーバなどを発表

仮想化ソフトはVMware/XenServer/Oracle VMをサポート(2008年05月13日)

「VMwareより3倍高効率」――日本オラクルが「Oracle VM」の国内提供を開始

仮想アプライアンスの提供にも本腰(2008年03月13日)

Weekly Ranking

集計期間:11/16〜11/22



Computerworld Global
米国
英国
中国
ドイツ
オーストラリア
シンガポール
その他の国