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仮想化技術

サーバ仮想化ソフト「注目5製品」の特徴

有力ベンダーの最新製品に見る、技術/機能のトレンド

(2006年12月19日)

Virtual Server 2005
●マイクロソフト

 マイクロソフトの「Virtual Server 2005」は、2004年12月にリリースされたハードウェア・エミュレーション方式の仮想化ソフトである。ホストOSとしてWindows Server 2003を必要とし、ESX Serverのようにベア・メタル・システムにインストールすることはできない。最新リリースのVirtual Server 2005 R2は、Windows Server 2003 R2の発売に合わせて今年4月に無償化された。同時に、ゲストOSとしてLinuxのサポートも追加された。

画面1:Webベースのインタフェースを備えた「Virtual Server 2005」の管理画面

 ただ同製品は、現状、ヴイエムウェアがリードするこの市場で厳しい戦いを強いられている。最新リリースをテストしたところ、I/Oのボトルネックに関係していると思われるパフォーマンスの低下が見られた。パフォーマンスの問題は、AMDのOpteronやインテルのEM64Tプロセッサ用のWindows Server 2003 x64上で動作するx64バージョンでも見られる。これは、同製品のx64バージョンが、Windows on Windows(WoW)環境下の32ビット・アプリケーションとして動作することに起因するものだ。また、同製品の管理ツールは、WindowsとInternet Explorer(バージョン6.0以降)を必要とし、VMコンソールの操作は、ブラウザ・ウィンドウに埋め込まれたActiveXコントロールを通じて処理される。WebベースのGUI(画面1)はすっきりしたレイアウトになってはいるが、ISOイメージをVMのCD-ROMドライブにマッピングするといった、ごく簡単な操作に苦労させられるなど、UI面での完成度が低いことは否めない。

 こうした評価を覆すべく、マイクロソフトは現在、Virtual Serverを管理する新しいツールとして、「System Center Virtual Machine Manager」(開発コード名:Carmine)の開発を進めている。このVirtual Machine Managerは、ヴイエムウェアのVirtualCenterと同様の機能を提供する製品である。現在公開されているベータ版では、データセンターの物理ハードウェア・リソースを動的にVMに割り当てたり、物理サーバをVMに移行する作業を支援するツールなどを備えているが、移行ツールはWindowsサーバにしか対応していないうえ、ブロック・レベルのサーバ移行でも従来のボリューム・シャドウ・コピー技術を借用するなど、完成度はまだまだといった印象を受ける。

 しかしながら、Virtual Machine Managerには注目に値する大きな理由がある。それは、同製品が、来年リリース予定のWindows Server "Longhorn"に組み込まれる仮想化環境「Windows Server Virtualization」(開発コード名:Viridian)の管理フレームワークを提供するものだからだ。このViridianは、ハイパーバイザーをベースにした製品であり、Server "Longhorn"の製品版(RTM)出荷後180日以内にRTMがリリースされる見込みである。

 Windows Server Virtualizationは、OSカーネルと緊密な連携をとることができるため、仮想化のパフォーマンスは大きく改善するはずだ。現在のVirtual Serverが提供している仮想化機能がWindowsサーバの標準機能になれば、スタンドアロンのVirtual Server製品は過去のものになる可能性が高い。とはいえ、仮想化機能を搭載したServer "Longhorn"が、現状のVMにおけるパフォーマンスの低さを改善できないとすれば、マイクロソフトは今後もこの市場で後塵を拝することになるだろう。

Virtuozzo
●SWソフト

 SWソフトの「Virtuozzo」は、1台のホスト・システム上で多数の仮想サーバを稼働させることができるホスト・ベースの仮想化製品である。Virtuozzoが採用する仮想化のアプローチは、仮想化に対応するよう修正されたOSカーネルが複数のVPS(Virtual Private Server:仮想専用サーバ)をサポートするというものである。このアプローチは、後述するサンのSolarisコンテナや、BSDの仮想マシン機能である「Jail」に近く、同一のサーバ上で動作するすべてのVPSは、同じOSカーネルを共有する。物理ホスト1台につき数百個の仮想サーバを運用することも可能であり、大規模なWebアプリケーションや、QA(品質保証)アプリケーションのホスティング分野に適している。このため、ヴイエムウェアやマイクロソフトの製品とは必ずしも競合しない製品である。

