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仮想化技術

【特別リポート】
クアッドコア・プロセッサのメリットをあらためて検証する

サーバ統合の最適化で企業ITが変わる

(2007年04月12日)

 クアッドコアをはじめとするプロセッサのマルチコア化の進展や仮想化技術の登場などにより、企業コンピューティングは今、大きく様変わりしようとしている。コンピュータの無計画な導入・増設によるITリソースの分散化、電力・発熱・スペース問題の深刻化、運用・管理コストの増大といった課題を背景に、今まさにサーバ統合という大きな波が押し寄せてきているのだ。そうしたサーバ統合にクアッドコア・プロセッサがどのようなメリットをもたらすか、調査会社IDC Japanでサーバ・グループ・マネジャーを務める中村正弘氏に解説してもらった。

Computerworld.jp

プロセッサのマルチコア化が
サーバ統合の原動力に

マルチコア・プロセッサによるサーバ統合のメリットを語るIDC Japanのサーバ・グループ・マネジャー、中村正弘氏

 現在、データセンター、全社システム、部門システムなど、企業のあらゆるレベルでサーバ統合が急ピッチで進みつつある。その背景には、ハードウェアの性能や電力効率の向上、仮想化技術の進化、サーバ・リソースの有効活用や運用・管理コスト削減ニーズの高まりなど、コンピューティング環境の変化がある。

 なかでもサーバ統合を推進する大きな原動力になっているのが、ハードウェア・プラットフォームの性能と電力効率の著しい向上である。IDC Japanの中村氏は、「プロセッサの性能を高める手法が大きく変わった」と強調、クアッドコアに代表されるプロセッサのマルチコア化がハードウェア・プラットフォームの進化に大きく寄与していると分析する。

 プロセッサはこれまで、「半導体チップに集積されるトランジスタの数は2年ごとに倍増する」という、いわゆる「ムーアの法則」によって着実な進化を遂げてきた。しかし、プロセッサ・コア単体の集積度を高め、動作周波数を上げるという従来の手法だけでは、性能の面でも発熱の面でも飛躍的な進化を遂げることが難しくなってきた。そうした問題を根本的に解決すべく登場したのがマルチコア化という新たなプロセッサ技術である。

 そのプロセッサのマルチコア化が今、急速な勢いで進もうとしている。IDC Japanによると、昨年提供が本格化したデュアルコア・プロセッサを搭載したサーバ製品の国内出荷台数比率は、2006年の第4四半期の時点で47%に達したという

 今年はさらに、クアッドコア・プロセッサの提供が本格化することから、それを搭載したサーバ製品の出荷台数比率が高い伸びを示すと予想されている。

 「クアッドコア・プロセッサはデュアルコア製品と同等の価格で提供されるほか、インテルがクアッドコアの普及を強力に推進している。シングルコアからデュアルコアを飛び越えて、一気にクアッドコア・プロセッサを搭載したサーバ製品を購入するユーザーが増加する可能性も高い」(中村氏)

 クアッドコア・プロセッサはサーバに飛躍的な性能向上をもたらす。インテルによると、クアッドコア・プロセッサ(Xeon E5345)はシングルコア・プロセッサ(64ビットXeon)に比べ、整数演算とJavaアプリケーション処理で約4.5倍、浮動小数点演算で約3倍、データベース処理で約2.5倍の最大性能を発揮するという(図1)。


図1:クアッドコア・プロセッサの基本性能

優れた電力効率で
発熱とスペースの問題を解消

 クアッドコア・プロセッサのメリットはサーバの処理性能だけではない。電力効率や設置効率の面でも優れたメリットを提供する。「ユーザーの多くは、むしろ消費電力や発熱、設置スペースの効率化のほうに長期的なメリットを感じるかもしれない」と中村氏は指摘する。

 実は、データセンターやサーバ・ルームでは、サーバの導入や増設が頻繁に行われた結果、消費電力の増大と発熱の問題が深刻化している。また、発熱による冷却の必要性からさらに電力が必要となり、それによってサーバの高密度化も図れないという悪循環に悩む企業も増えている。

 一般的に建物あるいはサーバ・ルームに引き込める電力量は着工時に決まっており、簡単に増やすことはできない。電力設備を増設するためにはビル内の配線工事を含め、膨大なコストがかかってしまうからだ。そうした環境下で、サーバ統合と高密度化を図るには、電力効率が良く、発熱が少なく、設置効率の高いハードウェアを選択するしかない。