 今回、Virtuozzoをテストしたところ、同製品で稼働するVPSのパフォーマンスは非常にすばらしく、オーバーヘッドは3%以下という結果を示した。管理ツールも充実しており、各VPSの設定を細かくカスタマイズしたり、パフォーマンスを監視したりできるほか、本格的なアラート/リポーティング機能も備わっている。

 特に注目できるのが、多数のVPSを構築し、アプリケーションを動的にインストールする機能である。例えば、20個のVPSを構築する場合、定義済みのテンプレートを選び、開始IPアドレスといくつかのグローバル設定オプションを指定するだけでよい。20個のVPSが利用可能になるまでに要する時間は、わずか数分である。複数のVPSにアプリケーションをインストールする際も、ドラッグ&ドロップだけで行うことができる。また、テンプレートはすべて、RPMやファイル・ツリーによって構成されており、テンプレートのカスタマイズも容易である。

 SWソフトは、Virtuozzoのオープンソース版「OpenVZ」を無償で提供しているが、残念ながらOpenVZには管理ツールが含まれない。Virtuozzoの最大の魅力は、パフォーマンスの高さもさることながら、この強力な管理ツールであることを強調しておきたい。

【COLUMN】
AMD「SVM」とインテル「VT」が実現するハードウェア仮想化
トム・イェイガー

 AMDとインテルが提供しているハードウェア・ベースの仮想化技術は、この分野のブレークスルーとまではいかないにせよ、それに向けた第一歩であると言える。AMDのSecure Virtual Machine(SVM)やインテルのVirtualization Technology(VT)は、CPU設計の前提条件やアーキテクチャの大幅な変更を示すものだ。

 1台の物理マシンに1つのOSという従来アーキテクチャでは、CPUやメモリなどの状態の変更はOSに全面的に任されていた。何らかの理由でOSがシステム設定の変更を維持できなくなれば、OSがクラッシュするおそれがある。したがって、このアーキテクチャで仮想化環境を実現する場合、1台のマシンを複数のOSで共有するのを妨げるようなシステム状態の変更を、OSが行えないようにする工夫が必要になる。

 システムの変更は、OSが特権命令を実行することによって行われる。SVMやVTは、1秒間に何百〜何千回と発生するこれらの特権命令をインターセプトし、ハイパーバイザー(いわば、スーパーバイザーのスーパーバイザー)によって設定された入口に送る。この場合、ハイパーバイザーだけが、システム状態の変更を実施/許可する権限を持つことになる。例えば、ゲストOSから仮想メモリの一部をマッピングせよという要求をインターセプトすると、ハイパーバイザーは、あらかじめそのゲスト用に取ってあるメモリ部分を渡すことによって、これに対応する。

 つまり、インテルとAMDは、特権命令をインターセプトする仕組みを自社のCPUチップに組み込み、拡張されたシステムの状態(いうなれば、OSインスタンスのコンテキスト)の保存とリストアを新しい命令として導入したのである。VTとSVMの機能はそれだけではないが、このインターセプトとコンテキストは最重要の機能である。

 両技術を比較するならば、AMDのAMD64オンボード・メモリ・コントローラに軍配が上がると筆者は考える。インテルのメモリ・コントローラは、CPUに対して外付けであるため、VTを認識できないのである。また、AMD64のオンボード・メモリ・コントローラは機能強化が施され、ゲストOSのインスタンスそれぞれに独自のメモリ・アドレス変換テーブルを提供する「ネステッド・ページング」が行えるようになっている。インテルの場合、ゲストのメモリ・アドレス変換はソフトウェアで行わなければならない。両社の実装にはそのほかにも違いがあるが、AMDのほうが充実しているように見える。とはいえ、当面は、両技術の共通部分に対応した仮想化ソフトウェアが提供されることになると考えられるため、その差はそれほど気にしなくてもよいだろう。


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