 中村氏は、こうした状況を踏まえ、「性能よりも電力効率や設置効率を重視したサーバ製品が登場する可能さえある」と見ている。

 インテルによると、クアッドコア・プロセッサ(Xeon E5345/80ワット)はシングルコア・プロセッサ(64ビットXeon)に比べ、最大4.5倍のワット当たり性能を実現するという(図2)。ちなみに、インテルは最近、さらに低電圧の50ワットで動作するクアッドコアXeonプロセッサの出荷を開始している。これを使えば、電力効果をさらに高めることができる。


図2:クアッドコア・プロセッサの電力効率

クアッドコアと仮想化で
サーバ統合の最適化が進展

 クアッドコア・プロセッサで、どうしても注目しなければならないのが、仮想化技術によるサーバ統合のメリットである。「仮想化ソフトウェアを使ってクアッドコア・システム上に多くのアプリケーションを稼働できるというのは、サーバの台数を単純に減らせることだけ考えてもきわめて効率的だ」(中村氏)

 中村氏が評価するように、クアッドコア・プロセッサと仮想化技術の組み合わせは、企業ユーザーにとって非常に魅力的な選択肢となりそうだ。クアッドコア・プロセッサに実装された最新の仮想化機能と仮想化ソフトウェアを組み合わせれば、OSやアプリケーションをほとんど変更することなく、多数のサーバ環境をクアッドコア・システム上に容易に統合することができるからだ。

 そのメリットは図り知れない。例えば、仮想パーティションを利用すれば、アプリケーション障害が発生した場合でも、自動的に同じ設定のサーバ上に仮想マシンを複製し、フェイルオーバを行うことで、高い可用性を確保することができる。また、外部から攻撃を受けた場合も、その仮想マシンを停止させたり、再起動させたりできるため、高いセキュリティ・レベルを確保することが可能になる。

 また中村氏は、「クアッドコア・システムの採用によってサーバの処理能力に余裕が出てくれば、システムやネットワークに異常がないかどうか診断するプログラムを頻繁に走らせたり、通信やデータの暗号化のオーバヘッドを軽減したりといった効果も出てくる」と付け加える。

 もう1つ、ソフトウェア・コストや運用・管理コストの削減にも効果がある。最近ではソフトウェア・ライセンスがプロセッサのソケット単位で設定されるケースが多くなっているが、最新のクアッドコア・プロセッサと仮想化により、ソケット当たりの性能も向上しており、ライセンス・コストの削減も可能となる。さらに、サーバを集約できることから、運用・管理の面でも高いコスト効果を期待できる。

 クアッドコア・プロセッサ自体の仮想化性能の向上も重要なポイントである。インテルによると、Red Hat Linux 4(Update 4)上で仮想化ソフトウェアのXenリリース3.0.3を稼働させたシステムにvConsolidateワークロード(Java、mySQL、Apacheなどが動作)の負荷を与えた場合、クアッドコア・プラットフォーム(Xeon X5355)はデュアルコア・プロセッサ(Xeon 5160)に比べ、システム応答を最大15%短縮できるほか、性能の余裕を示すヘッドルームで最大50%の向上が図られるという(図3)。


図3:クアッドコア・プロセッサの仮想化性能

ユーザー調査の結果が示す
サーバ統合の目的と効果

 中村氏は、企業コンピューティングの現状について、インターネット利用の拡大とハードウェア性能の向上により、企業の各部門へのサーバの導入や増設が繰り返された結果、最近では全社に分散したサーバを統合し、運用や管理の効率を最適化しようとする動きが活発化していると指摘する。

 同氏は最後に、これまで解説してきたサーバ統合の効果を裏付ける非常に興味深い調査結果を紹介してくれた。それは、IDC Japanが昨年、実際にサーバ統合を実施した国内企業ユーザー203社に対して実施したサーバ統合の成果に関する調査結果である。

 サーバ統合の目的を達成したと回答した項目を見ると、やはり「サーバ・リソースの有効活用」「運用/管理の効率化」「保守コストの削減」が上位を占め、80%またはそれ以上が目標を達成したと回答している。

 マルチコア・プロセッサのメリットになると考えられる「システム・パフォーマンスの向上」「ハードウェア・コストの削減」「設置スペースの削減/縮小」についても、達成したとする回答が60%を超えている。これらの項目は、クアッドコア・プロセッサが普及するとともにさらに達成率が高まると考えられる。

 また、「ソフトウェア・コストの削減」についても達成したとする回答が60%を超えており、すでにかなりの効果が得られているようだ。中村氏は、「多くの企業が目標とした項目ほど、達成率も高い傾向にあり、ユーザーの目的どおりの成果が得られている」と分析している(図4)。


図4:サーバ統合の成果(出典:IDC Japan)

(Computerworld.jp)




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